第219話悩める会長
新学期。
ルナリーとルイスは音楽コンクールに向けての個人レッスンになった。
僕らは次回コンサートの概要を考え中。
そして、今度のコンサートへ向けて個人曲を作る!と大司教さんと計画していた話を持ちかけた。
「ユニットも良いけど個人曲を作ると喉を休める時間が増えて良いと思うんだよね。」
「なるほど。確かに連続で歌い続けるのって前回、結構ハードだった。」
ジェファーソンが納得した様に頷き
「そうだなあ。ユニット曲3曲と個人曲3曲くらいから始めますか?後は皆で。ノネット全体を聞きたい方も多いでしょうし。」
と意見を述べた。3人ずつ披露ね。その方が曲作りの負担も少ないか。
「また2日間やる?」
カインがどうする?と皆に尋ねていた。
「2日間にしたら初日と2日目の個人曲を変えたらどうかな?」
クライスのアイデアは面白い。
「2日共来られる方もいるかもしれないしね。」
キャサリンが言うのも最もだな。コアなファンは2日来る人もいるだろう。
そうそう。もう1つ個人的に考えていた事がある。
「地方公演をやりませんか?」
「地方公演?」
あまりこの国ではメジャーじゃ無いのか王子が首を傾げる。
「人口の多い首都以外の市でやる事によって国中に広まると思います。現状の国立教会と市民ホールだけでは地方に広まらないと思います。」
日本で言うなら東京、名古屋、大阪公演あたりのイメージから始めたい。売れてきたらもっと地方へ行きたいところだ。
「それ面白いですね!庶民は交通費もかかると首都に来られませんから良い案だと思います!」
エミリアが凄く良いと褒めてくれた。庶民ならでは。有難い意見だ。
「じゃあ、ちょっとチエッタとかでやってみますか?」
ジェファーソンもなるほどと頷く。
「収容人数の取れる音楽ホールがある市を2つくらい取り敢えず試したいですね。」
ジョージも頷く。
良し!この意見通りそう。
ラジオもテレビも無いし。本当に足で稼ぐしかないもんな。
ユニットと個人曲のコンセプトどうしようかなあ。
カイン、クライス、ジョージでジャ〇ーズ系?
他は?
そこの所迷う。
個人も個性出してお互い違うジャンルをやりたいなあ。
「皆、個人曲って自分のイメージってどんな感じ?」
試しに聞いてみよう。
「え?どんな感じだろう?解らない。」
クライスが首を傾げる。
「僕の中で1つ決まっているのはルイスは男性受けしそうなハード系かな?って思うんだよね。」
そう言うと皆、なるほど。確かに合うなと頷く。
ルイスはロック系が絶対合う筈だ。
「はい!私は今までに無い早口だったり高音だったり不思議な曲をやりたい!」
キャサリン、それはボカロだね。
「面白そうだから良いね。人と違って良いよ。」
キャサリンはニヤっと笑った。
ロックにボカロか。
「僕は期待を裏切らず可愛い系かな?」
ジョージが手を上げる。ジョージが納得して選んでくれて助かる。ジョージは可愛い系アイドルだな。
「じゃ、僕はラブソング系かな?似合うでしょ?」
クライスが軽くウインク。そんな事したらドキドキするから!!困った子だ。やはりクライスはアイドル系。でも、声的にレイニーブルーとか歌わせたい。
「どうしよう。何系なんだろ。」
「僕も実は解らないでいる。」
エミリアとジェファーソンが天井を見上げて悩んでいる。
「ルナリーは絶対、難しい曲が合うと思うんですよね。人の事は良く解る。」
ジェファーソンが笑いながらそう言った。僕もルナリーには洋楽とかやらせたいと思っていた。
「ちなみに会長は?」
自分の高音を最大限に活かしたい。
「僕はバラード系でやります!」
イメージは平〇堅。うん、ピッタリだろう。
後はジェファーソンとカインとエミリアか。
「ごめんね。急にこう言う話して。僕もそろそろ卒業だからさ。少し焦り気味かな?」
悩む3人に一先ず謝る。
卒業すると本当に皆が授業が終わるまでの間が曲作り放題だし物凄く暇!!
それに売れなきゃ完全にニートだ。この前の公演で約10万円稼いだが高校生ならそれで良い。しかし、社会人だと大問題。
でも、やはりちょっと焦りすぎたかもしれない。
かなり悩ませている様だ。
「そうか。卒業しちゃうんですね。」
クライスが寂しそうな顔をした。くそー。可愛いなあ!
「会長が卒業したら本当に僕1人で生徒会長業務か。。憂鬱。」
カインが項垂れる。
全く、しっかりしてくれ!カインにツッコミを入れる。
「会長、卒業したらもしかして暇ですか!?」
ジェファーソンの笑顔が何やら企んでいるように見える。
作詞作曲はするけど基本的に夕方までは暇だと思うと告げるとやはりニヤっと笑いながら
「コンサート会場借りたり日程決めたりそう言う業務任せて良いですか?!」
あぁ。今は全部ジェファーソンが1人で頑張ってくれてたね。王子なのに大変だっただろう。
「勿論、引き受けるよ。」
快く引き受けた。ジェファーソンは嬉しそう。
「良かったー。会長に裏方的な事頼んですみません。」
いやいや。元々やりたいと思っていた。
さて、本題に戻ろう。イメージねぇ。ジェファーソンもアイドル顔だしカインもそうだし。
エミリアは可愛いいけどこう見えて結構行動派。
考えていたら。あぁ。これ乙女ゲームだったなと思い出した。
そりゃ皆、アイドル路線になるよね。
脱線出来るのはルイスとキャサリンとエミリアくらいだろう。
じゃあもう声質で行くか?
ジェファーソンとエミリアはやはり専門がピアノとフルートだから歌で引き付ける魅力が声楽科に比べて少し欠ける気がする。本人達には言い難い。
カインってラップとか向いてそうだけどなあ。この国じゃまだ受け入れられなさそう。
話を振ったのに僕自身も悩んでしまう。
「僕もラブソング系が合うのかなあ。」
ジェファーソンがボソッと呟いた。
クライスとは違う路線でラブソングか。あー!!福〇雅治とか久保〇利伸!!
「いけるよ!ジェファーソン!やはり王子はラブソング系だよね!」
うん。その位の声質だよ。
「やっぱりカインはベースの声を活かした感じ、エミリアは可愛い感じかしら?」
「そうだよねぇ。そういう感じになるよね。」
キャサリンの意見にカインが頷く。
「私、可愛いかなあ?可愛いのは身長だけなんだけど。」
エミリアがポツリと呟いた。
「そうだ!ダンス付きの歌が良いです!」
いつも振り付けが楽しいらしい。
「そうだねー。面白いかも。」
ダンスかー。振り付けある曲はいっぱいあるし何か考えるか。
結局の所今日の話し合いは時間が来て解散となってしまった。
レッスンルームからの帰り際、階段でクライスに呼び止められた。
「会長ー!」
「どうした?クライス!」
クライスはちょんと袖を引っ張った。
「会長、何かあった?今日の会長ちょっと変だった。」
まじまじと見詰められる。その瞳で見詰められると照れる。。
しかし解らない様にしていたが見破られたか。
焦りすぎたかとは言ったけど。
「もう後、3ヶ月もしないで卒業だからね。」
クライスがそうだよねと頷く。
「卒業間近に迫って来たら急に不安になってきた。国立管弦楽団みたいに定期的に収入が得られるかなあとかさ。」
年が変わってから日々焦燥感に駆られていると正直に話してしまった。
クライスが頷きながら話を聞いてくれる。
「会長、焦りすぎ!解るけどね。先に卒業しちゃうから。」
学校から校門までの短い距離。
クライスがピッタリ横で慰めてくる。
「1年待っててよ!卒業したら沢山コンサートもしよう!僕らが卒業するまでは収入とか少ないかもしれないけれど。ね?!」
「何とかさ!数ヶ月に1回は今年もコンサートはしよう!ね?!」
優しさが沁みる。
「1年、僕が頑張って基盤を作ろうかな?君らが卒業したらバーンと儲けられるようにさ!」
うん。頑張るか。
「やっと会長笑ったー!!」
クライスが笑顔で見詰めてくる。
「あれ?今日僕、笑って無かった?」
うんうん。今日の顔は冷静沈着会長モードだったよーとクライスが笑う。
「クライス、凄いな。バレない様にしていたのに。」
バートリー家の車が来ていたので車まで送る。
我が家の迎えも来てるし帰るか。
「ありがとうね。」
クライスにまた明日と手を振る。
「会長!!僕に隠し事しても無駄ですからね!会長が好きだから何でもお見通しです!じゃ!また明日ー!」
そう言って車に乗り込んで行った。
待て待て!好きってなんだー!
友情の好きだよな。そうだ。何を顔を赤くしている。
「婚期がまた遠のいた気がするよ。」
溜息を付きながら我が家の車に乗り込む。
でも、新年からの心のモヤモヤが消えた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます