第204話元締めの所に行こう!
帰りは急いで帰るという事で飛行船になった。
流石に一般の飛行船に乗る訳には行かないので民間機を貸し切らせて貰った。
カインが叫ぶが今は誘拐未遂事件の話し合いで皆、相手にして居ない。
「酷い皆、睨んでもくれないし!」
半べそのカインの頭をルイスがポンと叩いて宥めていた。
首都の外れの漁港では無い所に船は停泊していると言う。
アレクサンダー王子を誘拐して身代金を貰って逃げる予定だったと言うちょっとお粗末な計画だ。
「動物園で警護人が少なかった所を狙ったまでは良かったんでしょうけどね。」
「僕の警護がこれから増えると思うと凄く迷惑だよ。」
「僕も暫く増えそう。」
王子とクライスが嘆いている。
船への乗り込みは交渉人として王子と会長。2人の警護に私設兵3名。後は私とルイスと光国さん、グレンさん、ローズさん。
船の周りにも私設兵が待機しているので大丈夫だろう。
「小麦の輸入はデルソリアに戻した方が問題は解決するのじゃろうか?」
光国さんが相当悩んでいる。
「色々と国の事情もあるのかもしれませんが。。困った連中ですね。」
夏目さんも目を顰めて悩んでいる。
「国のトップの権力が行き渡って居ない国なんだと思います。」
王子が溜息をついた。そこは我が国も絶対的では無いしと本当に国を纏めるのは難しいとまた溜息。
飛行船は40分程で着いた。カインの相手をしてやれず申し訳ない。
話し合いは深刻なのだ。
飛行場には王様とアレクサンダー王子が来ていて王子は詳しく事情を説明していた。
「デルソリアか。治安に問題があるから国交を持っていませんでしたね。」
アレクサンダー王子がそう言うと王様も頷いていた。
「穏便に済ませて来なさい。小麦の輸出が無くなってもプラゲ国との国交は辞めません。」
王様は光国さん達に微笑まれて送り出してくれた。
デルソリアの元締めの停泊してある船へは車で向かった。
「大丈夫か?ルナリー。」
ルイスが腕の青あざを心配してくれる。
「うん。打撲だけ。まじでクライスとキャサリンだけだったらヤバかったよ。」
マッケンジー家の車で漸く落ち着いて話しが出来る。
「クライスに着いて行って良かったな。ルナリーが居なかったら誘拐事件になってたぞ!」
グレンさんが運が良かったと言ってくれた。
「元締めってマフィアみたいな感じかな?腕が鳴るね。」
ローズさんもグレンさんも電話口で即答で参加する!と言ったらしい。
かなり田舎の郊外。
間もなくかと言う所で私設兵が道路沿いから手を振っているので車を停めた。
「見つかると不味いので此処からは徒歩でお願いします。」
そう言われ案内される。
草むらの先には岸壁釣りが出来そうな場所がありそこに船は停泊していた。船はさほど大きく無い。漁船の様な見た目。民家も近くには無く見つかりにくい所を選んであると思った。
木の陰や草むらに私設兵数名が待機中。
私達も全員揃って船へ乗り込む事にした。もしも出発された時の為に近くの死角に船も停泊中らしく抜かりなしだ。
「見張りは居ませんね。」
甲板に人気は無い。中もそう広そうでは無いし居ても10人くらいかなあ。逮捕された5人以外は来てないのか?
先頭を切って私設兵が1人乗り込む。
その後にグレンさん、光国さん、ローズさん、ルイス、私と続く。王子と会長と私設兵は少し待機。
音に気づいたのか中から1人のデルソリア人が出て来て叫んだ。
「何者だ!?」
デルソリア人はいきなりナイフを構えている。
「何かあったか?!」
ゾロっと5人追加で登場。やっぱりまだ居たのか。
「ボードウェン国の者だ。お前達の親玉に会いに来た。」
グレンさんが男に向かって叫ぶ。
「チッ!失敗したか!」
「不味いね!此奴ら殺すか?」
デルソリア人は物騒な事を言いながら此方を警戒している。
「のう!主ら小麦の輸出差し止めの腹いせじゃろ?良いのか?儂はプラゲ国の者じゃが?」
光国さんの姿を見て男達はボソボソと話し合いをしている。母国語なんだろう。何と言っているか不明。
「捕まるよりましね!!」
1人が襲ってきたのを私設兵が躱し殴り付ける。
カーン!バトルスタートのゴングがなった様に感じた。
意気揚々とグレンさんがナイフを持った男を蹴り上げナイフを叩き落とす。
「何事だ!!」
更に2人デルソリア人が居たようで敵が増えた。
光国さんが嬉しそうなので良しとするか。
峰打ちで一撃で倒している。更に剣の腕が上がってらっしゃる。
ローズさんも特殊警棒と蹴りで倒していたしルイスも既に気絶させていた。
私も仲間がいると心強い。これでお終い!!特殊警棒で殴りつけ倒した。
「よーし!中に入るかー!」
全員倒したのを確認して光国さんが声をかける。
王子と会長と私設兵2人が船に乗って来た。続いて倒したデルソリア人を捕らえる為の私設兵数名。
「はは、凄いね。」
「相変わらず強いですねぇ。」
会長と王子は倒されたデルソリア人を眺めながら此方にやって来た。
「少々お待ち下さい。」
私設兵が中へ入り確認する。ドアを開けると下へ降りる階段があった。
「俺も行こう。」
私設兵に続いて念の為にグレンさんが着いていく。
階段を降りて左右を2人で確認していて降りて大丈夫だとサインがあった。
外観は漁船だったが中はそこそこ綺麗だった。
右手側の部屋を片っ端から私設兵が開け中に人がいないか確認している。
「あちらですね。」
私設兵が奥の扉を指さした。
「万が一がありますので。」
私設兵が盾になる様に並び扉をノックする。
「はい。」
中から男の声がした。
私設兵がゆっくりと扉を開けた。
中は小さな社長室風に作ってあり正面に机と椅子があり手前にソファと小さなテーブルがあった。
元締めであろう男は正面の椅子に座っており側近1人が横に立っていた。
私設兵は警戒は怠らず
「ボードウェン国から今回の誘拐未遂事件の件で参りました。」
と元締めに告げる。
暫しの沈黙の後で元締めは口を開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます