第203話イベントなんでしょうかね?

はぁはぁはぁ。


ヤバいヤバい!何なのよ!変な外国人に襲われるなんて。どうしよう!ルナリーがクライスが!!クライスはジェファーソンと間違えられてるし!?




小屋に辿り着き勢いよく扉を開け猫部屋まで駆け込んだ。


「ルイス!!!ルナリーが!」


そう言っただけでルイスは目の色を変えて立ち上がり小屋を急いで出る。


「あの、光国殿もお願いします。外国人に襲われているんです!!」


そう言うと光国殿もカッと目を見開き立ち上がった。


「良し!助太刀じゃー!」


勢い良くルイスを追って走って行かれた。


「はぁはぁ。良かった。大丈夫だよね?」


「何事なの?キャサリン!」


ジェファーソンが心配そうに聞くのでことの事情を説明した。


安全な動物園。トイレに警護人は1人しか着いて来ていなかったのが失敗だった。


「これ誘拐事件イベントかも。」


会長がボソッっと私に耳打ちする。




「行きましょう!助けになるか解らないけど!」


カインが叫ぶ。皆は頷いて小屋を出た。






・・・・・・・・・・・・・・・・






「何もんだお前ら!」


相手の蹴りを躱し何とか会話をする。




「おい!婚約者が強いって報告書には無かったね?」


私の相手をしていた外国人が他の奴にそう言った。


ん?婚約者?




「無かった!でも金髪碧眼!アレクサンダーとヴァイオレットに間違いないねー!!」




第1王子と婚約者に間違えられてる?




振り返るとクライスが目をパチパチさせていたが否定は取り敢えず避けている。


何処の国か特定が先だな。




「顔は殴っちゃダメね!」


少し訛りのある英語で警護人の相手をしている男が言った。




しかし、痛てぇー!腕とか足とか結構ダメージ。プロだな。




「てめぇーーー!!!何してんだー!!!」


小屋の方から大声のルイスが猛ダッシュでやって来て私の相手をしていた外国人に飛び蹴りをかました。




「助かった。」


「大丈夫か?」


「だいぶ痛いけど何とかな。」


光国さんと警護人も来てくれたしこれで何とかなる。




光国さんは脇差を抜き構えている。


「主らもしかして?デルソリア人?」




彼等は答えない。YESと取れるかもな。




光国さんは峰打ちで1人倒し、ルイスは殴りつけ鳩尾に1発食らわせて気絶させた。警護人も1対1になり無事に外国人を倒した。


後の2人も警護人と光国さんが倒してくれた。




そうこうしていると皆も走って来てくれた。


「あー。良かったぁ!!」


キャサリンがへたり込む。




「ありがとう。キャサリンが呼んで来てくれなかったらヤバかった。」


本当に助かった。




帯やベルトで取り敢えず奴らの手を縛り上げる。


ジョージとエミリアは園の方に警察を呼ぶように走っていった。




「多分、デルソリア人ですね。」


夏目さんが光国さんと同じ事を言った。




「実はジェファーソンじゃ無くて、アレクサンダー王子と間違えられて居ました。ルナリーはヴァイオレット様と間違えられていて。王子を誘拐しようとしていた様に感じました。」


クライスが神妙な顔で奴らを見て言った。




王子が兄と?と眉を顰める。




「何でクライスとルナリーが間違えられるんだよ!」


ルイスが物凄く不満そうに睨む。


「金髪碧眼って情報しか知らなかったみたい。」


私がそう言うと口を尖らせてそれなら仕方ねーかと呟いて頭を撫でて来た。心配そうに身体を引き寄せて来る。




1人の男が目を覚ました。


「さあ、素性を言え。デルソリア人であろう?」


光国さんが刀を首筋に当てて脅しにかかる。


男は黙って此方を睨みつけていた。




「国が絡んでいるんですか?個人的にですか?」


会長が冷静に尋ねる。


「国絡みなら王子誘拐等を行っては戦争になりかねません。」


会長は相手の男を見て窘める。




「個人的と言うか組織ね。プラゲ国が輸入を止めるから、元締めがキレたよ。」


男はそう口にした。




「元締め?」


光国さんと夏目さんは少し考え込んでもしかして?


「小麦の輸入元締めか?」


と言った。


デルソリアは国と国交を結んで輸入はしているが輸出入は個人企業が行っているそうだ。




「それで?何故、ボードウェンの王子を誘拐しようとしたんじゃ?」




「輸出の損失の元を身代金で取ると言ってたね。」


アホじゃなと光国さんは溜息をつき取り敢えず刀を鞘に収めた。




「ところで何故、今日此処に来る事を知っていたんですか?」


会長が聞くと


プラゲ国からの使者として光国さん達がボードウェン国に入ってからずっと監視されていたらしい。


「それはもっと国の警備を高める必要がありますね。」


王子が苦い顔をしていた。


平和ゆえの想定外。




「此奴らどうするの?警察に連れて行かれるのは構わないけど。結局、国同士で揉めないか?」


ルイスは戦争と言う言葉を気にしている様だ。




元日本人の私達は戦争の辛い歴史がある事が頭から抜けない。私もこのまま戦争に発展してもらうのだけは勘弁だと思う。




「元締めはボードウェンに来てるのか?」


そう聞くと男は諦めた様に頷いた。




「元締めを潰すか話し合うか。」


このまま国に返しては本物の王子2人の身に何かあったら困るし。




「先ずは警察から王に連絡が行く前に僕は連絡入れます。本当に国同士の揉め事は避けないと。それと、元締めの所に行ってみましょうか!!」


何とか1番揉めない様にしたいと王子は言った。




「王子に被害は無かったけど誘拐未遂事件。王様が警察から聞いたら確かにヤバいだろうね。デルソリアとは国交無いし。」


会長が何とかしないとなと考え込んでいる。




「ルイス、ローズさんとグレンさんに出動をお願いしといて。それと王子、私設兵を数人貸してくれ。光国さんも行こうか。」


ルイスはニヤっと笑って事を察してくれた。光国さんもうんうんと頷いている。




「元締めの所への話し合いへは僕も行きますよ。」


王子は決意したように頷いた。




警察が来て一部始終を話す。


そして、王への連絡をまだ待つ様にお願いした。


警察も国同士の争いに発展しかねないと言うと理解してくれた。


取り敢えず牢屋に入れといて貰おう。






「後は元締めに逃げられない様に船着場に私設兵を監視に送り込んどけよー。」


電話中の王子に横から言うとOKと指でサインした。




観光中だが急いで帰ろう!


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