第195話コンクール曲を決める!

今からマッケンジー家に行きます。


多分、怒られるよねー?想像しただけで怖い!




国立コンクールの曲の話をいい加減しないと。。間もなくコンクールの参加募集開始。早く提出すると予選が早く終わると言うのが前回解ったので今回は早めに出したい。




オリジナル曲が大丈夫かどうかは確認済。出来るのか?と電話口で馬鹿にされた感じはしたけれど。




本当に歌えているか審査のため会長とキャサリン、大司教さん、そして指揮者のスミスさんを第三者の立場から見てもらいたいのでマッケンジー家に呼んでいる。




その前に怒られまーす!!気合い入れてマッケンジー家に向かう。




「いらっしゃいませ。ルナリー様。」


「こんにちは!お邪魔します。」


執事さんに挨拶しルイス達が居るリビングルームへ向かう。




リビングを開けると3人が座って居た。




「サキ!!」


「はい!」


グレンさんに呼ばれて直立不動。




「お前さあ。アホなの?」


うーん。やはりそうなるよねえ。


「アホだと思います。」


ローズさんが大きな溜息をついた。


「昔から破天荒だからねー。」


「確かにこの世界って新しい音楽が出来ない世界ってのはお前らに言われて初めて気づいたよ。」


グレンさんも溜息をつく。




「だからノネット・クライムを作った。うん。で?コンクールにまで殴り込みってか!」




「今回を逃しても卒業後直ぐに結婚は出来るか。。」


2人が交互に話す間に全く入れる気配が無い。いや、ビビってるだけ。




「この世界の頑固な世界観が勝つか。お前らの破天荒が勝つか。勝てない勝負を挑むのも悪くないか。」


「あたしはルイスが我慢するなら良いんじゃないかって思うけど?」


風向きが変わってきたぞー!!




「曲、聞いて決めるか。」


2人は指揮者のスミスさんの承諾が得られたら行けるだろうと言ってまた溜息をついた。




「ルイス、すまん。」


私が到着するまでの間にもっとキレられていたであろう。


「俺も決めた事だからな。」


優しく頭をポンと叩かれる。


「次はルイスの我儘、何でも聞くから!」


そう言うと絶対聞けよ!と言われた。どんな我儘でもドンと来いだ。




リビングのドアがノックされ執事がお客様方がお見えですと言われ玄関まで出迎えに行く。




「ごめんね。今日はお付き合いありがとうございます。」


会長、キャサリン、大司教さん、スミスさんが揃っていらっしゃった。




「ピアノの部屋に遠そう。」


ルイスに言われまだ入ったことなかったルイスのヴァイオリン練習部屋へ。




部屋にもピアノあるのに!まだあるのか!!すげぇな。


普段の練習は狭い私の部屋で行っていたのが申し訳ない広さ。




「大司教様にスミスさん。今日は愚息と嫁の我儘にお付き合い頂き申し訳ございません。」


グレンさんとローズさんがスミスさんが居るので公共モードだ。




いや、まだキャサリンと会長にはバラしてないか。大司教さんにはバレたらしい。




「ルナリー、話は聞いたけれど。君達の才能は確かに素晴らしいと思う。しかし、既存の曲で行く方が確実だと思う。」


スミスさんの言うことは最もだ。


「でも、興味はあるので聞いてみたい。」




ルイスがピアノにスタンバイ。




「1曲目。my heart will go onです。」


タイタニックと言う映画の主題歌。




大司教さんから熱く映画の話は聞いた。


この世界では聞かないが元の世界では現実にあった沈没事故。




歌い上げろ!その恋を。その事故にあった人の思い。登場人物の思い。




歌い終わって。反応は上々。


大司教さんと会長が思い出して泣いている。


本当に泣ける映画らしい。




「次、行きます。I will always love You。」




ボディガードと言う映画の主題歌。




これも愛の歌。ボディガードとプロ歌手の恋。




最後はお互いの道を歩む事になる切ない話。


愛する人を思って歌う。




オペラ曲では無いのだが結構この曲難しい。でも、好き。




「ラスト。Time to say good bye。」




この曲は確定なんだよね。本当に良い曲だと思うし。




「お聞き頂きありがとうございました。」


ルイスと共にお辞儀をする。




反応が怖い。


大司教さんとキャサリンと会長は感動しているようだが問題はスミスさんだ。




「予選。Time to say good bye。本選。I will always love youで行こう。」


スミスさんが閉じていた目を開いて口を開いた。




え?まじですか。。仮にOK出たとしても予選と本選曲は逆だと思っていた。




「スミスさん?大丈夫ですか?」


恐る恐る聞いてみる。




「感動した。3曲とも素晴らしい出来だと思う。ルナリーに足りない感情移入が出来ていた。特にI will always love youの感情移入は素晴らしい。」


スミスさんは頭をポリポリかきながら新しい音楽って良いな。と呟いた。




「ルナリー、ルイス。良い曲じゃないか!!」


グレンさんが肩をガシッと掴んで耳元で合格と囁いた。




安堵の溜息が出る。




「ここまで短期間でマスターしたわね!良く歌えていたと思うし感動したわ!」


「僕も。泣いてしまった。。夜の女王のアリアは確かに難しくて良い曲だし、適わないと思う。でも、こっちが良い!!」


キャサリンと会長が大きく頷きあっている。




「最高でした。ルナリーさんの声は良いですねー。」


大司教さん思い出し泣きしすぎて鼻が赤い。




「如何に聞く人の感情を揺さぶれるか。上手く歌えても君には感情が足りなかった。ルナリー。やってみなさい。私も指導します!」


スミスさんが決意した様に指導の約束までしてくれた。




後日、国立ボードウェンコンクール声楽部門ソプラノにこの2曲でエントリー。


下克上開始!

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