第196話びっくり来訪者

レッスンルームでもコンクール曲を披露する事にした。


皆にも聞いてもらいたい。




「ルイスがピアノってのが新鮮ですね。弾けるのは知ってたけど。」


王子がワクワクした顔で歌い出すのを待っている。


ルイスのピアノは結構上手い。




歌う度に感情移入が上手くなっている気がする。本当に良い曲だ。


歌い終えると皆の反応が目をめっちゃ見開いている。


「ルナリー!凄い!」


王子が拍手しながら叫ぶ。


「姐さんー!何この曲ー!」


「本当、聞いてない!狡い!凄い!意味解らない!姐さん!」


カインとクライスが食いつく食いつく。




「ルナリー、あのね。僕、前回のコンクール上手いと思って聞いたけど比較にならない。」


「それ私も同意見!」


ジョージもエミリアもありがとう!




最終的に審査員がどう思うか解らないけれどこれで行けなきゃ訴えよう!とカインが言い出してこの場は終了した。






「あー。良い曲聞いたよ。感動した所で11月とクリスマスミサの曲を決めなきゃ行けない。」


王子がその場を仕切り始める。




「せっかくだから皆の作った作詞に作曲しましょうよ。」


会長が提案する。


確かに勿体ないもんね。




皆、良い歌詞書いているんだよねー。




悩みながら作曲をしている最中だった。




レッスンルームの扉が突然ノックされる。まだ放課後残れる時間はあるし。先生か?




「はーい!どちら様でしょう?」


王子が扉に向かって叫ぶ。




扉がガラガラっと開き


『儂じゃー!!』


『もう、すみません。内緒で押しかけてしまって!』


聞いた事のあるプラゲ語!!




「えーーー!!」


「光国さん!夏目さん!!」


びっくりしたー!




「わー!お久しぶりです!」


皆、立ち上がって駆け寄る。




「きちんと文書にて王には伝達しておった。王子には内緒で頼むと書いてなー。」


光国さんが私達の驚いた顔を見て爆笑している。




「本当にこういう事好きなお方なんですよ。」


夏目さんが困った顔をしながらも微笑んでいる。




プラゲ国より正式に国交の調印に来たそうだ。




「デルソリアとの輸出入を制限した。国交断絶したい所じゃったが。」


あの人身売買事件か。


「向こうの王が貴族を罰して解決したじゃないですか。」


夏目さんが光国さんを宥めている。




「そのデルソリアから輸入していた小麦を輸入したいと考えておる。」


王子は嬉しそうにありがとうございますと話始めた。




王子の顔になっているなあ。




『今日は主の城に泊まるぞ。滞在は3日と短いがのう。』


『調印が住んだら観光されますか?』


王子も久々にプラゲ語で会話。




『良いですねー。此方の音楽も聞きたいです。』


夏目さんがそう言われたので王子が国立管弦楽団に連絡するかともう行動を起こそうとしていた。流石早い。




「皆、泊まりませんか?」


おー!


「調印に支障なければ喜んで!」


会長もワクワクしているようだ。




「明日から学校は?サボろうか?」


ルイスがニヤっと笑う。そりゃそーなるよねー。と皆、悪そうな笑みで決定した。


「国交大事ですよ!!」


「そうそう!」


調子良い判断だがアリでしょう。




「良し!着替え持参で晩御飯までに集合して下さい!」


王子がレッツゴーと掛け声をかけ夜のお泊まり会へ向けて自宅へ帰る事になった。




「ルナリー、送った後また迎え来るぞ。」


「了解。」


光国さんに相変わらず仲良しじゃなあと言われながらレッスンルームを出る。


水戸黄門ごっこが懐かしく感じる。


またやりたいなあ。




光国さんと夏目さんは王家の車に乗り一足早く城へ向かわれた。




「また会いたいと思ってたから嬉しいよなあ!」


ルイスが凄く楽しそうだ。


「うん!だよなあー!」


国交が決まれば着物とかも輸入出来るだろうし楽器も広まるかもなあ。


取り敢えず今日からのお泊まり会が楽しみだ。

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