第179話コンサート初心者な私達
本日も放課後レッスンルームへ向かう。
市民ホールコンサートの日が近付いて来ていて何だか連日慌ただしい。曲決めすら確定していない。
王子はいつも暴走気味だが今回のコンサートは日が足りなさ過ぎる。
「お疲れー!」
レッスンルームには会長、カイン、クライス、ルイスが集まって居た。
「ルナリー、取り敢えず座ろうか。」
こう言う形態のコンサートってのは国で初めての試みなのでどう言う感じで行うかと言う概要がイマイチ決まっていない。
「普通のコンサートってベートーヴェンの第何楽章とか決めて全部それを演奏したり、オペラの演目ならそれを演じれば良いもんね。」
カインとクライスの言う事が良く解る。生まれた時からある交響曲やオペラは順番とか決まっている。
「曲の順番とか曲の間とかどうしたらいいの?」
なるほどな。こりゃ説明難しいし知り過ぎているのも可笑しいか。
「全員揃って決めようか。」
会長が考えながら皆を待つように提案した。
「お待たせ!」
キャサリンと王子が登場し、すぐ後ろからバタバタとジョージとエミリアも来て全員集合した。
「えーと?何の話し合いですか?」
王子も座って私達を見た。
先程のカインやクライスの疑問を伝えた。
一気に場が静まる。
「曲の間ね。確かに何か会話とかした方が良いんでしょうか?」
「考えた事も無かった。曲の順番だけ決めるだけじゃダメなのかな。」
王子とジョージが困った様な顔で首を捻る。
「曲も上手く順番決めないと楽器が異なったりするからね。」
バタバタするのも見た目が悪いしそういう間に繋ぎのトークが必要だと思うと会長が言った。
「あー!!なるほど。」
王子は納得した様に腕を組んで考えこむように天井を見た。
「Jupiterの次に異国の友へとかにしたら楽器総替えでめちゃくちゃバタバタして見えますね。」
コンサートって普通はアルバム出してそれをコンサートでやるんだよなあ。
だいたい皆、曲を知っているファンが来る。
クラシックにしても皆、知っていて聞きにくる。私達はどうなんだろう?
「全曲聞いてきたファンって少ないよな?殆どいないと思うんだ。」
私がそう言うと皆、確かにそうだろうと頷く。
「ファン、評判を聞いた人、興味本位、そんな感じかな?」
「知らない人も居るか。そうだよね。」
自己紹介、曲紹介は必要か。
「曲は新曲入れて何曲になりましたっけ?」
えーと。
Jupiter、宇宙のファンタジー、サマーバケーション、異国の友へ、島唄、ワダツミの木、乾杯、浪漫飛行、your song?
「9曲か。oh happy dayとHail Holy Queen加えて11曲か。」
普通のコンサートって何曲歌うんだ?
記憶があんまり無い。
「コンサートって1時間30分?2時間?」
ダメだ私達は初心者過ぎる。
「だいたい1時間30から2時間。あと友情って曲も加えましょう。それで12曲です。あと3曲作ります。アンコール込みで15曲にしましょう。」
会長が不安そうな私達に笑顔を向けた。
「確実にファンだけのコンサートなら20曲にしたいですけどノネット初心者が多いでしょうから少なくて良いと思います。」
ライブハウスでやるメジャーデビューしてないバンドくらいのイメージでやれば良いのかな。私もなるほどと頷く。
「いつも、申し訳ない。僕が暴走しちゃって急かして日にち決めてしまいましたもんね。」
王子が頭を下げた。
「いや?良いんじゃない?」
「ジェファーソンの行動力って流石だと思うし。」
助かってる面の方が多いしね。
「じゃ!あと3曲作りましょう!」
もうバタバタでも何とか成功させる!
全員で五線譜のノートを広げ作成開始。
作れた曲は次回に回してもOK。
綱渡り状態。渡りきれ!
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