第175話誕生日パーティー。ダンスのお相手は?
王子の誕生日パーティー。
「お待たせ!」
ローズさんに借りたドレスを見に纏い玄関まで迎えに来たルイスに御挨拶。
「さあ行くかー!」
ルイスの手を取り車に乗り込む。お互いに指輪もはめて笑顔。
「挨拶三昧頑張ろー!」
2人で気合いを入れる。最近は運転手さんが居ても気にせず話す様になった。
城への道は今年は結構混んでいた。呼んだ人数が多いのか、家を出たのが遅かったのか。
「挨拶は面倒臭いけどベタベタ引っ付いていられるのは良いよなあ。」
「パーティーのメリットはそれぐらいしかないな。」
車の中でも何となく手を繋ぐ。幸せな気分に浸れる。
「そういやチケット完売したってなあ!」
「昨日、完売したってわざわざ電話あったよ。全員にかけたんだな。」
王子からの電話で親はオタオタしていた。しかし完売御礼。コンサートが楽しみだ。
さあ、行くか!城へ到着。会場へ向かう。
早速、挨拶三昧だが去年と見方が違う。皆様とても好意的。
公表したのもあるがこれは!?ノネット・クライム効果だ!
去年は睨みつけられコソコソ噂をしていた様な御令嬢達が何とルイスでは無く私に挨拶をし握手を求めて来ている!!
「ルナリーさん!大ファンです!コンサート絶対行きます!」
「歌声が美しくて最高です!今回はチケット取れなかったんですが次は絶対コンサート行きます!」
笑顔でありがとうございます。是非よろしくお願いしますと挨拶をしたり握手をしたり。
「なあ?私のファンの方がルイスより多いな。」
ニヤっと笑うとルイスがやっぱりボーカルが人気出るよなー!クソーとちょっと悔しがっている。
「てか、お前、女にモテるなー?雰囲気出てんのかな。」
「知らん。思い当たる節は多々あるが。」
婚約者ですか?とかそちらのお方はどなたですか?等とは全然聞かれない。
とにかく握手会の様に老若男女に握手を求められる。
私達で、これだからな。
そう思って探すとクライス、カイン、ジョージ、会長の周りは人集りが出来ていた。
「気の毒に。」
「近寄りたくないな。」
もう1つの人集りはエミリアとブルーさんだった。
国立管弦楽団のブルーさんの彼女って事で睨まれても可笑しくないんだろうけどエミリアファンも半数は居る様で2人共やはり握手会状態になっている。
「気の毒にな。」
「止まると人集りになるから動いて回るに限るな。」
うんうん。止まると行列が出来る。
笑顔で御挨拶をして回る方がましだ。
王子とキャサリンの登場で人集りがまた出来る。
「キャサリン人気あるじゃん!」
王子の婚約者として妬かれ続けていたキャサリンにも握手会行列が出来ている。目出度い。
早く始まらないかな。去年より疲労してきたぞ。
ファンです!ファンです!ファンなんです!
何人?何十人から言われただろう。お陰様でノネット・クライムはこの国での認知度が相当出た証拠だ。
王様とお后様の登場で漸く場が落ち着いた。
王が挨拶をしその後で王子が挨拶をする。
恒例の王子とキャサリンがダンスを踊る。
睨まれて無いなあ。周りの視線を見ると羨望の眼差しに見える。
ダンスが終わると拍手が起こる。
「さあ。行こうか。」
財閥組のダンス。私とルイスも中央へ。
するとキャー!と言う黄色い声援が聞こえた。
「なんだ?」
見ると!!!!
クライスと会長がペアを組んでる?!本気だったのかクライス?!
クライスと会長と目が合うとニヤリとされた。
御令嬢達はノネットのお2人が踊られるなんて素敵!!と叫んでいる。
良いのか?!御令嬢達!
他の女と踊られるよりアイドルグループの男性同士が仲良く踊るのを見られるのはファンとしては有りなのと一緒か?
「ウケるなあ。」
「うん。会長は幸せだろうな。」
お陰で目立たず気楽に踊れて楽だし。
ベタベタしても良いし。
「会長が女役だな。やっぱし。」
「見た目は逆なのになあ。」
ダンスが終わるとまた黄色い声援が沢山聞こえた。
クライスは会長の手を取りエスコートして御令嬢に向かって2人で一礼。それがまたウケた模様。
ルイスと私も皆の集まりに合流。
「うーけたー!」
そうでしょう?とクライスと会長が笑う。
「案外ね、女性ってこう言う事には嫉妬しないんですよ。」
会長が作戦成功と言っている。
会長は狙ってましたよね。おめでとうございます。
「僕とジョージも踊ろうか?」
「こんなにウケるならそうする?」
カインとジョージが悩んでいる。
女性パートが踊れないんだよねとブツブツ言っている所へ王子とキャサリンが人混みを掻き分けてやって来た。
「何、面白そうな事やってるんですか!」
王子は爆笑しながらキャサリンは苦笑しながら。
「凄くウケてたわよ。御令嬢達、キャーキャー騒いでたわ。」
キャサリンの発言にクライスと会長はでしょう?とニンマリとした。
「カインとジョージも?踊るんですか?」
王子が羨ましそうに2人を見ている。羨ましいのか?
女性パートが踊れないので悩んでいると解ると僕が踊りましょう!!と胸を張りカインの手を取った。まじか。
「ジェファーソンって面白そうな事、本当に好きよね。」
キャサリンが横で溜息をついているが当の本人はお構い無しだ。
「じゃ、ジョージは僕と踊ります?」
会長が手を出す。身長差的には真逆だけど会長が女性役。
ジョージは良いの?と会長をエスコート。
会長は面白いからでは無く確実に私利私欲だ。
「やっぱりノネット効果だよな。」
「そうね。私にファンが居るとは思わなかったわ。」
それは同感だ。去年との扱いの差に未だに驚いている。
私達も踊ってみるか?キャサリンがギョッとした顔をしたが王子とカインのスタンバイを見てそれも有りか。。と言った。
「行きましょう!」
カインにエスコートされる王子。
ジョージにエスコートされる会長。そして、キャサリンをエスコートする私。
会場にキャー!!!!先程よりも黄色い声援がガンガン聞こえた。
カイン様とジェファーソン様のカップルだわ!!尊い!!
そんな声がチラホラ。
ジョージ様とケビン様よ!可愛い過ぎるー!
コンサートか?違うよ。ダンスパーティーだよ?
キャサリン様とルナリー様だ!美しい!可愛い!
男性の声がこっちは多いな。笑える。
曲がかかりダンスが始まると更に黄色い声援が。
「百合って言うのもウケが良いのよね。」
踊りながらキャサリンがそう言う。百合?って?
「女性同士のカップルって事よ。」
「あー。なるほどねえ。」
ダンスは男パートは何となくなのだが踊れている。
「しかし、こんなにウケるとはねぇ。」
「ファンの心理が解らん。」
御令嬢と踊るのを嫌がっていたクライス達にとっては有難い現象だろうなあ。
ダンスが終わるとコンサートの後の様に拍手喝采だった。
何を考えていたのか気絶者まで出ていた様だ。
尊いんだろうか。
「楽しかったー!」
王子が満足そう。カインも爆笑している。
「これ、良いなあ。本当にこのまま今日は御令嬢をかわせそう。」
「うん。僕はノネットメンバーとしか踊らないと言う予定。」
クライスとカインとジョージが大きく頷き合っていた。
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