第172話明日はミサコンサート

1週間早い。明日はミサコンサートだ。




9月の市民ホールへの宣伝を兼ねてのコンサートになるので何を歌うのか物凄く悩んだ。


新しい楽器の披露も様子を見たいと言う意見も多く「異国の友へ」に決定した。


会長は島唄は温存したいと言う意見だったようだが。




会長とキャサリンに浪漫飛行と乾杯の2曲の提案をしておいた。


グレンさん達に聞いた事は内緒だがお陰様で何時の曲までは覚えていない様なので上手く誤魔化せた。


「あれは名曲だよね。良いの思い出したね。」


「私でも知ってる!凄く良いと思う。ルナリーとルイスで1曲ずつ作ったって事で行こう!」


2人とも知っている曲で良かった。




「チケットの発売は明日かららしいわよ。」


昔はネットでコンサートチケットは取れるしコンビニで決算受け取り出来たのに不便な時代だよね。とまた会長とキャサリンが訳の解らない事を言っている。


何を言ってるか解らんとルイスも言ってくれて良かった。




ガラっとドアが開き皆がやって来た。


「張り切ってますね!」


「チケット売れるかかかってるからね。」




最後に多忙の王子が来た。


「本当にすみません。もうバタバタで。」


大丈夫かー?無理するなよー。王子はいつも頑張り過ぎるからなあ。


「大丈夫ですよ。やっと今日からゆっくり出来ます。」


ニッコリと笑顔が帰って来た。




明日の為に練習開始。


「曲調でウケるよね?」


主旋律カインが少し弱気。


「楽器から何から何までボードウェン初ですからね。」


今回は男性メインで歌う。


主旋律カイン、ハモリはクライスと会長。


亊は王子とキャサリン。龍笛エミリア。三味線ルイス。笙ジョージ。小太鼓は私。


楽器で参加ってのがドキドキ。




非常に和なテイスト。個人的には聞いていて気持ちが良い。




「うん。問題無くいけそうだね。」


「プラゲの楽器って良いですよねー。」


本当に習いたてとは思えない楽器演奏も良い出来だ。




「ところで。アンコールどうする?」


考えておかないと面倒だろうなあ。当初はプラゲ国で作った3曲全部披露しようかと言っていたのだが、市民ホールコンサートが控えているから新曲は披露却下。




「さくらさくらを演奏するってのは?」


ルイスが提案。


「あー。プラゲ楽器演奏は良いかもですね。」


王子も賛成してくれた。尺八や鼓も持ち込みしておこうか?となり楽器演奏披露にしようと言う話で纏まった。




午後からは楽器移動を本日中にしようと言う話になり教会へ行く事にした。


王子の私設兵の方がお手伝い。全く持って助かる。




教会へ行くと大司教さんが出迎えてくれた。


「お久しぶりです。明日からチケット販売ですね。」


ワクワクとドキドキですと笑顔だった。


ちなみにチケット販売は市民ホールと教会で行われるそうだ。


なるほどキャサリンと会長が不便だと言っていたのが何となく解る。電話予約も出来ないのか。


宣伝もポスターだけだし。ポスターはそれ程有名では無い芸術家の方がデザインされたらしい。


教会に貼りだされていたポスターを初めて見た。


第1回 ノネット・クライムコンサート


綺麗なレタリングで目立つ様に描かれていたがちょっとインパクトに欠ける気がする。


無難なポスターと言う印象だ。




「ポスターでしょ?何かもう少しかな?と思うんですけど伝わらなくて。芸術って難しいですよね。」


王子も少々不満らしい。


絵に関しては私達は素人。デザインすら出来る気がしない。


ん?あれルイスって親衛隊だよな。昔、ブロック塀とかに夜叉参上とか色々書いてたよね。案外やらせたら上手いかもなあ。




「売れるといいね。」


「本当に。」


切実にそう思う。会長と今後も一緒に活動したい。




「気合い入れて明日は歌う!」


カインが決意した様にポスターを睨んだ。


皆でひとつに!




目標、チケット完売!!

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