第167話最終日は海で

朝ご飯で角煮が出てかなりテンションが上がった。


「めっちゃ美味しい。」


「このカラシを付けてもいけますよ!」


そうそう。角煮は好物の1つだった。皆も美味いと感動している。




「今日は何する?最終日だそ。」


どうしよう。ラストだと思うと凄く迷ってしまう。


「泳ぐ!!」


今まで温かく見守っていた大人達が声を上げた。


大司教さん、ローズさんもグレンさんも声を揃えていた。


確かにここに来て泳がずに帰ると言うのは勿体ないか。


「あー。確かに海が綺麗ですもんね!」


「最後くらい遊びますか!」


王子もクライスも結構やる気になってきている。


琉球は海が綺麗だと会長が皆に言っていたので水着も持って来ようと決めていたが歌が忙しくて全員の脳内から消えていた。


大司教さん達は泳ぎたかったんだろうな。申し訳ない事をした。




夏目さんがバスで浜辺まで連れて行ってくれる事になり海へ行く準備!


水着は服の下に着るべきかな。


記憶が戻る前までは全く疑問視してなかったけど露出は殆ど無い。


Tシャツと短パンぽいスタイル。これでも普段着より露出はあるんだが。


「プラゲ国ってどんな水着なんだろなあ。」


「そーねー?あんまり変わらないんじゃないかなあ?」


「足出すの恥ずかしいー。」


エミリアは太ももを摩りながら照れている。普段はここまで短い服は着ないもんなあ。


上からワンピースを着てバスへ向かう。




「あんまり泳ぐと日焼けするわよね。」


「痛いだろうな。」


でも久々の海なのでテンションは上がり気味。




バスには男子達は皆揃っていて皆、なんだかんだと泳ぎたいんだなあと思った。


暫くバスを走らせると海沿いの町が見え勿論、海も見えた。


「めっちゃ綺麗!!」


エメラルドブルーの海が一面に広がる。




バスを停め浜辺へ向かう。砂浜が白い。まさに青い海白い砂浜!


この時代だからか観光客も居らず地元住民も疎ら。


貸し切り状態だ。




「砂浜暑っつー!!」


「直ぐ裸足になるからだよ。」


ルイスはカインに突っ込みを入れられながら海へバタバタと走っていく。


海は少しだけ冷たくて凄く澄んでいて本当に綺麗だ。




「見て!魚いるー!」


「沖まで行きたいなあ。」


皆、子供の様にはしゃいでいる。いや、大人達もだな。


大司教さんが予想外に泳ぎが上手くグレンさんと結構遠くまで競って泳いでいた。




「やるな。大司教さん。」


都会の海は芋洗い状態で海水も綺麗ではなかったし。


昔はプールでしかまともに泳いだ事がなかった。


この世界ではまだプールが無く数回泳いだかな?ボードウェン国の海も綺麗だ。でも琉球の海は南国!って感じがする。




「目のやり場に困りますね。」


「ジェファーソン、結構エッチだね。」


「むっ。。仕方無いでしょう。」


王子とジョージがボソリとやり取りをしていた。笑える。


確かに短パン履かないもんなあ。普通のビキニとかに比べたら全く露出度は低いんだけど。


どうでも良い話だが男性の水着スタイルもTシャツと短パン。上脱がないんだなあ。




「ルイス!」


バシャッ!!とカインとクライスと会長が水をかける。


「こら!やりやがったな!」


そちらでは猛烈な水掛け合いが始まっていた。




「平和だねぇ。」


「本当だねー。」


私とエミリアはプカプカ浮いてぼーっとしている。


キャサリンは素潜りしている模様。流石、泳ぎが上手い。




ローズさんは何をしているのやらと思ったら結構遠くまで泳いでいた。


ちょっと足のつかない所まで泳ぎ、


「潜るかー!」


エミリアに呼び掛ける。


スキューバとかシュノーケリングがあれば良いんだけど流石に沢山は潜れないだろうなあ。


海の中は透き通っていて魚も居るし美しいサンゴ礁もあった。




「ぷっはー!!」


肺活量には自信があるのだが上手く潜れない!!息が持たずに海面に上がる。結構、難しいな。




「キャサリンは王子と泳がないの?」


こんな時こそイチャイチャしたら良いのに。


そう言うと夢中になり過ぎていて忘れていたっぽい。


「ちょっと行ってくるわ!泳ぎは絶対、私が上手いわね!」


ザバッと岸へ向けて泳ぐキャサリン。確かに早い。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「ジェファーソン!!」


呼び掛けると笑顔で振り向いた。


「キャサリン、泳ぎ上手いね!」


「海、好きなんです!」


あっ。泳ぎ下手な方が良かったかなあ。でも私は私だもんね!




「あの!手繋ぎましょ!」


ジェファーソンはちょっと驚いた様な顔をした後に微笑んで手を出した。


さあ!行きましょー!




「わっ!足付かない所まで行くの?」


「うふふ。そーですよー!」


ちょっと意地悪?かなあ。ジェファーソンは泳げるけど多分、私程は泳いだ事無いみたい。




そこまで深く無い所まで立ち泳ぎで引っ張る。


「キャサリン、凄いなあ。こんなに泳げたんだね。」


海が透明で本当に綺麗。


やっぱり昔より綺麗な気がするなあ。経済が発展すると環境も汚染されちゃうんだよね。




「ジェファーソン。私、此処に来て本当に良かったわ。」


「僕もだよ。」




皆、見て無いわよね。。




ジェファーソン大好きよ。


そっとキスをした。自分からするのは初めてだ。恥ずかしいんだけど今、したかった。


突然のキスにジェファーソンは少し照れた様に微笑んでくれた。


「キャサリン、大好きだよ。」


きゅっと抱き締めて来た。


でも、ちょっと不安定だわ。足がつく所なら良かった。


2人でバタバタしながら笑い合う。




「キャサリン、ずっとこうしていたいけど足疲れてきたよ。」


「私もー。」


あははは。笑いが止まらない。


岸へ戻ろう。ゆっくり平泳ぎをしながら。



お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、今、幸せさー。心配しないで。




「キャサリン、どうしたの?」


「今、幸せだなーって!思ったの!」


僕もだよ。ジェファーソンが微笑む。




ジェファーソンとこの世界で幸せになろう。沖縄の海に誓って。

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