第163話ジェファーソンの歌詞作り

会長も一緒に歌ってくれながらニュアンスを学ぶ。


不安定そうに聞こえるけど芯が強い高音の歌い方。


「声楽と違いすぎ。」


この平成の歌手は本当に美しい声を持つ偉大な方だな。すげーよ。


民謡の先生とクライスとカインが私達の練習を聞いて寄ってきた。


「その曲は会長が?作ったの?」


クライスの質問に


「取り敢えず。ルナリーの独唱曲。」


と答えていた。凄いなあ。めっちゃ難しいと楽譜を見ながらメロディーを確認している。




「貴方は琉球の民謡の歌い方が凄く上手ですね。」


先生にバレてますぜ会長。


会長は昨日学んだのと3人の練習を聞いてただけですが才能ありますかね?とシラーっと笑顔で躱していた。




民謡の先生が会長に指摘された箇所を教えてくれる。


耳で聞く、歌って見る。繰り返し。


「歌えた!どう?会長!!」


通しで今までで1番歌えたと思う。会長の目に涙が溢れていてちょっとドキっとしてしまった。


「ごめん。自分で作ったのに感動してしまった。」




「いや、僕も凄く感動した!」


「ルナリーも凄いけど会長が凄い!」


カインとクライスが褒めまくるので嬉しい。




「さて、次作るか。」


まだ作るって言ってたもんなあ。会長やる気満々だ。






「ジェファーソンの曲への作詞完了!!」


キャサリンが感無量と言う顔をしている。




「見せてー!」


キャサリンとルイスの元へ行く。


歌詞はボードウェン語にしたんだ?


「やっぱり外国の曲ばかりだとね。言葉が解った方が良いかなー?って。」


民謡の方はプラゲ語だしね。




作曲ジェファーソン、作詞キャサリン(ルイスお手伝い)


メイン楽器は亊。龍笛、三味線、笙、小太鼓も使うそうだ。


「曲名は?」


悩んでいるんだよね。ちょっと歌詞見て考えてよ。と振ってきた。ジェファーソンの亊の曲を思い出しながら軽く歌いながら歌詞を見る。




《限りなく広がる空に 異国の風を感じて


静かに目を閉じる 何処か懐かしい


風の匂いを 胸いっぱいに吸い込んで




この地に立って 大地を感じて


沢山の出会い 人の優しさ・・・》




「もう。プラゲ国の歌だな。」


「やっぱりそう思うわよね?」


ジェファーソンに見て貰おうよ。本人が納得してくれるか確認しないとねと言う事になり三線稽古の彼等の元へ向かう。




三線めっちゃ上手くなってるー!


「練習中ごめんなさい。ジェファーソンちょっと良い?」


キャサリンが声をかけると王子は笑顔を見せて寄ってきた。




「亊の曲に歌詞を付けて見たんだ。」


「見せて!ありがとう!」


王子は嬉しそうに歌詞を見てうんうんと頷いている。




「イメージはプラゲ国で書いたんだけど。」


うーん?王子は少し考えながらサビがちょっと違う様な?


と腕組みをして天井を見ている。




「何か違う?変えようか?」


珍しい反応にキャサリンもちょっと驚いていた。プラゲ国に来て文章能力にも目覚めたのか!?




王子は徐に座りペンを握りしめ歌詞と向き合っている。


私達も近くに座って王子を見守る事にした。




暫く経って王子が書き始めた。




「サビはこれで!!御願いします!」


王子は少し不安そうだけど信念を持った目でキャサリンを見詰める。キャサリンは王子から歌詞を受け取った。




王子作詞サビ部分




《また逢える また逢おう


友情は本物だから




また逢おう 逢いに行く


友情は永遠だから




君との出逢いに ありがとう(ここはプラゲ語)》






「ありがとうはプラゲ語なのね。」


すげー。割とまともだ。あんなに歌詞が思い付きもしなかった王子が覚醒した様だ。




「ジェファーソン!サビはこれで行きましょ!」


キャサリンも感心した様に歌って確認している。


難しい曲では無いけれど和楽器でやる初曲。




「ジェファーソン。題名は?」


さっきそれ悩んでいたんだよな。


王子はうーん?と目を閉じて考え込んで




「異国の友へ」?


私とキャサリンは大きく頷いてグッジョブ!と親指を立てた。




台風の吹き返しも鎮まった頃には


「異国の友へ」「ワダツミの木」「島唄」


の3曲が殆ど完成した。

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