第164話お手伝い
「練習もしたいけどちょっと昨日の民家へ行きませんか?」
台風の被害が心配だったので周辺を見て回ろうと言う話になった。
首里城を出るとまだ少しばかり強い風は時折吹いた。
空はすっかり晴れている。
泥濘に気をつけながらゆっくり歩いて行った。
思ったより被害が少ない気がする。歩いていて思った事の1つだ。
「そうか石垣で囲ってあるんだね。」
カインが徐に壁を触っている。屋根も良く見ると首都や京都で見た瓦とは違った。
赤いだけじゃないんだ。
「漆喰で繋いであるのよ。だから飛びにくいの。後はこの石垣や防風林。」
キャサリンが護衛の人に聞いたと説明してくれた。
凄い知恵だな。
「後は飛びそうな物は全部屋内にしまうんだって。」
昨日、三線で一緒に踊った民家の様子を伺うと庭の掃除をしている様だった。
「昨日はありがとうございました。大丈夫でしたか?」
そう確認すると久々に酷い台風だったですね。と少しお疲れ気味だった。
やはりこの辺りはまだ、ましな方で海の近くは大変らしい。
庭の掃除を手伝ったり補強してある木の板を剥がしながら話を色々聞いた。
もう少し時代が進んでコンクリート住宅になったら被害も違ってくるんだろうなあ。
民家の方はとても恐縮して手伝ってくれたお礼を述べてくれていたが昨日の持て成しに比べたらお易い御用だった。
もう1件の民謡を教えて貰った家も訪れて少しお掃除のお手伝いをして昨日のお礼を言ってもう少し遠出してみる事にした。
「やはり倒木とかありますね。」
暴風雨だったからなあ。住民達は協力して撤去に当たっているので此処もお手伝い。
「他国の事に口出す事じゃないけどもっと災害対策とか将軍様とかがした方が良いよなあ。」
私がボソリと呟くとルナリーにしては真面目ですねと王子に突っ込まれた。たまには真面目なんだよと笑いながらも被害を目の当たりにするとね。
前世から日本って結構こういう時の対策が遅い国だったよなあ。と考えてしまう。
琉球の人達はそれでも明るくて気作で。何だか不思議と癒される人達だ。
手伝ってくれたお礼にと食事までご馳走になってしまった。
キャサリンは宮廷料理ではなく普通の料理を食べたがっていたので笑顔が止まらない。
これは!チャンプルーってやつだ!
「いただきます!」
美味しいです。皆も笑顔になる。箸の使い方も全員上手くなった。
おやつにサーターアンダギーまで出てきた。
キャサリンがホクホクの笑顔で本当に幸せそうだ。
『まーさいびーん!!(美味しい)・・・』
ポロリと琉球言葉を出してしまい御家族の方とちょいちょい話していたがさっき護衛の人に会長も習っていたし何か誤魔化せていた。
美味しいご飯をご馳走してくれた家族にお礼を言って首里城へ戻る。
「さっきルナリーが言ってたけど。」
王子が決意したように話しだした。
「ボードウェン国は災害支援とかでプラゲ国と同盟結ぶ様に王様に話して見ようかなあ。輸出入も勿論するけど。」
「ジェファーソンに賛成!」
会長が手を挙げる。勿論、私も!
ボードウェン国って下水道とかの建設がプラゲ国より進んでいる。
「支援とかよりも技術提供も良いかもね。」
カインもそういう事を言いたいんだろう。今後も末永く仲良くして行きたいもんだ。
しかし、この異世界は平和そのものなのだが。本当に戦争とか起きないと良いな。プラゲ国に来て考えさせられる事が多い。
首里城へ戻ると夜に花火大会が開かれると言われた。
夏の風物詩!
ボードウェン国では見られなかった花火が見られるとはラッキーだ。花火を知らない皆は解らないけど何か楽しそうだとウキウキしている。
花火と言えば浴衣だ。
まだプラゲ国に来て此方の着物とか着てなかったが夏目さんに頼んで見ることにした。無理を言って申し訳ないが快く用意してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます