第155話和楽器を習う


初めてのお筝。しかもジェファーソンと一緒に練習。


しかし甘くは無かった。楽譜が読めないと言うか意味が解らない!!


他の皆も苦戦している様だ。


「キャサリン、音階を覚えようか。楽譜を理解するより早いかも。」


頭に五線譜がきっちりインプットされている私達に和楽器の楽譜を新たに覚えるのって至難の業だわ。


これが4分休符でこれが8分休符?


押さえながら弾くっと。王子は漢字で書いてある亊にも苦労している。


『難しいでしょう?慣れるまで何回もやり込みましょう。』


お筝を教えてくれている囃子方の方は本来は鼓を演奏されているのに無茶苦茶上手い。


『難しいです!でも音色が本当に美しいです。』


王子は亊を爪弾きながら笑顔で意欲を見せた。


私も頑張らねば!


前世は音階も解らなかったけど今は音を聞いたら解る様になってるのよね。才能は皆より無いけど。


練習曲はさくらさくら。初心者にピッタリらしい。


私の方が元々曲を知っているのにジェファーソンの方が覚えるの早い。焦る。


「亊、楽しい。」


さくらさくらをマスターしたジェファーソンは音を楽しんでいる。


あれ?何か聞いた事ないけど曲になってる。ジェファーソンの奏でる亊の音色が、、やっぱりオリジナルだ。


「ジェファーソン?もしかして作曲してますか?」


尋ねるとちょっと悩み顔で頷かれた。


「ピアノでは全然思いつかなかったのに。何か自然とメロディーが閃くんだよね。」


「凄い!それにとっても素敵なメロディー!」


そう言うとジェファーソンは照れながら曲をメモしている。


不思議。亊だと出来るんだ。ジェファーソン凄く嬉しそうだなあ。


私も漸くさくらさくらをマスターし囃子方の師匠にOKを貰った。


『なかなか才能ありますね。』


2人とも褒められた。特にジェファーソンのオリジナル曲はお墨付きを貰え嬉しそう。ジェファーソン様ぁ!初めての作曲おめでとうございますー!と心の中で叫んだ。


流石に直接言ったら逆に馬鹿にしてる見たいに聞こえそうだし。私の作曲は偽物なんだけど。それは言えない。


『プラゲ国に来て本当に良かった。そして教えて頂きありがとうございます。』


2人で笑顔でお辞儀をする。囃子方の師匠はボードウェン国の方は素晴らしいですねと褒められまた照れてしまった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




ドドドン!!!


大太鼓、初めて叩いた。音が大きいから皆とは別室に通された。


結構力がいる。がむしゃらにただ叩いていてもいけない。


『女性なのに力ありますね。』


褒められてる?よな。


『そりゃ鍛えてますから!』


と元気よく撥を振る。この間とポーズと言うかこれが太鼓の醍醐味だな。


「ルナリー、これ鍛えるのに良いなあ。」


「うんうん。腕筋に良いよ。」


腹筋も背筋も鍛えられそう。


「大太鼓買うのかな?」


「流石に重量オーバーじゃないか?」


確かに凄く重そうだ。


「教会に持ち込むのも無理そうだな。デカいし。」


ちょっと残念。ルイスとの太鼓セッションはとても上手いと囃子方の人にも褒められた。


そして良いストレス解消になった。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




笙と言う楽器は不思議な楽器。


今まで見た事も無い楽器だった。


音はパイプオルガン!そうジャンルはそっちかも知れない。


吹いても吸っても良いのか。


押さえる指難しい。


呼気による水気が溜まる事で音が変わるので時々、火鉢?って何か解らないけど炭火の入っている物で暖めながら演奏するそうだ。




「弦楽器専門なのに上手いねジョージ。」


「カインも上手いよ。」


楽譜の意味が解らないのが辛いけど音は耳で覚える。


『亊がさくらさくらと言う曲を練習しているので此方もそれを練習しましょう。』


そう言われ必死!!


これの歌の方を歌いたいよ。。ピアノ以外の楽器は苦手だ。


「これ#ドだよね?何か音階が不思議だよね。」


「ドレミで並んで無いしね。」


『難しいですか?』


囃子方の先生が尋ねられたので音階が不思議だと正直に答えた。




『多分、プラゲ国独特なんでしょうね。他の国の音楽が解らないので。』


なるほど。確か文化を尊重する、此方の音楽を無理に広める事はダメだったよねと思い出した。


よし、プラゲ国の音階に慣れよう!


ジョージと2人でまあまあの笙マスターになった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




尺八って言うのか。サックスとはやっぱり違うね。


プラゲは本当に木を使った楽器が多い。




「あっ。ちゃんと音出せた!」


と言うと会長が横で笑顔を見せる。


会長も金管楽器や木管はやらないらしいのでお互い悪戦苦闘中。




『良い音色ですね。渋い!』


会長が囃子方の先生にそう言っている。渋い?ってこう言う音の意味にも使うのかな?会長はプラゲ語上手いよなあ。




亊の練習に合わせてさくらさくらを練習する。


後でのセッションが楽しみ。


会長、あんな事があった後なのに元気そうで良かった。


何か何時も優しい会長に甘えてしまう。


「クライス、そこ音違いますよ。」


笑顔で教えてくれる会長にちょっとドキドキしてしまった。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




龍笛、神楽笛、能管!!


何て素晴らしいの!!!


『ブラウンさん凄いですね。貴女は笛を吹くために生まれてきたのかもしれない。』


囃子方の能管の先生に凄く褒められている感じだ。ちょっと意味が解らない所もあったけど。


『ありがとうございます。笛、大好きなのです。』


そう言うと女性でなかったら弟子にしたいと言われた。




この国は女性は囃子方には慣れないのかな。




『この曲もやりましょう。』


『勿論やります!』


私は龍笛が1番合う感じがする。








そして、皆の練習が一通り終わった。


『折角ださくらさくらを合わせましょうよ。』


観世さんにそう言われセッションする事になった。


メインは亊。


太鼓の私達はあれから小太鼓も習ったのでそれで参加。




さくらさくら~花盛り~♪




皆、めちゃくちゃ上手い。相変わらず才能の塊のノネット・クライムだ。


『この短時間で素晴らしいですよ。皆さん囃子方に弟子入りして欲しいですね。』


観世さんに沢山褒められた。




そして、王子が良かったら聞いて下さい。


と亊を弾き始めた。


オリジナル曲か。


これは歌詞付けたら新曲になりそう。




ジェファーソン凄い!!


「これは歌詞考えましょうよ。」


「新曲!新曲!」


皆、考える事は同じだ。




プラゲ国に来て初の新曲!出来そうな予感!

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