第151話おじ様達の奔走

光国さんが大急ぎで権力者の元へ向かった。




さて、これからどうやって時間を潰すかだ。




「取り敢えず、風呂に入るとかして僕は時間潰す方法を取るから。」


会長はボードウェン語で話し始めた。


「ケビン君。本当は嫌なんだよね?」


グレンさんが苦々しい顔で会長を見詰める。会長は冷静に顔色1つ変えずに無言だった。


「何か。出来ないでしょうか。」


「天皇陛下に訴えるとか?」


「会わせて貰えるんでしょうか?」


止められるのは確定だな。直訴って言うのは成功すれば良いけど。


時代劇は得意なんだけど。。この公家達をどうしたら良いのか名案が全く浮かばない。




『美しいおのこが多いのぉ。』


『中納言殿は狡いのお。我等にも1人ずつ頼んで見るか?』


何か新たに危険な気配が。


「見るな。言葉は解らないふりをしろ。」


睨みつけようとする皆を止める。


「しかし、揃いも揃って男好きなんですね。」


「世継ぎ争いの元になるから女は避けてるのかもな。」


勝手な想像だけど。




『さあ、そろそろ行こうか権中納言殿がお待ちじゃ。』


公家の1人が此方に向かって来た。


『申し訳ございません。僕も湯浴みをしないと権中納言殿の御相手は出来ません。』


公家はムッとした顔をした。


『綺麗な体にしないと。』


絶対演技だと言わんばかりの悲しそうな顔をした会長を見て公家さんは納得してくれ会長を風呂へ案内すると言って連れて行った。


「グレンさん一緒に御所探索しませんか?」


大司教さんがニヤリと笑った。


「中納言の居場所は知っておく必要ありますね。」


グレンさんもニヤっとして頷いた。




「今回は男でも危険だから此処に残りなさい。こんなおじさん達は狙われないでしょうから。私達に任せて下さい。」


大司教さんはその場に居た公家に厠の場所を聞いてグレンさんと出て行った。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「やはり私達の年齢には興味無さそうで良かった。」


「確かに。着いてこなくて良かったですね。」




公家はそれ程沢山御所内には居ないようですね。


建物の広さが問題だ。


「所でグレンさんって転生者ですか?意味解らなかったら聞かなかった事にして下さい。」


私の一言にグレンさんは此方をギロっと睨んで来た。怖い。


「ルイスかルナリーに聞いたのか?」


「いや、勘です。怖いから睨むのやめて下さいよ。」


今までの行為で何となくと言うと内緒にしろよ!と急に馴れ馴れしくなってしまった。


しかもやはり暴走族でしかも総長とか。ルイスとルナリーの親分格でしたか。




「昔、京都御所見学した事あるんですよね。」


「そっかあ。俺は無いなあ。」


公家を見かける度にグレンさんは的確に隠れるようにしてくれて非常に心強い。と言うか発見早いし。連れて来て良かった。




これはチャンス到来。


小姓が1人。そしてあれは台所かな?女性発見。




「グレンさん、あの子供を泣かない程度に脅せますか?」


グレンさんはフッと笑って任せとけと言って小姓に向かって言った。


さて、御夫人達の御相手は私がしますか。


今は聖職者なんですけどねー。でも、前世は営業トークに自信ありのサラリーマンでしたから!!




台所の入口に立つと異国の人だとザワついた。


『また来てはるのね。異人さんやわ。背高いわー。』


『綺麗なお顔やね。迷われてはる?声かける?』


『あちらの言葉話せませんよ。』


台所内の女官?かな。30代くらいの3人か。話をするには調度良いですね。




『姫君ですか?お美しいですね。』


私のプラゲ語に驚きながらも女官達は姫君だってとキャーキャー言っている。


『こんなお美しい方は初めて見ましたよ。』


もう一押しかな?嬉しそうな女官に微笑みかける。


『こんなにお美しい姫君がいらっしゃるのにお公家様は男が宜しいようですね。』


勿体ないと言った感じで言うと。女官達はそうそう!困ったものよね!と口々に話しだした。


女3人寄れば姦しいとは良く言ったものだ。


『ここだけの話。権中納言殿の衆道は有名。』


『他のお公家はんも結構そう。』


ほほう。やはり。


『ちなみに権中納言は御所にお住いですか?』


さらりと聞いてみる。


『役職のある方は家と別に部屋をお持ちなので。そこでね。』


キャーキャーと言っている。


なるほどね。


『中納言殿のお部屋は何処ですか?』


ちょっと怪しまれるかとは思ったがストレートに聞いてみた。


少し迷われた後に別に教えても大丈夫でしょ?と言う雰囲気になりサラっと教えて貰えた。チョロい。


『でも、行かれては駄目ですよ。』


『お美しいから押し倒されるかも。』


等とさらにキャーキャー騒いで居た。


忘れずに客間の方向を聞いて


『またお会い出来たら良いですね。楽しいお話でした。姫君達。』


と微笑んで台所を後にした。女達、まだ騒いでる。まあ、お世辞の営業トーク久々でしたが上手く聞けたからOKでしょ。




角を曲がるとグレンさんが全く何を騒いでんだよとキレ気味だった。


「ちゃんと場所聞けましたよ。と言うか怖いですって。」


「あー。わりー。大司教様って事を忘れてた。」


困ったお方だ。


「俺の方もバッチリだ。あのガキもやられてんなー。俺を見る目が、、。ははは。そっちだったよ。」


グレンさんカッコいいおじ様ですしね。


「あれだ。やる時の見張りはガキしか居ないみたいだから踏み込めるぜ。」


その情報は有難い。


「でも、水戸黄門様を此処で死なす訳には行きませんよね。」


「ああ。先の副将軍だしな。踏み込むのは最終手段だ。」




取り敢えず権中納言の部屋を確認しにグレンさんと向かう事にした。

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