第146話リアル水戸黄門ごっこ

〝リアル水戸黄門ごっこ〟と言った所だろうか。


グレンさんが助さん?ルイスが格さん?ローズさんはお銀か弥七と言った感じだろうか。私は八兵衛?それは嫌だ。




『グレン殿は刀?主らは武器はあるのか?』


そう光国さんが心配そうにしたので特殊警棒を見せてあげた。


とても興味深げにこれは便利な武器だ。と凄く欲しがっていた。


ちなみにグレンさんは銃も持ってます。強いです。




城下町に着いた。居酒屋以外の店は開いてない。


街灯が無い。


そう言えば電気は通ってるんだよなあ。本当に不思議な時代設定だよ。


『現われるかのお?』


問題はそこなのだが。それに関しては私達は何かに巻き込まれるのが日常なので妙な自信がある。




『囮頑張れよー!』


ルイス達に応援され任せろ!と武家屋敷に向かって歩き出した。




暗い!兎に角、暗い!


集中して気配を察知しないとな。




そう思いながら歩いているとほんの微かな声だったが


『助けて』


と聞こえた。私は声がした方へダッシュ!




暗がりの中、女性が肩に担がれて連れ去られようとしている所だった。誘拐現場か?!流石、私!


『おい!何してる!!』


私が大声を出すと奴らは逃げようとしたが私が女性だと解り近付いてきた。


『こいつも連れて行くか!』


敵は5人か。アジトに行かないと意味無いもんな。


ここは!気絶したふり!


『あっ。。。』


ふらっと倒れて見た。


『手間省けたな。連れてくぞ!こりゃ大儲けだ。』


売る気かあ。担がれながらちゃんとルイス達ついてきてるかなあと思う。




目を閉じているから解らないのだが木戸を開ける音がした。何処か建物内に入ったのかな。




『旦那!女連れて来やしたぜ!』


アジトに着いたか。


『おい!何だそいつは!異人では無いか!』


私の事だな。


『不味いぞ。パルドデア国人か?』


バシッ!!誘拐犯を殴った様な音が聞こえた。


『あっしは知らなかっんです。まさか異国の人とは。』


男が弁解している。


『まあ、良い。デルソリア国の御所望はプラゲ人の若い女だがパルドデア人でも構わんだろう。』


牢屋に入れとけと言われている。起きようかどうしようか。


『岡部様、今日の手間賃を。。』


武家屋敷の岡部さん確定。しかし、人身売買だったか。タチが悪い。


男に担がれて気絶したふりを続けながら薄目を開ける。


結構人数いるな。牢屋まで行って見るか。




『お助け下さい!』


『人でなし!』


牢屋をガチャガチャ開ける音と女性達の声。


男は私を担いでる奴ともう1人の女性を担いでる奴の2人。


今がチャンス!


『ここは何処だ?』


そう言うと男は驚いた様だったが今から牢屋にぶち込むのさと言って御丁寧下ろしてくれた。舐めてくれてありがとう。


ほら!入れ!掴まれた腕を振り払う。




特殊警棒をポケットから取り出した。


『さあ。やろうか?』




ガッシャーン!隣の部屋で大きな音がした。


あっ。漸く来たか。


『ルナリー!何処だー!』


ルイスの声がする。


『ここー!大丈夫よー!』


んじゃやりますか!男の1人に蹴りを入れ特殊警棒で殴りつけた。


狼狽えて逃げる襟首を捕まえ殴り飛ばした。




『静まるまで待ってろ!助けるからな!』


牢屋に入っていた女性達に声をかけ隣の部屋に向かう。




『ウェールズ!無事で何より!』


『岡部が下手人です!デルソリアに売り飛ばす気でした!』




そう言いながら男の腹に特殊警棒を一撃!




部屋は殆どの下っ端は倒れていた。はやっ!!


『強いのお。儂も負けられん!』


徳川さんは張り切って剣を抜き立ち向かっていく。




『出合え〜!出合えー!』


障子が開き武士達がゾロゾロと出て来た。




「助さん、格さんやっておしまいなさい!!」


思わずボードウェン語でそう言うと何でお前が黄門様なんだよ!とツッコミを入れられた。言いたかったんだもん。




『主ら!やるぞ!』


光国さん惜しい。命令して欲しかった。




『グレン!峰打ちで済ませなさいよ!』


ローズさんがグレンさんに忠告している。確かに。。




流石に武士は隙がない。


でも、場数はこっちも沢山踏んでいる。




グレンさんは向かってくる武士にシッカリと峰打ちを食らわせて最後は蹴り飛ばして倒している。


ルイスは勿論殴りまくってるし。


ローズさんと私は特殊警棒で倒していく。




光国さん強い。この人、剣道も相当強いんだろうな。私達の喧嘩とは違う。


『岡部!何故!人攫い等した!?』


光国さんが岡部を追い詰めて問いただしている。




『最早これ迄!』


切腹しようとした岡部の手を光国さんは止めた。


『話す迄は死なせぬわー!!』


ブチ切れながら岡部の剣を奪い捨てた。




それ見ていたルイスが駆け付け岡部の後ろに回り込み腕を羽交い締めにする。


「ルナリー!」


ルイスに促され手を縛りあげ舌を噛まない様に口も縛りあげた。




『主ら心得ておるなあ。』


光国さんは感心している。




残りの岡部の家来達はグレンさんとローズさんに倒された。




そして、良い頃合いで役人達がやって来た。


『光国殿、またですか?』


大岡さんが呆れた様に入って来た。


大きな溜息を付いて


『ひっ捕らえーい!』


と叫んだ。役人達は岡部を始めとした家来達を番屋へ連れて行く。


『やー!忠相!ご苦労!』


光国さんは上機嫌で大岡さんに笑いかけていた。


『上様から伝いを貰いましたが場所が解らず手間取りました。』


しかし、見事に皆、倒れてましたね。と私達の方も見て苦笑いしている。


『あっ!牢屋に攫われた人達が居ます!』


忘れてた。役人達が牢に向かい女性達を連れて来てくれた。




『デルソリアか。吉宗殿に帰って報告じゃな。』


光国さんは苦い顔をしている。国交のある国なんだろうな。


私も名前だけは知っている。南ピアーナに近い国の筈だ。




『明日のお白洲に来て頂けますか?』


大岡さんに言われ是非!と了承した。大岡裁きが見れる!!






城へ戻ると22時頃になっていたが皆、起きて待っていてくれた。


「お帰りなさい!無事で良かった!」


「心配したんだから!!」


安心と少し怒られたりしながら労ってくれた。




岡部の話、人攫いの話、デルソリア国へ女を売ると言う話を吉宗殿に光国さんは報告していた。




「人身売買。。」


皆もその話を聞いて驚愕の顔をしていた。




『ご苦労であった。ボードウェン国の皆は今日は休め。』


そう言われ客間に通された。詳しい話は聞かせたく無いのだろう。


私達は今夜は休む事にした。明日、詳しく聞けたら聞こう。


暴れすぎて眠い。。

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