第140話飛行船!今年もカインが騒ぎます!

王家御用達の飛行船は飛行場に停めてある飛行船より大きくて頑丈そうに見える。


遠くから見ても直ぐに解るなあ。と思いつつ飛行船まで頑張って歩く。女性も男性も念の為に正装を持って行くとなったので大荷物になってしまった。まだ夏だから良かった。これが冬なら更に増えた。


皆、警護人が荷物持ちをする中で警護人も付けずに全員個人で荷物を運ぶマッケンジー家と私。勿論、鍛えているのだ。


「制服は楽で良いよなあ。クソ重い。」


ローズさんがブツブツ言っている。しかし、自分で持つ根性は流石だ。




1年ぶりの飛行船!そして海外旅行!


しかもプラゲ国、ワクワクで昨日は眠りが浅かった。




乗り場には王と王妃が見送りでいらっしゃっていた。


私とルイスはお辞儀をし挨拶をする。


ルイスの両親は親しげに話をしていた。




飛行船へ乗るとクライス、会長、王子、キャサリンが既に乗っていた。


「今回は保護者同伴で御一緒ありがとうございます。」


王子はルイスの両親を席に案内する。


「気を使わないで大丈夫ですよ。」


とローズさんは余所行きの笑顔で対応している。




「今回もカインの面倒を見るのかな?」


「だろーなあ。」


席を開けておこう。




そして、大司教さん、ジョージ、エミリアと乗って来た。


カインは苦笑いを浮かべながら最後にやって来た。


「姐さん、ルイス。。今回も宜しくね。」


カインは私とルイスの間に座った。


私達よりグレンさんとローズさんに頼んだらもっと怖いよ?と思うが内緒なので言えない。


「今回は26時間程で到着予定です。長いですがゆっくり寛いで下さいね。」


王子の挨拶にカインがうげーと言う顔をしている。




さあ、出発だ!




「いーやー!!待って飛ばないで!むーりー!」


カインの叫びと共に飛行船は動き出した。


「こら!黙れ!」


「ほら!こっち見てろ!」


私とルイスがカインを睨みつける。


「だってー!揺れる揺れるって!怖いって!」


「去年も大丈夫だったろ?!アホが!」


全く困った高所恐怖症と性癖だ。




「カインさんは何時もああなんですか?」


大司教さんが会長に質問していた。会長はそうなんです。その内落ち着きますよー。と会話していた。




「無理!無理無理無理!26時間も空の上って。あーん!」


この前より激しいなあ。


「おら!騒ぐな!」


私は胸ぐらを掴んでカインを睨む。


「足りないよ。怖いよ姐さん。」


泣きそうなカインを笑いを堪えて睨む。ルイスも胸ぐらを掴んでガン飛ばす。




「カイン落ち着きましょうねー。」「煩いですよー。」


クライスとジョージが笑いながらヤジを飛ばす。


「怖いってばー!!」




「フライトが長いからですかねぇ。落ち着かないですね。」


「皆で睨みます?」


エミリアと会長も慣れたものだ。


しかし、今回は中々落ち着かないなあ。




「ルナリー、面白がってるだろ?」


ルイスに突っ込みを入れられる。実はそうなんだ。


「もっと睨んでってー!怖いってー!」




「大丈夫かい?カイン。」


すっと立ち上がりグレンさんが此方にやって来た。


あっ。来ちゃった。


グレンさんは皆に見えない様にカインに一睨み。


カインはビクっとして声が止まった。




「あぁ。落ち着いた。凄いです。」


そう言うカインにグレンさんは内緒だよっと囁いて席に戻った。




すげー。やっぱ総長だわ。




「ルイスのお父さんって凄いね。」


小声でルイスと私に言うカインに


「俺の親父だからねー。」


と言うと納得してくれた。




上空に上がると揺れも止まりプラゲ国へ向けて飛んでいく。




「ルナリー!今日はトランプ無いの?」


王子のリクエストにお答えして今回も大トランプ大会を開く事にした。




座席の後ろのスペースって居心地良いよね。


皆で座っても余裕がある。


定番のババ抜き。七並べ。


対戦ポーカー。神経衰弱。




ババ抜きはやっぱり会長が強い。皆、顔に出るんだよと笑いながら勝ち抜く。


「そんな顔に出てるかなあ。」


最後に残ったクライスと王子。出てるって。




去年より仲良し度が増した私達は何をやっても楽しい。




「くそ。パス!!」


七並べは運と如何に止められるか。


これはカインが強い。意地悪そうに止めている。


「カイン、さっきまでの狼狽が嘘の様に生き生きしてるよね。」


カインに止められているジョージとルイスが嫌味を言うが


「そう?止めてないよ?」


等とサラッと答える。もうドSモードだ。




お昼ご飯もやっぱりこのスペースで。




「本当に仲良しなのねぇ。」


ローズさんが微笑ましく此方を見ている。


「青春って感じですね!」


大司教さんも羨ましそうだ。




「お義父さん、お義母さん、大司教さんもトランプやりませんか?」


私が誘うとちょっと悩まれたが参加される事になった。


日本人、昭和生まれはトランプで遊び慣れてます。




特にグレンさんのポーカーの引きが強い。


「フルハウス!」


ぐー!ツーペア!


中々勝てない。




気付けば夕食まで遊んでいた。

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