第138話7月コンサート

早いもので本日は7月コンサート。




期末試験も無事に終わった。成績は。。音楽だけはトップ。後は相変わらずだ。


コンサートが終わったら直ぐに夏休みそしてプラゲ国行き。


王子の誕生日前には帰って来なくてはならないので7月25日から10日程を予定している。




「サマーバケーション、大丈夫かなあ。」


作曲した会長は少し不安そうに呟いた。


「今更、、大丈夫ですよ!良い曲ですし!」


「アンコールはプラゲ国の歌にしましょうね。」


ジョージもクライスに励まされると会長嬉しそう。




「凄い人数ですよ!」


エミリアが礼拝堂をそっと覗いて言った。


「わっ。外まで溢れてる!!」


かインが慌ててドアを閉めた。


もう礼拝者と言うよりコンサート目当てな感じがする。


「ちょっと大きい会場でやりたくなってきましたね!」


王子がワクワクした様に音楽ホールでやる日も近い!と言っている。




「アンコールが来ない場合もあるけど一応、決めとかない?」


キャサリンが言うと皆、うんうんと頷く。


「結構、真面目な歌多いですよね。プラゲの歌って。」


「だーよなー。」


童謡とか古い歌だしなあ。


「言葉解らないだろうから何でも大丈夫でしょ?」


カインの意見は最もだった。






大司教さんが前回よりノリノリで紹介をしている。


拍手が起こる中登場。本当にアイドル化しているよ。




王子が挨拶を行ないまた拍手が起こる。そのうちオールスタンディングとかになりそうな感じがする。実際に立ち見の礼拝者が居るし。




「サマーバケーション!!」




王子はピアノ、ルイスはヴァイオリン、ジョージはチェロ。


6人が前に並ぶ。




前奏からダンス。今回のって完全にアイドルっぽい。




サマーバケーション!サマーバケーション!




ラストもポーズを取る。






ワっ!!!拍手喝采が起こる!


「可愛いー!」「バートリー様ー!!」「キャー!!」


「フォワード様素敵ですー!」


今日は黄色い歓声が多い。


後ろの立ち見の礼拝者が若い令嬢だらけだったか。




アンコール!!アンコール!!




「やっぱりアンコール来たか。」


うんうん。と皆で目配せしながら全員で並んで一礼する。




アンコール!アンコール!!!




「今から歌う曲は外国の歌です。歌詞とか解らないと思いますけど聞いてくださいね。」


王子がニッコリと微笑まれると歓声と拍手が起きた。




童謡でも初だと楽しいだろう。


ちょうちょ、箱根八里、荒城の月。


をメドレーしラストは蛍の光を歌った。




蛍の光窓の雪




この歌って涙腺に来るなあ。仰げば尊しとか歌ったら確実に泣きそうな昭和生まれ。




そう思いながら歌っていると大司教さん泣いてるし。


ルイスの両親も涙している様だった。


うん。泣けるよね。




歌い終わるとまた違った感動したような歓声と拍手が起こった。


プラゲ語で歌詞は解らないだろうけど感動してくれた様だ。




特に蛍の光と荒城の月は良かった様でしみじみと素晴らしかったと言う感想が聞こえて来た。




「ノネット・クライムの皆様ありがとうございました!これにて本日の礼拝は終わります。」


涙を拭って大司教さんは挨拶していた。




控え室までの道程が益々遠くなった気がする。握手や歓声や感想やら。


控え室に入って思わずクライスが鍵をかけた。


「鍵かけるからね!令嬢達多すぎ!!」


思わず笑ってしまった。




「大司教様、泣いてましたね。プラゲ語が解っていると感動しますよね。」


エミリアが笑顔でそう言うと皆、頷いていた。




いや、多分、蛍の光は条件反射だ。聴くと切なくなるのだよ。




「それにしても令嬢増えましたね。」


会長とクライス、ジョージ、カインは名前呼ばれてたなあ。


「歓声の殆どがクライスでしたね。」


カインがドSっぽい顔でクライスを見て笑った。


「本当に迷惑。だけど。楽しかったね。」


クライスはちょっと苦笑い。




「早く帰ってくれないかなあ。」


ジョージが扉に耳を付けて礼拝堂の中を伺っている。まだ騒がしい様だ。


帰るまで絶対、出ません!!クライスとカインが宣言する。




「嫌だろうけど、国立管弦楽団も凄いファンが居る訳だし。そろそろ覚悟した方が良いかもね。」


会長が溜息混じりに言った。




司祭の方が関係者以外はお帰り下さいと言っている声が聞こえた。


「本当だ。ファン増えすぎ。」


ルイスがうわーと言う顔をして大きな溜息を付いた。




漸く礼拝堂に出られた。




今日はうちの両親、エミリアの両親も来ている。




「ルナリー!凄い人気なのね!」


「ビックリしたぞ。」


だろー?と笑うと両親はとても嬉しそうだった。




「ルナリー!」


ルイスに呼ばれて両親を連れて挨拶に行く。


両親は緊張した様でルイスの両親にペコペコと頭を下げていた。




「初めまして。いつもルイスがお世話になっています。今後共宜しく御願いしますね。」


ローズさんが改まって挨拶すると


本当にうちの娘で大丈夫ですか?本当にすみません!


と何か必死だった。




「何時でも嫁に来て下さいね。」


グレンさんの申し出に両親は、はい!もう何時でも!と言っている。困った庶民だ。




両親が深々と頭を下げて帰った後で


面白いなーお前の両親とルイスの両親は笑っていた。


小心者だからあまり弄らないであげて下さい。




王子は今度のプラゲ国行きの各両親の承諾書を取って回っていた。


何処の両親も快くサインしている。この事を誇りに思っている様ですっかり将来はグループ活動をして欲しいと思っている様だ。




今回のコンサートも成功。そして間もなくプラゲ国へ出発。


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