第137話また会う日まで

本日の晩御飯は天ぷらです!




『おお!天ぷらでは無いか!』


『お気遣いありがとうございます。私も好物です。』


徳川さんも夏目さんも興奮している。




サクサクだ。料理人達流石です。


野菜天と海老天、後は白身の魚の天ぷら、茸の天ぷらと。


『この野菜は何ですか?』


と言う質問に、王子がズッキーニですとプラゲ語で答えていた。


1日で凄い言葉の成長だ。


恐らくプラゲ国には無いズッキーニやピーマン、ポルチーニ等も美味しいと言ってくれている。


「まじで美味いな。」


「うん。天ぷら最高。」


私達も堪能。




食事も終わり紅茶とデザートが出た時だった。


『ボードウェン国に来て良かったです。実は最初は嫌だったんですよ。』


夏目さんが少し申し訳なさそうに言った。


『パルドデアからは石油を輸入しておるからなあ。強気に出られるとどうも言う事を聞くことになる。』


なるほどそう言う内情だったか。石油か。日本は石炭は取れても石油は輸入だもんなあ。




『無理を聞いて頂きありがとうございます。』


王子がしっかりとプラゲ語で言うと。夏目さんは笑顔でそう言う対応がこの国に来て良かったと思えるんですよね。と言われた。




ボードウェン国ってゲームの製作者が日本人だから日本的な所が多いもんなあ。こうやってプラゲ国と比べると似てるなあと思う。




『所で主らはプラゲ国の何処を回る?』


徳川さんの護衛の人がプラゲ国の地図を持って来てくれた。




『地図ですか!!図書館にも無かったんですよ!』


会長が食いつく。


この地図は出回って居ないらしく当初は見せる気は無かったそうだ。


『見せても良いと思ってなー。』


徳川さんは此処が首都のプラネット。と指してくれた。


位置は東京付近だ。ちょっとズレてる気もするが。


『うわ。全部漢字だ!』


流石に読めない!と王子達は言った。確かに地名って漢字だよね。地図は前世の日本の形とは少し違う。


地図の精度が悪いのか実際にその地形なのか。


簡単に言うなら沖縄から北海道や四国も繋がっている。




県名は藩であったり現在の県名であったり。ちょっと製作者のいい加減差が目立つ。会長は一生懸命メモを取っている様だ。




『飛行船で自由に行き来しても良いですか?』


会長が尋ねた。プラゲ国に着いてから車や電車で移動は大変だし。




『どうするかのお。吉宗殿の許可がいるな。』


『外務省の許可も必要ですね。先ずはプラネットに来て頂く事になりますね。』


許可証の話は通しておくと快く引き受けて頂けた。


プラゲ国では当初通りに首都、京都、琉球に決めた。


『京に行くのは良いが飛行船を停める所が無いぞ。』


徳川さんに言われそうだ!空港が無いという事を思い出した。


『大阪へ行くと良い。』


と場所を指された。




『一応、通訳者も付けますか?』


夏目さんの申し出にそこまで甘えて良いのかと迷ってしまう。


『有難いお話ですが御迷惑をおかけしませんか?』


王子の答えにそう言う対応が良いんですよねぇと笑顔になった。


各県に1人ずつ案内人を出せるように探しておきますと仰られた。






朝になり徳川さん、夏目さんがパルドデアに戻られる。


『名残惜しいのお。プラゲ国で待っておる!』


『楽しみにしていますよ。待っています。』


本当に名残惜しそうに2人は最後まで車の中から手を振ってくれた。




「ボードウェン国が気に入られて良かったです。皆さんのおかげです!」


王子が凄く嬉しそうに私達に笑顔でお辞儀をした。


「あっという間だったなあ。」


しみじみと思う。


益々、プラゲ国に行くのが楽しみになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る