第120話作詞の勉強になるか?やってみよう!

放課後レッスンルームにクライスとカインと向かう。


クライスの足は完治までもう少しと言った感じだ。カインが肩を貸してあげて階段を登る。


「大丈夫かー?背負ってやろうか?」


流石に断られたが実際、背負えそうな気はする。




「王子は帰って来たのかなー?」


レッスンルームの扉を開けるとジョージとエミリアが居た。


「あっ。クライス久々!もう大丈夫?」


「まだ痛そうですねぇ。」


御心配お掛けしましたとクライスは申し訳なさそうに言った。


ガラッと扉が開きルイスが入ってくる。


「おー!クライスじゃん!良かった元気そうで!」


皆が揃うと嬉しいよなあ。


会長、キャサリンと続くが王子はまだ来ない。




王子を待っている間に会長が提案をして来た。


作詞についてだ。




「君達ってラブレター書いた事ないだろ?」


突然の発言だったが何となく読めた。ラブソングを書かせる気だろう。


やはり皆、経験は無かった。そう言えばこの世界では小学生の定番の宿題の絵日記も無い。読書感想文も無い。


文章能力が圧倒的に無いのはこのせいかもしれない。




好きな人を思って書くラブレターには歌詞のヒントが沢山だよと会話は言った。




ガラッ扉が開く。




「ただいま!遅くなったね。ごめん。」


王子は粘ったんだけどね。もう少し時間かかりそうと残念そうに言った。


プラゲ国は自分の国の文化を非常に大事にする国で音楽交流と言う形は恐らく難しいと言われた。しかし一方的に習うと言う形なら進められるかも知れない。楽器の輸入も相談して見てくれるとは言ってくれたんだけどね。




今日、即決めしたかったんだろうな。流れは悪くなさそうなのに。


「取り敢えず夏休みを目標に行けるように頑張るよ!!」


王子は笑顔でそう言った。




「で、何か話してたの?」


会長がラブレターの話をもう一度した。


王子は真剣な顔でなるほど!と大きく頷いた。




「じゃもっと納得してもらう為に。ルナリー!試しに書いて。」


無茶振りをして来た。えー?ラブレター?恥ずかしいし。


とごねると、出会った時の事を書いてと言われた。


少し脚色して良いからと言われ渋々と考える。




まあ、書けるけどさあ。


「脚色して良いんだよな?出会いは睨み合いとかなんだけど?」


と言うとルイスは思い出し笑いが止まらなくなっていた。


会長もやはりそんな感じだったかと笑い出した。




歌詞のヒントね。こんな感じかな。


「良し!こんなもんだろ。読むよ!!」




出会いは去年の今頃。


聴こえたのは私を呼ぶヴァイオリンの音色。


教室のドア越しに君を見る。


私の鼓動が早くなる。


貴方から目が離せない。見詰めあったまま時が過ぎた。




「恥ずかしー!」


本当に恥ずかしい!ラブソングを自分で書くのは無理!


私の照れた反応とは裏腹に王子を筆頭にクライスもジョージもエミリアもカインも感心していた。




「凄い。。こうやって歌詞って作るんだ!!」


即興で書いた下手な文章だけど多分、王子達より上手いんだと思う。




「ルナリー、ありがとうね。という訳で練習を兼ねて今日から交換日記を開始します!」


交換日記?また懐かしい物を出してきたなあ。




あれ?あっそうかこの世界には無いのか。皆、意味が解ってない様だ。


「毎日、交代でその日の出来事や相手への質問、ラブレターでも良いよ。後は月夜が綺麗だとか。そう言う事でも良いし。」


そういう事を書いたノートを1日交代で交換します!




皆、うーん?とまだ不明そう。


試しにやってみようと会長は笑顔。




確かに日記って文章を書いた事無いこのメンバーにはピッタリなのかもなあ。


「全く想像出来ないけどやってみようか?」


カインは頷いた。


「うん。試してみる。」


クライスとカインもやる気だ。




「では、キャサリンとジェファーソン。」


キャサリンは嬉しそうに頷いた。


「後はルナリーとエミリアとカイン。ルイスとジョージ。クライスと僕でやろうか?」


面白そうだな。てか、ルイスは書けるのかな?まあ、何とかなるか。




お試しで交換日記が始まった。

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