第118話授業中のジェファーソン
パルドデア共和国。
割と近い。鉄道で半日程の隣の隣の国だ。
作物の輸出入の取り引きがある。宗教は同じ。
音楽はボードウェンほど盛んでは無い。
さて、どうやって切り出すか。純粋に音楽交流が目的なのだが変に誤解されても困るしな。自国と同盟の国を紹介したくないと言う国もある。
「この問題をボードウェン様。お願いします。」
ん?あっ。聞いてなかった。僕とした事が授業中に考え事に夢中になってしまった。
隣の席のキャサリンが教科書をそっと指した。
ああ。これね。
立ち上がって問に答える。
「はい。正解です。解らなかった方居ませんか?」
ごめん。ありがと。キャサリンにそっと呟く。
考え事ですか?
うん。パルドデア共和国の事を少々と言うとニコッと微笑んで来た。
2年になってからの席替えでキャサリンが隣で毎日の授業もとても幸せだ。
席は教科書を忘れた時以外は皆、普通離してあるんだけど。ずっとくっ付けたまま。。
注意される事も無く王子の特権悪用中である。
休み時間になった。
「改めてありがとう。キャサリン。」
「いえいえ。やはり国交があっても簡単には行かないんでしょう?」
まだ解らないけど最初の取っ掛りが肝心だと思うんだよねと言うと一緒に考えこんでくれた。
「パルドデアって友好度は?」
「そうだなあ。南ピアーナ程じゃないんだよ。」
近いのに自身も1度だけしか行った事がない。
「大司教様にお願いしてみます?」
キャサリンって大司教様と仲良いんだよね。ルイスとルナリーも。気に入られてるんだろうなあ。
僕も元々繋がりはあったけれどやはり王子だから一線引かれてる気がする。
また力を借りるのか。うーん。何か嫌だ。
「ちょっと自分で何とかしたいんだよね。」
意地になっても仕方ないんだけど。
答えが出ないまま次の授業が始まってしまった。
今日は2時間続けて座学。ピアノの授業なら集中するんだけど座学って考え事してしまう。
プラゲ国。恥ずかしながら国の名前以外どんな国か全く知らなかった。
会長は僕が作詞作曲に悩んでいるから色々探してくれたんだろうなあ。見た事のない楽器。きっと新しい知識を得られるに違いない。
そうだ!楽器の輸入って言う線で進めたらどうだろう。
作物や燃料系は揉める可能性があるが楽器は影響ない。しかも此方は輸出無しと言う一方的利益ならプラゲ国にとっては悪く無い話にならないか?
待て待てパルドデア共和国にも何かしらの利益を与える必要が出て来ないだろうか。
国交は無理でも外交で良いんだけどなあ。
取り敢えず、パルドデア大使館に行くか!!
思い立ったら即行動ー!
2限目の授業が終わって外交の為早退しますと先生に告げる。
「キャサリン!ちょっとパルドデア大使館に行ってくるよ!」
放課後には戻るねと笑顔で出発!
「今からですか?」
驚いている間にジェファーソンは笑顔で行ってきますと言って行ってしまった。
国立管弦楽団との合同演奏もこんな感じで即行動したんだろうなあ。ルイスがプラゲ国以外に決めないように見張っておくように言った事が解ったわ。
大司教様を頼りたく無いのか。
でも、大司教様もプラゲ国に行きたがってるんだけど。大丈夫なのかしら。何とかしなければー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます