第117話プラゲ国に向けて計画中


「今日、何時から練習だっけ?」


「知らん。誰か居るだろ。」


だいたい土日は朝から練習してるんだけど昨日はルイスの誕生日で練習時間の約束して居なかった。




レッスンルームの扉をガラッと開ける。


「おはよう。この前はありがとねー。」


会長が笑顔で迎える。




「会長、おはよー!筋肉痛治った?」


「あー。この身体で初登山だったからな。かなりバテた。」


私とルイスは喧嘩の為に鍛えてきたからかなあ。バテなかったなあ。コンクールの為に走り込みもしてきたしね。




「そうそう!皆が来る前に!プラゲ国の話をしないと。」


会長は暇さえあれば図書館通いを続け文献を探しまくっている。




「なかなか載ってなくてねー。探せばまだあるかもしれないけど。」


会長が机に分厚い本をバンと勢い良く乗せた。ペラペラと本を捲る。世界の文化と言うタイトルの本で写真も載っている。


プラゲ国。あった。


「この写真。何か見たような覚えが。」


「何処だ?南国?」


あっ。沖縄!会長は頷く。


「プラゲ国のリュウキュウにてと此処に書いてある。」


おお!本当だ!


「あれ?これ三味線?」


ルイスが尋ねると三線だと会長が突っ込みを入れた。




「そうか。沖縄の歌が流行るのは君らの亡くなった後の時代だったな。」


会長は沖縄のメロディーは良いぞーと嬉しそうに言った。


「で、プラゲ国は鎖国はしていない。他国と国交もある。でも侍がいる様だ。変な世界だがそこは仕方ない。」


会長はブツブツ言いながら世界の文化の本を見せる。


「国交がある国、、パルドデア共和国。この国がうちと唯一国交のある所。」


上手く繋がるならパルドデア経由だ。




ガラッと扉が開き王子とカインがやって来た。


「おはよー!昨日はおめでとうだったねー!」


「姐さんもルイスも良い感じで仮婚約おめでとう!」


2人は笑顔で寄ってくる。


会長は敢えてだろうか本を隠さずに広げたままでいた。




「ん?何この楽器!?見た事ない!」


王子が三線の写真に食い付いた。


「へー!弦が3本!僕も知らないな。」


見た事ない楽器でしょう?ほらこっちにもと会長が誘導していく。


プラゲ国?ほほう。他の写真にも食い入る様に見詰めている。


「何?これ?クラリネットじゃないし。え?太鼓でもないな。」


雅楽の写真。尺八と鼓だね。教えられないけれど。




「めっちゃ聞いてみたい!!」


はい。王子が釣れましたー!


とでも言うかの様に会長がニヤっと笑った。




キャサリン、エミリア、ジョージもやって来て写真を見詰めている。クライスはまだ捻挫で練習は休む様だ。




「フルートでもピッコロでも無い。吹いてみたいなあ。」


エミリアも雅楽の楽器に興味津々。ジョージも三線、三味線の音色がどんな音かとても気になる様だ。




会長、絶対この本は狙って見せたんだと思う。


王子はパルドデア共和国経由での国交を考え出しているし。




「流石だな会長。」


耳元でボソッと呟くと、まあねーと笑った。後は言葉の問題なのかなあ。日本語が通じても突然、私達が話せても可笑しいし。




「ジェファーソン、もしパルドデアにこのプラゲ国の言葉が何語か解る文献や辞書等があったら欲しいんだけど。」


会長抜かりなし。


「ボードウェン語は無理だろうねぇ。英語なら良いんだけど。」


そうか言葉かあと王子も考えている。




「取り敢えず、パルドデアに連絡してみるから待っててね。」


良し!ガッツポーズしたい所だが心の中だけで。




「じゃ練習しようか!」


6月に向けて練習しないとね。




「あっその前に!今年の文化祭なんだけど。」


文化祭コンクールか成績を考えたらまた全員参加だよな。




「さっき先生からコンサート開いて欲しいって要望があったんだよ。コンクールの1位と同じ成績付けるって。」


王子とカインが笑顔で言った。




まじか。それは美味しい御提案。




「その提案乗ろう!」


クライスが本日休みで申し訳無いが今いるメンバーは全員一致で参加が決定した。

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