第107話大司教様の次の野望

デビューまで1週間。


今日は打ち合わせを兼ねてキャサリンとルイスと大司教さんとこの教会に来ている。


衣装を見たい!!と言うので持参した。




「やはり!学生はその格好ですよ!!」


大司教さんはとても嬉しそう。世代だよね。




「なぁ。夏服も用意するの?」


流石に学ランはかわいそうだ。大司教さんは少し考えて


「白の開襟シャツ?」


と言った。きっと彼の前世はそうだったんだろう。私の頃もそうだった。


「え?ダサくない?」


キャサリンが嫌そうな顔をしている。キャサリンの頃は今のアリア学院の様な制服が主流だったそうだ。時代は変わるもんだ。




「じゃあ夏らしく水色の半袖シャツにしましょー。下はそのまま黒で。女子は白セーラー服で良いですか?水色に合わせますか?」




水色でお願いしますとキャサリンはまだちょっと不満そうにいった。


「女子は可愛いと思うんだけど男がねぇ?華やかさゼロ!」


そう言われるとパーティとかでは男もフリル付いてるシャツとか着てるもんなあ。




「所でこれ長ランにして良い?短ランでも良い!」


ルイスが目を輝かせて大司教さんに訴える。


「私も!!スカート長くして良い?」


ワクワク。




「却下!」


即答された。チッやはり無理か。




「取り敢えず打ち合わせしましょうよ。」


私達のやり取りに溜息をつきながらキャサリンが教会の椅子に座りノートを開く。


私達も座って話を聞くことにした。




「日曜日の礼拝の後に歌うんですよね?」




「そうですね。10時から礼拝で歌の開始は11時くらいです。」


キャサリンがメモを取ってくれている。集合9時。着替えはクリスマスミサコンサートと同じ場所。


登場は大司教さんの有難いお話の後で紹介があってから。




「ところで何歌うんですか?そろそろ教えて下さいよー!」


大司教さんは駄々っ子の様に此方を見ている。




「言ってなかったんだ?」


「そそ。当日までのお楽しみーにしてる。」


お楽しみは必要だな。




「そうだ!大司教さん!この世界ってギターないよね?」


大司教さんは残念そうに頷いた。




「時代的にはある筈なんですけどね。」


キャサリンも今、気がついた様でびっくりした顔をしていた。


「本当に存在してないわ。全然気が付かなかった!」




「後なこの世界って新しい曲が誕生しないんだ。おかしいだろ?これだけクラシック好きなのに。クラシックでも新しい曲が生まれても良いのにさ。」


会長とルイスと出した結論。




「気づいてましたよ。変な世界観。」


大司教さんはやはりそれで私達に求めていたんだな。


「フラームさんにこの世界は乙女ゲームだと聞いて初めて納得しました。」




「新しい音楽を広めるのは野望の1つ。そしてもう1つ。」


大司教さんがニヤっと笑った。何やらせる気なんだ?厄介事そうだなあ。




「私は教会繋がりで色んな国に行っています。そこで聞いたんです。日本っぽい国があるって。」


あるんだ。咄嗟に言葉が出なかった。




「勿論、私は行った事がありません。日本っぽい国には教会が無いので。布教に行った司教の話だとそこの国の国民は侍みたいなんですよね。言葉が全く通じず布教出来なかったらしいです。」




「行ってみたい!!」


私達は口を揃えて言った。時代は古くても故郷だ。




「鎖国って訳でも無さそうなんですよ。問題はどうやって行くか。」




「場所は?日本は何処?」


もう興味津々で止まらない。




「国の名前が違うんですよ。JAPANでも無いし。確か?プラネ?プラゲ?変な名前でしょ?場所は世界地図で調べて下さい。」




大司教さんがそう言うとキャサリンがポカンとした表情で言葉を発した。




「プラゲ。。プラネットゲームス。このアリラブのゲームの会社名だ!」


「日本に自分の会社名?!なるほどね!謎が解けましたよ。」




日本か。この世界ではプラゲ国。変な名前。。




「ね?野望に付き合いたくなったでしょ?」


ニヤリと大司教さんが笑った。

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