第106話次回曲と衣装が決まりました

「さあ。会長一緒に歌おう!!」


会長は楽譜を見ながらウゲぇーと言う顔をしている。




「聞きたい!是非参考に!!」


王子はとても真剣な眼差しで此方を見ている。




「ルイスも付き合ってくれ。」


知ってるだろうし。楽譜を見せるとあーやっぱりこの曲なと言う顔をしていた。


解ってくれた様だ。




私とルイスはほぼコーラスで会長はちょっと所々必死で歌ってくれた。カウンターテノールの高音がしっかり活かされている。


宇宙のファンタジーって曲のボーカルの声は本当に裏声で高い声の方なので会長にピッタリ。




曲を知っているルイスもしっかりハモってくれた。


どーだー!!歌い終わって反応を見る。




少し早すぎたかな。斬新過ぎたか。キャサリン以外の顔が固まっている気がする。




「カッコイイ!!」


エミリアが第一声だった。




「会長の声が強烈ー!限界まで出させてますね!ハモリも良いしノリが良いし!」


カイン、そうなのだよ。クラシックからは逸脱するがこの曲はハモリの歌だ。




「ルナリーに脱帽です。でも、曲ってこう言う風に作るのかって解って来たかも。」


王子、まだ少々凹み気味で申し訳ない。




他のメンバーも感動してくれた様で次回曲の予定候補として決まった。これで6月もと言われても安心だ。






デビューまで間もなく。


歌の練習も捗っている。




「ねえ?クリスマスはサンタクロースになったけど今回は?制服?」


ジョージのふとした発言。


大司教さんには聞きたくないな。恐ろしい事を言ってくれそうだ。


「制服が無難じゃねーか?」


ルイスは面倒臭いだけだろう。私も制服賛成だ。




「あの。。黙っててごめんなさい!!」


キャサリンがガバッと頭を下げて来た。まさか?と言う顔でキャサリンを見るとまだ頭下げている。




「どうした?もしかして着る衣装決まってんのか?」


うんうんうん。キャサリンは頭を縦に振る。




別に内緒にしなくて良かったのにと王子が優しくキャサリンの頭を撫でている。




「今から家に来ます?衣装あるので。」


キャサリンが恐る恐ると言った感じで発言する。




「え?あるの?行こうよ!」


「着てみたいですよね。」


クライスとカインは笑顔でキャサリンにそう言った。




多分、私とルイスと会長が嫌がりそうな衣装な気がする。




キャサリン宅には各家庭の自家用車&ルイスの単車、エミリアはキャサリンの車に乗せて貰って向かった。




突然の訪問にも関わらずフラーム家の皆さんはいつも暖かく迎えてくれる。


執事さんが客間に案内してくれてお茶やお菓子が用意され何時、誰が来ても豪華な持て成しが出来る所が流石だと思った。




「用意してくるから待っててね!」


キャサリンはバタバタと客間を出て行った。




「大司教さんの趣味なんだろうなあ。」


お茶を飲みながらボソッと呟くと横のルイスも多分なと言った。


会長も覚悟はしてるよと呟く。




「此方へどうぞー。」


キャサリンが用意が出来た様で他の部屋に案内される。


未使用の少し広い客室に通された。




「大司教様がデザインされて発注して作ったんです。」


そう言ってクローゼットから衣装を取り出す。




出された衣装はまさかの!!!




学ランとセーラー服?!




ルイスは懐かしいー!と言う顔をし私と会長は笑いを堪えるのに必死だった。


いや、懐かしいけどさ。


学ランとセーラー服とはねー。




他のメンバーは勿論初めて見たであろう学ランを詰襟でカッチリした衣装なんだねーと言う感じで合わせている。


「派手な衣装じゃ無くて良かったよ。」


王子も頷きながら鏡を前に学ランを合わせて見ている。




女子は隣の部屋に移動し全員着替えて見た。


おお!ルナリーのセーラー服って違和感あるな。何か不思議な印象だ。


やっぱりセーラー服の丈は短いんだな。足首辺りまで長くしたいんだが。


「シンプルで可愛いですー!」


エミリアはクルッと鏡の前で後ろも見ながら笑顔だ。




「ごめんね。大司教様がこの衣装推しでさあ。」


キャサリンがボソッと呟いた。


「いや。もっと変な格好かと思ってたよ。セーラー良いじゃん。」


私的には全然OKだ。




隣の部屋に戻ると皆、着替えていた。




ルイス。。カッコイイ!!なんだこの新たなドキドキ感!


制服マジックだ。学ランで二割増カッコ良く見える。




「ルイス。かっこいいじゃん!」


「いや、何かセーラー服照れるな。」


向こうも制服マジックにかかっているようだ。




勿論、他のメンバーもカッコ良く見える。私のツボは学ランだったのか。


「長ランにしたい。短ランでボンタンでも良いけど。」


ルイスは鏡を見ながら正規の学ラン状態を改造したくて仕方ない様子だが多分、却下だろうなあ。




学ランとセーラー服への反対意見は誰も言わず皆、とても気に入ってくれた。皆にとっては学ランは初なんだろうけどカッチリしていて黒って所がウケた。

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