第108話デビュー

本日、遂にデビュー!!


ミサコンサート程の緊張は無いなあ。観客と言うか礼拝者もクリスマス程では無いし。




「ルナリー、親父とお袋来るぜ!」


「まじかー!!やっほーい!!後で会えるよな?」


テンションが上がる上がる。




「あれ?婚約認められたの?仲良くなったんだ?!」


王子が笑顔で聞いて来たので、まだですがルイスの両親と仲良くなりましたと話した。


「良かったじゃない!仲良し良いなあ。」


キャサリンにはルイスの両親の前世の話はしていない。他人に話したら私達がやられます。。




「礼拝始まったよー。静かにねー。」


ドアをちょっと開けてカインが教会内を確認していた。




既に学ランとセーラー服に着替えている私達。皆、この服気に入っている様だ。


金髪や茶髪に学ランやセーラー服って後ろから見たらそのまんまヤンキーだなあ。


暴走族に金髪はそう多くはなかったけどね。




「ルナリー、礼のプラゲの話。」


会長が耳元でボソッと呟いた。


「学校の地図帳には無かったけど図書館で借りた地図には会った。」


おお!収穫あったか。


「やっぱ島国だったよ。」


「了解。ありがとな。」


何食わぬ顔で会話を終わらせる。会長も凄く興味を持って今、調べに奔走している。




ぼちぼち時間だ。


そっと教会内を見にドアを開けたクライスが


「満員御礼。。」


と驚愕の顔で振り返った。




またそーっとドアを閉めて


「緊張してきた。」


クライスはブツブツと言いながら座った。始まった時には少なかった礼拝者。大司教さん宣伝してたのかなあ。




「緊張し過ぎですよー。」


ブルーさんが見に来てくれているエミリアは浮かれ気味。


「あっ。スミスさんも来てくれるって言ってましたよ。」


わー。スミスさん来るのはちょっと緊張するな。頑張らねば!




大司教さんの紹介が始まった。いよいよ出番だ。


「さあ!みんな楽しみますよ!」


王子が嬉しそな笑顔で声をかける。


「おー!!!」


円陣を組んで掛け声!




「それではノネット・クライムの皆さんどうぞ!」




拍手と共に登場する。緊張しながらも礼拝者の中からルイスの両親を発見。学ランとセーラー服がツボにハマった様で必死で笑いを堪えている。




全員並んで一礼する。


王子が


「本日は大司教様、この様な機会を作って頂きありがとうございます。ノネット・クライムです。斬新な音楽ですが最後までご視聴下さい。よろしくお願いします。」




簡単な挨拶を笑顔で伝えた。




再び拍手がおき私達はスタンバイする。


王子はピアノ。ルイスはヴァイオリン、ジョージはチェロ。


後は歌。




「曲はJupiter。」


キャサリンがそう言って私達と目を合わせ合図を送る。




キャサリンの低音からのソロから


高音部分に入る手前から私がユニゾンで加わる。




前奏のソロが終わりヴァイオリンとチェロの演奏


ここの演奏好きだなあ。




王子のピアノも加わり私達のハモリの歌が始まる。




ホルストの惑星の世界観と美しい歌詞。






歌い終わって深くお辞儀をした。大きな拍手が湧き上がる。


顔を上げた時にスタンディングオベーション!!?


笑顔と喝采と拍手。




「ありがとうございました!!」


再び一礼して王子がピアノから前に出る。




「本日はありがとうございました。また宜しく御願いします。」


王子の声が掻き消される様な喝采が起きた。




デビュー成功!!




ブラボー!!と言う1人の大きな声が聞こえた瞬間から各所でブラボー!!!と声が沸き立つ。




大司教さんが満足そうに拍手をしていた。下がって良いですよと合図され控え室へ歩む。


控え室へ歩む途中でも良かった!感動したと呼び止められたり私達の心も沸き立つ様な幸せな瞬間だった。




「すっげー!めっちゃウケたなあ!」


控え室に入ってしみじみと言うと皆の顔!テンション上がりまくった興奮した顔をしている。




「来月もやりましょう!」


王子が目をキラキラさせてガッツポーズで訴える。




「勿論!やりましょー!」


緊張しまくっていたクライスも両手を上げて王子にハイタッチを求めた。




漸くして教会内が静かになった。それほどの感動を与えたと思うと感無量だ。


大司教さんが来月もやりますと宣言している声が聞こえた。


やはりやるんだ。




私達は礼拝者が家族以外が帰ったのを見計らって教会内に出た。


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