第101話ルナリーとルイスにとってのカリスマ

「おい!ルイス!」


ルイスの父が取り敢えず睨むのを止めてくれた。


「生きてた時代はいつ頃だ?俺は1966年生まれだったと思う。こいつもそうだ。」


ルイスの母が頷いた。




「俺達も同じくらいです。1967年生まれだよな?」


ルイスが私に確認するので頷いた。




なるほどと言う風にルイスの父が頷かれた。


「よし!年下だな。お前達から素性を言え!」


年功序列。仕方ない。


家庭内抗争勃発しない事だけを祈ろう。




「族入ってました。」


「同じくです。」


私とルイスは警戒しながらそう言った。




「地域は?何県だ?」


関わりたくないなあ。ルイスは少し間を置いて


「東京」


と言った。




ルイスの両親の顔色が変わりまた睨み付けられる。


少し考えた末に


「そうか。お前達もか。あの頃は色々あったが水に流そうか。」


お義父さんがお義母さんを見てそう言った。


「生まれ変わったんだしな。解った。私もそうするよ。」


ルイスの両親は溜息をついて私達を見た。




抗争の話をしているんだな。水に流す。そうしなければならないよな。今は違う世界なんだし。




「俺は。。抗争で此奴を、、ルナリーを失った。だから直ぐに水に流せる自信がねぇ。」


ルイスは両親に申し訳なさそうに言った。




「ん?私、抗争で死んでないよ?白バイに追い掛けられてて煽られて自損事故!」


「はー?嘘だろ?警察は暴走族同士の抗争って言ってたぜ?」


何でそう言う風になってるんだ?




「そりゃサツの隠蔽だな。」


ルイスの父が不満そうに言った。有り得る話だねとルイスの母も言った。隠蔽。。皆に勘違いさせてたのか。申し訳なかったな。




「じゃあ。水に流せる!俺は関東暴走連合夜叉に居た。」


ルイスは腹を括った様に両親に言った。




「夜叉だと?」


ルイスの両親はルイスの頭から足元まで疑う様にガン飛ばしながら見つめる。


「じゃお前は紅夜叉か?」


ルイスの父が私を見て言った。私は頷く。


抗争相手だったのか?




ルイスの両親は2人見つめ合い立ち上がった。


私達は少し警戒した。




「関東暴走連合夜叉総長!!タカシ!夜露死苦!」




「関東暴走連合紅夜叉総長!ミズキ!夜露死苦!」




・・・・・?!!




「総長ーーーー!?!」


私とルイスは勢いよく立ち上がった。




「ミズキさーん!総長!!総長!私です!特攻隊長のサキですー!」


涙がブワッと溢れてきてルイスの母に抱きついた。


「サキーー!まじかー!」


頭をグリグリと撫でられる。懐かしい!懐かしい!




「総長。あの俺はコウジです。」


ルイスは改まった様に父親に頭を下げていた。


「狂犬か!あー。で、サキとか。上手いこと生まれ変わったなあ。」


ルイスの父はルイスの頭をバシっと平手で叩いて笑いだした。




「夜叉総長お久しぶりです。その節は御迷惑おかけしました!」


私はルイスの父に頭を下げる。


「おー。気にするな。狂犬がサキを好きってのは丸分かりだったからなあ。わざと護衛に付けたんだ。」


ルイスの父は笑いながらまたルイスをバシバシ叩いている。




そうだったのか。粋なことするよなあ。


しかし、ルイス嬉しそうだなあ。




「さてと、ルイス、ルナリー解ってるとは思うけど人前では絶対バレねーよにしろ!今日はやっちまったから仕方ねー。」




「はい!!」


私達は声を揃えて返事をした。




「それと、サキじゃなかった。ルナリー!結婚はさせてやりてーが紅夜叉の掟は覚えてるよな?」


ルイスの母に言われ私は大きな声で


「落とし前は自分で付ける!吐いた唾は飲まねー!です!」


と答えた。




「良し、約束は約束だ。来年、金賞取ってこい。」


私とルイスの母は見つめ合い頷いた。


「押忍!約束は守ります!!」


私は誓を立てた。


「まあ、もう嫁で良いんじゃねー?」


とルイスの父が言うとルイスの母はギロっと睨んでいた。うちの総長かっこいいっす!




「全く、クソ真面目な嫁を貰うってルイスが言った時はどうしようかと思ったんだがなあ。良かった良かった。」


とルイスの父が。


「ルイスもクソ真面目に育てちまったしなあ。世間体ってめんどくせーよなあ。」


とルイスの母が。


いや、自分達が1番クソ真面目に見えましたよ。




「良し!茶でも飲んでけ!」


ルイスのお義父さんがテーブルにあった呼び鈴を振った。チリリン♪


使用人が入ってくる。


「お呼びでしょうか。旦那様。」


「お茶とお菓子を頼む。」




通常モードに戻ったルイスの両親。


私達も。


「ルナリーさんどうぞお召し上がりくださいな。」


ニッコリと笑顔のルイスの母。逆に怖い。


「ありがとうございます。頂きます。」




その後、取り繕った様な談笑をし夕方になったので帰宅する事にした。


「また、是非いらしてね。ルナリーさん。」


「ルイスが居なくても何時でも気兼ねなく来て良いからね。」


お義父さん、お義母さんはニヤっと笑って見送ってくれた。




その様子を執事さんや使用人達が微笑ましく見守っていた。




「ありがとうございます。また来ます!」


私は丁寧に頭を下げる。ルイスも笑顔で送るよと単車まで連れて行く。




「俺、一生、親父とお袋には逆らえねー!」


そう言いながらも嬉しそうにルイスは笑う。


「私も逆らえねー。でも最高の両親だよな!」




「何で家は警護人が少ないと思ってたけど。必要ねーんだな。」


ルイスはうんうんと勝手に納得している。確かにキャサリンやクライスの家に比べて雇っている警護人が圧倒的に少ない。




本当に最高に怖くて、強くて、優しい。総長達。


また逢えて良かった!

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