第82話ゲームオーバー
翌日、校門前でルイスを捕まえて生徒会室に向かう。
「ん？会長に何か用事？」
「そそ。一緒に行こ！」
最近、気が張ってたしこれからはルイスと行動出来るのが嬉しい。
「ルナリーでーす！」
「ルイスでーす」
2人で入室すると会長は昨日の電話のテンションとは違って非常に冷めた様な神妙な顔をして座っていた。
「おはよう。その様子だと朝刊読んでないよね？」
会長は机の上に新聞を広げていた。
「見て」
会長に言われて新聞を読む。
『国立管弦楽団員刺殺事件』
見出しを見て息を飲んだ。
国立管弦楽団員、ジミー・ロイド氏(25歳)
トレーズ街で腹部を刺された状態で20時頃、近所の住民によって発見。その後死亡を確認。
殺人事件として捜査中。
顔面や脚に暴行の痕跡もあり犯人と揉めあった後の刺殺と警察は判断。怨恨の線も視野に入れている。
「わっ。私、殺してないっすよ！！」
何が起こったのか解らない。昨日の抱きついてきた男はジミーさんだったのか？顔面殴打や脚のケガは私だろう？
刺殺って？ストーカーはジミーさんでは無いのか？
「落ち着けルナリー。仮定だがジミーさんはストーカー行為は行ったが本当のストーカーは別に居ると考えた方が良い」
会長はキツイ顔をして唇を噛んだ。
「本物は昨日、ジミーさんが昨日君にした行為を目撃して犯行に及んだ。そう言う奴なんだよ。犯人の性格」
バン！！
会長の机が勢い良く叩かれルイスが私と会長を睨みつけた。
「何があったのが話してくれるか？俺、ぜーんぜん聞いてないんだけど？」
こぇぇー！！キレまくってる！
「ルイス！！いや、コウジ君落ち着こう！」
私は苦笑いでルイスの肩を掴む。
「言えや！コラ！」
はい。全部話しますよ。もー、狂犬なんだから。
私では説明不足な所がある為、会長が全て話をしてくれた。
ルイスの顔は不満そうでこれから宥めるのが大変だ。
「なんで今まで黙ってた！お前、死んだらどうすんだよ！解ってんのか？俺の心配とかどーでも良い！」
ルイスが肩を掴んで怒鳴りつけてくる。解ってたよ。そう言う反応するって。だから言いたくなかったんだよ。
「2人で殺されない方法の為、我慢してたんだよ。私も死にたくねーし！ルイスも殺されて欲しくねーし！」
多分、通じねーよなあ。
「ストーカーを捕まえるのが目的であって2人とも殺させる訳には行かない。国立管弦楽団との関係を良好に保つには突然喧嘩を売られても困る。君らはお互いの事になると周りが見えなくなる。」
会長が淡々と冷静に告げる。
「ルナリーに危険が及ばないのは予測出来ていたからルイスにはまだ話して無かっただけだ。ストーカーは他の男とルナリーへの嫉妬から殺害をする。ルナリーは非常に冷静に今まで行動している。楽団員の前でルイスと会話もしてないし。」
ルイスの顔が落ち着いた。目を閉じて溜息をついた。
「じゃあ会長、俺はこれからどうしたらいい？」
会長は軽く頭を押さえながら考え込んでいる。
「えーと。先ずはジミーさんのお葬式に皆で行こう。本当にルナリーが殴った相手がジミーさんか確認して。。それから楽団員の様子を確認しよう。」
「ルイスとルナリーは今まで通り大人しくしとこう。チャンスはきっとある！」
会長にそう言われ私達は頷いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ルナリーとルイスが生徒会室を出てから新聞をもう一度読んだ。
刺殺。
ゲームオーバー。
コンティニュー出来ない。
現実って怖い。
ジミーさんは気の毒だけどルナリーへの行為は犯罪だし。
でも、犯人怖いよ。現実だとこんなに苦いんだな。
僕なりに守らなきゃ。戦わなきゃならない。
僕は葬式に参列する話をしにジェファーソンの居る教室へ向かった。
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