第63話ミサまであと2週間

気合いを入れて連日練習三昧!!




荘厳なミサの後のコンサートのラストに出演する。新しい趣向だし大司教様のゴリ押しで決まったトリだ。




プレッシャーに打ち勝つ様にしっかり発声を行なう。


生徒会長の声は本当に綺麗で高い。加わって貰って本当に良かった。


第1ソロは生徒会長で出だしを引っ張って貰う。途中からキャサリンとのユニゾンソロ。


私は勿論高音パートをガンガン披露する。


途中途中で話し合いながら編曲を行いより良い曲になって来た。




聖歌のもろびとこぞりてもきっちり歌える様になった。




あとミサまで2週間。


時間が経つのは早い。




「そろそろ振り付け考えない?」


キャサリンが提案する。


聖歌はいらないけど確かに此方はノリ良くだから突っ立って歌うのは勿体ない。


「手拍子必須」


生徒会長がボソッと呟いた。




「そうそう!流石!会長!」


キャサリンは頷く。




「振り付けかあ。衣装はそう言えばどうする?制服?聖歌隊衣装?」


色々とやる事があるなあ。




「衣装か。在り来りが良いのか悩む所だ」


王子も私に言われて悩み出した。




振り付けはキャサリンと何故か生徒会長が考え出した。生徒会長って不思議な方だ。


オンとオフと言っていたがレッスンルームに入ると本当にラフな人になる。


「手拍子はこの最初のフォルテまでなしだな。やるならフォルテからハモる瞬間からノリノリで」


生徒会長はうんうんと頷いてキャサリンと話し合いをしている。




「衣装ねぇ。全然思いつかねー」


「難しいですよね。制服より聖歌隊衣装が良いのかなあ」


ルイスもクライスも悩んでいる。


そう言う私も何を着たい?言われたら特攻服!とか言う奴なので良い案が浮かばない。




「良し!大司教様に電話して来よう!」


何かあったら頼るのが1番安心。


「俺も行くー!」


そう言うのでルイスと職員室に電話を借りに行く。


「なあ、ルナリー」


「どした?」




「もし、親に反対されたら俺と駆け落ちしてくれ!」


職員室に向かう廊下で言うことか?と思ったが思い詰めていたんだろうなあ。


「卒業したらそうしよか」


私はそう答える。


「良かったー!」


ルイスが嬉しそうに笑う。


「そんなに思い詰めてたの?」


「後、2週間だと思うとなあ。悪い結果もつい考えちまう。」


「それよりも誕生日忘れるなよ」


と笑う。ルイスも当たり前だと笑う。


「苦労かけるな。すまん。」


そう言うとお互い様と頭を撫でられる。




職員室で大司教様に電話を掛ける。


「お久しぶりですルナリー・ウェールズです。」


「ルナリーさんお久しぶり。楽しみですねー!順調ですか?」


お気楽な方だ。


「あっ。大司教さん?ルイスです。衣装の相談で電話しました」


「マッケンジー様こんにちは。衣装ですか?あー!なるほど」




聖歌隊衣装って在り来りだもんなあ。制服は面白くないし。とブツブツと大司教さんも言っている。


「サンタコス?」


「ん?なんですかそれ?」


「あっ。えーとサンタコスプレ。コスプレも解らないか。失礼。サンタ衣装ですね。」


と言ってきた。あー。サンタクロースね。クリスマスだし。


「男性はそのままサンタで女性はワンピースのサンタ衣装にしたら可愛いですよ」


「可愛くなくて良いんだけど。」


「そう言わないで下さいよ。衣装もコーラスについても私が責任持ちますよ。大丈夫です!」


大司教さんはそう言われる。


「頑張ります。」


そう言って電話を切った。今からサンタ衣装作るのか。売ってないもんなあ。作れるけど。




レッスンルームに戻ると手拍子で振り付けをするキャサリンと生徒会長がノリノリだった。


2人共上手いなあ。




「えーと。大司教様はサンタ衣装はどうかと仰ってましたがどう思う?」


安直な気がするけどなあ。


「サンタクロース?!」


王子、クライス、カイン、ジョージ、エミリアが此方を向く。


「えっ?サンタコス?」


キャサリンがボソリと呟いた。コスって?大司教さんと同じ言い方なので平成用語なんだなあ。




「いいかも!」


王子がそう言うのを皮切りに賛成していくクライス達。


何かこの世界との価値観の差を感じる。


「サンタクロースって夢があって良いですよね!皆、大好きですし」


「大人にもウケますよ」


「両親もサンタクロースになるって言ったら楽しんで来てくれそう」


そうなんだ?キャサリンと目を合わせるとそうだねと言う顔色をしていた。


「どうします?今から用意出来るかな」


と王子がやはり売っていない事を示唆している様だった。




「採寸したら作るけど?布代くれ」


私がそう言うと、えええ?!と言う反応が返ってきた。


「え?裁縫めっちゃ得意なんだけど」


そう言っても何故かザワつく。そう見えないか。だろうな。


「確かに特服の刺繍とか皆のやってたよな?」


ルイスがボソリと耳元で囁く。


「そそ。特服も作れるぜ」


「あー。そーだった」


とルイスだけが納得してくれた。服は刺繍に比べてミシンでちゃっちゃと縫えるから早いしな。


「姐さんにそんな特技が?!」


カインとクライスが特に信用していない気がする。


「試しに作ってくるからさー」


そう言って納得して貰う。明日は土曜日なので練習開始を遅らせて貰った。布買いに行こ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る