第30話ルナリーを捜せ!②

「居たか?!」


「2年フロアーは居なかった」


「3年フロアーも居ない」


ルイスとクライスとジョージは合流していた。


後は1年フロアーと他の階か。時間足りるか。焦りが出てくる。




「ルイスー!クライス!ジョージ!居ませんかー?」


キャサリンの声が聞こえた。


「下だ。合流しよう!」


皆は階段を駆け下りる。


はぁ、はぁ、はぁ。


「あっ。3人共!」


キャサリンも王子も走って来たのだろう。息が荒い。


「校内だと思います。」


王子は先程のキャサリンとの話を2人に聞かせる。




「それ正解です!!」


ホールからカインとエミリアがやって来た。


2人も肩で息をしている。ふぅーと深呼吸している。


「ガードナーが、、はぁはぁ。、吐きましたよ」


カインはニヤっと笑う。


「場所は不明。犯人はガードナー家の警護人、校内の何処か」


簡潔に説明してくれた。




「警護人か。クソ!。人気のねぇ階か。上だな。」


「上ですね。今日は多分誰も行きません」


よし!!全員で捜す!




「ジョージは無理しないでゆっくり着いて来てねー!」


キャサリンが叫びながら駆け上がる。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「あー。疲れた。縄は解けねーし。」


しかし、何置いてんだろーな。こんだけ蹴ってビクともしないとは。後1時間切ってる気がする。


急がねーと!


ふぅ。ルナリーは勢いを付けてドアに飛び蹴りを食らわせる。




ドン!!!動かねー!




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「待て!何か音がした」


誰も居ない5階。耳を澄ます。




タン




「こっちだ!!」


「ルナリー!!!」


5階奥。普段も滅多に訪れない。




ガラッ!!ドアを勢いよく開ける。




物理教室。ドアを開けた瞬間解りやすいくらい教室奥の扉前に6人掛けの机が置いてある。2段重ねてきっちりドアを塞いでいた。




「ルナリー!」


「あー!此処だ!此処!!」




男性5人がかりでも重い。


「待ってろよー!」




「気をつけて!ジョージのとこ支えるわ」


キャサリンも必死で抱える。




「あとひとーつ!」


皆で抱える。上から下ろすよりは楽だ。




バン!蹴りと共にドアが開いた。


「ごめんー」


両手を縛られたルナリーがヘロヘロと出てきた。


急いで縄を解いてやる。赤くなって痛々しい。


「ルナリー!」


「良かった無事で」




「ごめん。本当にごめん」


謝るルナリーを皆が抱き締める。


「ごめんね。時間がかかって」「本当にすみません」


「頼む謝るな。私が悪いのに」


ルイスは安堵と共にぎゅっときつく抱き締めて来た


「バカ!何、捕まってんだよ」


「ごめん。ありがとう」


凄く心地いい。




「時間!」


後15分だ!


「走るぞ!!」


見つかった喜びも束の間。集合時間が迫っていた。




「今日、歌えるのかな」


「もう疲労しかない」


本当に皆に申し訳ない。どうにかして恩返しをせねば。


「ごめんな。ごめんな。私、頑張るから!」


バタバタ走りながら謝る




5分前。大ホール到着


「エントリー者はこちらです」


教員に案内される。


「間に合ったぁ」




ガードナー令嬢が面白くなさそうな顔をしているのが見えたが今は放置!


歌う順番はクジ引きであった。


「王子頼む。王子なら誰も文句言わない」


私は王子の肩をポンと叩く。王子はプレッシャーを感じている様な顔をしてクジを引く。


「5番!ラスト!」


王子が此方を笑顔で振り返った。


良かった少し休める。




控え室に通され取り敢えず腰掛ける。


「これだけ走ったらウォーミングアップは完璧よね」


キャサリンが笑う。その笑顔に救われる気がした。此奴本当に優しいよな。


発声と楽器の音出し。確かに身体が温まりまくっているので声は良く出てる。後は疲労だな。最後まで持てよ身体。




波乱のコンクール開幕!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る