第29話ルナリーを捜せ!

クソ!クソ!クソ!何処だ!


血相を変えてルイスは3年のフロアーを捜す。俺の事を見てビビる奴らを尻目に各教室を開けて回る。


肝心のガードナーも居ねえ。取り巻きも居ねえ。


レッスンルームも居ねえ!練習中とかお構い無しに開けたが居ねえ。


ルナリー何処だよ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




2年フロアーも姿が見えないし生徒も殆ど居ない。皆、文化祭コンクールのある大ホールに行っているんだろう。


文化祭中は基本自由行動だし保護者もコンクールがあっている大ホール、コンクールではないクラス発表や有志発表をする中ホール、展示をしている小ホールは出入り自由。


教室には入れない。でも、校門から普段は入れない警護人が入る事も可能。


「姐さんって強いよねジョージ」


クライスは確認する様にジョージに聞く。


「はい。僕、恥ずかしながら倒れた時抱き抱えられました」


とジョージが照れながら言う。




「僕、これ大人の仕業だと思うんだ。警護人とか」


「ルナリーなら生徒くらいなら勝てますよね」


ジョージの顔色が悪くなる。


教室、レッスンルームからトイレまで2年フロアーには居なかった




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




文化祭ホール広い。生徒に保護者に。兎に角、人が多い


「姐さんの性格から言って呑気にホールで見学はないよね?」


「言葉使いはアレですけど約束は絶対守る方ですからね」




ホール内ではないだろうな。監禁説で捜した方が良いだろうな。


「広いけど頑張って捜そう!」


エミリアと監禁出来そうな部屋は無いか捜す事にした。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




キャサリンの脳内は完全パニック中だった。あと少しで思い出せそうなのにー!監禁場所は同じ所ではないかもけれどヒント!本当にヒント下さい!




「ジョージの時の様に夏休みで人気がないとかじゃないからね。これだけ生徒と保護者が居たら外に連れ出すのは不可能だ」


王子も一生懸命冷静に分析している。ゲーム内では貴方が見つけ出すのです。お願いします。




校舎の外回りを捜し歩く。




「声楽科からレッスンルームの間で拉致」


キャサリンもブツブツ考えながら歩く。


「人気のない所」


「拉致を見られない様に」




校内!脳裏に何か過ぎる。1回見たよね。王子が助け出すシーン。


部屋。あれは校内の何処か、




「キャサリン?今、言ったこと当たってるかも。拉致は人目につかないように。」


キャサリンは頷く。


「外に連れ出したらあの時間は保護者に見つかった筈」


「保護者は教室には入られない」




「生徒の殆どが文化祭の大ホールや中ホールにもう行っていたわよね」




「校内へ!」


キャサリンと王子は走り出す。間もなくお昼休憩だ。残り1時間ちょっとしかない。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「カイン様、ホールはやはり人が多すぎますわ」


何処かと大ホール、中ホール、小ホールと捜した。


全く隠れる所がない訳ではないけれど


何処かしらに生徒か保護者がいるのだ。


更衣室、証明器具や舞台装置の場所。




「意識取り戻していたら姐さんなら大騒ぎするよね」


「しますね。」


うんうん。2人は頷く。




「あっ!!ガードナー様!」


エミリアが指差す。取り巻き令嬢とガードナー様。




カインの身分では会話も厳しい相手だ。でも、聞くしかないよね。




「失礼します。ガードナー様。お久しぶりございます」


カインは一礼する。




「あら、弁護士のレイノース家の息子さんね。どうなさったの?」


取り巻き令嬢の1人がカインに向かって微笑まれる。




当のガードナーは取り巻きの後ろでニヤりと笑っている。


「ガードナー様、失礼ながらお尋ねします。クラスメイトのルナリー・ウェールズを知りませんか?」




ガードナーは見下した様にカインを見る。




止めてくれ。こんな時にゾクゾクするじゃないか!カインは必死に冷静な顔をする。


「知らないわ。出場が怖くて逃げられたんじゃない?」


ニヤニヤと笑う。


「そうね。きっと逃亡されたのよ」


「逃亡ね。怖くて逃げたのね」




カインは冷静にガードナー達を見詰める。


「僕は知りませんか?としか聞いてませんが?」




冷りとした空気が流れた。




「どうして逃げ出した?と言うご意見が出るのですか?」


「可笑しいですね?逃亡?」


フフっとカインが笑う。


「詳しくお話をお聞きしたいですね。」


カインは詰め寄る。




令嬢達の顔が冷静さを失っている。もう一押し。


「その顔色、知っている様ですね。顔に書いてありますよ」


カインは顔が青い令嬢に詰め寄る




「あっ。わっわたくしは何も、、何もしておりません」


はい。暴露ありがとう御座います。


「では、貴女以外の方が何かされたんですね?」


令嬢はしまったと言う顔で更に顔が青くなり倒れそうになっている。




「犯罪に手を貸す事も立派な懲役刑ですよ」


ニヤっと令嬢達に笑いかける。


ガードナーの顔も怯む。さあ、もう一押し。




「今なら和解と言う手段もあるかもしれませんね」


「このまま時間が経てば警察沙汰」


令嬢達の周りをゆっくり歩みながら語る。




「しっ知らない!知らない!」


ガードナーは必死にそう訴える。




「ガードナー家って結構、陰で悪どい事してましたよね?領民の訴え、、、訴訟起こして貰いましょうか?」


「そして娘は拉致監禁の首謀者。犯罪1家になりますね」


カインは腹黒い笑みを向けた。




「私はやってないわ!けっ、警護人が勝手に!」


やはり警護人でしたか。まあ命令下したのは貴女でしょ。


「何処に監禁したんですか?」




「知らないわよ!校内よ!」


「詳しく!」




「本当に知らないのよ!!」


ここ迄聞けたら上等ですかね。




「では、ありがとうございました。また後程」


へたり込む令嬢達、泣いている者も居た。




僕ってドSでドMなのかも。ふふふ。




「エミリア!校内です!急ぎましょう!」


カインとエミリアは駆け出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る