第11話キャサリンと王子
どうしよう。ドキドキする。
ジェファーソン様は私の婚約者。でも、本当に嫌われているのよね。婚約者が居ても寄ってくる令嬢達、邪魔で仕方無かった。
王子との婚約者に相応しい元公爵家で現在は財閥令嬢。世間体では政略結婚と言われている。
「ジェファーソン様!お願いがありますの」
記憶を取り戻す前はもっと強引に話しかけたりしていた。学校から送って貰ったり(会話殆ど無かったけど)、パーティではいつも隣に居たわ。
でも、入学してから緊張してあまり話せずに居た。
「キャサリン?どうしたの?」
王子が笑顔で尋ねてくる。
「あの。その。私と文化祭コンクールに出て下さい!」
がばっと頭を下げた。顔を上げると王子はビックリしている。
「えーと?文化祭?」
「はい!ウェールズさんに誘われて、私がアルトでウェールズさんがソプラノで後はバートリー様とレイノース様が御一緒で」
必死で話した。王子はクスクス笑っている。
なんで?え?
「あはは。僕がピアノを弾けば良いんだね。あはは」
何故か王子は笑っている。
こんな笑ってるジェファーソン様は初めて見たかも。
「あの。私、、変ですか?」
何かしたんだろうか。
「変じゃないよ。大歓迎。文化祭頑張ろう」
「ありがとうございます。嬉しい」
ジェファーソン様と御一緒に文化祭コンクールに出られるなんてゲームでは有り得なかった。こんな素敵なイベントが起こるなんて。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕はジェファーソン・ボードウェン。この国の第2王子だ。
王位は兄がいるし父が音楽が大好きなのでピアノにヴァイオリン、声楽と音楽漬けの日々を送って来た。
キャサリン・フラームは婚約者。悪い子では無いと思うんだけど彼女は音楽の才能が無い様でピアノも限界な感じでそれ以上に上手く慣れるとは思えなかった。もう少し才能がある優しい人が理想だが仕方ないかと思っていた。
時折、僕に寄ってくる他の令嬢を睨みつけたりしている様だし。虐めらしき事もしている。見て見ぬふりはして来たがそろそろ落ち着いてくれたら良いんだけれど。
そう思っていたら学院に入学した頃から彼女が少し変わった気がした。
特に声楽科との合同実習。ウェールズさんは王子や地位の高い男性が苦手な様でキャサリンとパートナーになった。
連弾?一緒に歌う?
最初は驚いたが素晴らしいユニゾンだった。
キャサリンは歌の才能があったんだ!と思うと嬉しくなった。
今も文化祭コンクールに誘って来た。
ウェールズさんて友達が彼女の才能を発見してくれたんだ。
一生懸命、必死な顔で頼む彼女を見ていると可愛くて可笑しくて笑いが出てしまった
最近は人を睨みつける事も無くなっている様だし。
あー。あれは反抗期だったんだなあと思った。良かった、反抗期が終わってくれて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます