第8話性癖
カインは今日もゾクゾクしていた。
ルナリーは本当に美少女なのだが時折見せる鋭い視線。
今までの人生で性癖を隠して来た。親は弁護士、厳しい家庭。でもその厳しさが今の僕を作ってしまったのかもしれない。
「ルナリー、素晴らしい演奏だったね」
カインは堪らず話しかける。
「おっ。だろー?キャサリン上手かったもんなあ」
可愛いけどその表情じゃない。
「ルナリーのソプラノは本当に美しいね」
横からクライスが割り込んで来た。
あー。囲まれた。
「カインのベースもクライスのテノールも上手かった!」
そこは正直に褒めとこう。
2人は照れている。顔が良ければコイツらは言葉使いはどーでも良いんだろうか。
あっ。そうだ悪役令嬢の破滅回避の為にはコイツらに関わっちゃなんねーんだった!
「お前らさあ?ここ!可笑しくない?」
私は自分の顬辺りを指す
頭可笑しくない?の遠回し
「私、言葉使いは悪いしさあ。顔で何か勘違いしてないか?」
本当に主人公だか攻略対象者だか知らねーが私はキャサリンを守らねばならん!
「お前らの思ってる様な女じゃねーから。なっ!もう絡むな」
うんうん。呆気に取られてる。
「ルナリー、もっと強く。蔑むような目で見てくれ」
カインが手を取ってきた。気持ち悪ぅ。
「俺も。君のような強い女性を待っていたんだ。護られたい」
クライスも手を重ねて来た。
ちょっと後でキャサリンに詳しくこの世界に付いて聞かねばならんようだ。
2人の手を振り払ってギロりと睨みつけたが逆効果な様だ。
マゾ!そんな言葉があったな。
人の性癖は解らないが。やっぱしパスだ。
「貴女の下僕にして」
カインは止まらない
「僕も下僕にして下さい」
そしてクライスも。出会った当初はまともな人だと思ったのだが。財閥御曹司と弁護士の息子だろ?
溜息を付きながら
「じゃ今日から舎弟な」
妥協してそんな所か。
「ルナリー、舎弟とは何ですか?」
カインとクライスが聞いてくる。
「私に従う弟」
この世界じゃ喧嘩もしなさそうだしな。
「弟かあ。幸せ」
何だか満足そうなので放置して置こう。
放課後、キャサリンに会いに行こうとピアノ科へ向かう途中で倒れているジョージを発見してしまう。
絡みたくねー。此奴も攻略対象者なんだよなあ。
「あー!でも放置は出来ねえ!」
よいしょっと。ジョージをお姫様抱っこする。
腕力あるなこの身体!此奴軽いし。
足で保健室の扉を開けてベッドに寝かせる
保健の先生に頼んでキャサリンの元へダッシュ!
「ルナリー、かっこいい」
起きて居たのか?ジョージはベッドで呟いた。
ガラッと勢いよくピアノ科の教室の扉を開けると取り巻き令嬢とキャサリンが居た。良かったー!
「おい!ちょっと話あるんだけど」
取り巻き令嬢達が睨みつけて来る。懲りないお嬢ちゃん達だなあ。
「まー。そう睨むなって。めんどくせぇ事になったから相談乗ってくれ」
周りを宥めながらキャサリンの手を引っ張って連れ出した
此処なら誰にも聞かれないよな。
中庭に来た。
「キャサリン、この世界の攻略対象者の設定を詳しく教えてくれ!」
キャサリンはなるほどと頷いた。
王子に対する熱い思いが止まらねえ。聞きたいのは他の連中なんだけど。
まあ、王子はこの国の第2王子で音楽の神童と呼ばれて育った普通にまともな人な様だ。
優しくて繊細な人が好き。良かった。私ではない!
「次はー?早くー!」
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