貴方が私の光になる
第1話 視覚支援アンドロイド
「マナちゃん。マナちゃん」
「ごめんなさい
「いいよマナちゃん。手を握って」
アンドロイドのマナが私の手を握る。
暗く閉ざされた視界が急に色鮮やかになる。
アンドロイドのマナは私の目。
彼女と手をつないでいると私は見える。
彼女がいないと何も見えない。
そう、私は目が見えない。全盲なのだ。
「どうして揺れたのかな」
「恐らくデブリを避ける為の回避運動だと思います」
「そうなんだ」
私はマナを見つめて問いかける。
マナはそれに応えてくれる。
彼女の体は金属とプラスティックで出来ている。後ろ頭から突き出ているアンテナの束が垂れ下がり、ポニーテールのようになっているのが可愛らしい。人と区別する為、敢えてロボットらしいデザインがされている。
法律でそう決まっているらしい。これでもマナは物凄く可愛いのだけど、人間そっくりだったらもっと可愛くなるはずだ。その法律って大きなお世話だと思う。
少し遅れて船内アナウンスが流れた。
「デブリ回避のため、船体に予定外のGがかかりました。大変申し訳ありません」
こんなことは宇宙船では茶飯事らしい。
私はマナの手を握っている。
いつもいつも。
手を離すと目が見えなくなるから。
彼女は私の光。
そして、彼女は私の一番の仲良し。
何でも話せるし悩みだって相談できる大親友なんだ。
彼女といると心が落ち着く。
いつもいつも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます