ケース3

 赤い、紅い水たまりが古びたフローリングにできあがった。

 美しい。

 なんと美しいのだろう。

 さっきまで綺麗な涙を零し、必死にもがきながら両親に助けを求めていた姿を思い出すと、下半身に血が巡ってくる。

 私が、ここまで猟奇的な殺人鬼になれたのも、この少女を愛するが故だ。

 ずっと見ていた。烏の濡れ羽色の髪も、絹のように白い肌も、私は永遠に見ていられるとさえ感じた。この少女が、いずれ少女と呼べぬ歳になることが、私は1番恐ろしかった。その事を想像するだけで吐き気がした。手の震えも止まらなくなり、冷や汗までかいた。

 だが、もうその事を気に病む必要は無い。私が、この手で時間をとめたのだ。最も美しい瞬間を、永遠に保存できるように!

 世の女性はいつまでも美しくありたいという願望を持っているものであろう。ならば、これは正義だ。神が与える救済だ。私は、この少女の神になりうる者なのだ。

 私が刺した際に穴を開けてしまった服を脱がした。ああ…嗚呼…噫…なんということだ。

 ここまで美しいものがこの世に存在するとは。

 しかし、ここで私が汚す訳にはいかない。既に股間のモノはいきり立っていて、鏡がなくとも、目が獣のように赤く妖しく輝いているのは承知している。それでも、理性の鎖で、私のこの汚らわしい感情は縛り付けておかねばならない。苦しいが、この美しい人形を綺麗なままで置いておきたい。

 綺麗な洋服を着させ、抱きしめた時だった。

 スポットライトが、私たちを照らした。


「次のニュースです。小学5年生の少女が誘拐された事件で、少女が殺害された姿で発見されました。容疑者は、自称無職の男性で、『これが私の幸せなのだ。なぜ邪魔をする。』と言い放ち、容疑を認めましたが、その発言が波紋を呼んでいます。」

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幸福学 スプレーノ @mahoroba219

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