一日目 その4 北海道の翼
搭乗の列に並ぶとすいすい進み、すぐに受付についた。搭乗券を添乗員に渡し、ピッ!っとしてもらって搭乗券を受け取り、先に進む。
(-そして、タラップを一歩一歩進み、飛行機に乗船したと言いたいのだけれど、現在の主要空港はもちろんタラップなど使っていない。それでは何を使っているのだろう。実物は目の前にあるのでどういうものかはわかってわかりますよ。2階の搭乗口から飛行機までほぼ段差がなく歩いて行けるトンネルとも橋ともいえるあれですよ。すみません調べます。インターネットは便利です。-)
搭乗橋(ボ-ディング・ブリッジ)を一歩ずつ進み、飛行機へ乗船した。入り口で頭を下げる添乗員に頭を下げ、棚にある毛布を取り、中へと進む。
-ええと、17F、17F、あそこだ。
リュックサックを下ろし、前の座席の下に入れ、ポシェットから過去の旅行で買っていた『ゐゐぶ広島宮島』の特別付録の広島県主要都市の地図と、この旅のために買った自転車ツーリストが書いた本『しまなみ逃走BOOK』を取り出した。今回の旅のために買った本はこの1冊である。
それと、アマゾネスプライム会員限定で無料で読める全国のゐゐぶから『愛媛、道後温泉、しまなみ海道』『高知、四万十』をあらかじめAQUASの金獲るアプリにダウンロードしていたのだった。
あとは、簡単な旅行予定表と現地のバスの時刻表、先ほど見た旅行会社からの飛行機の搭乗案内のメールをプリントアウトしてポシェットに入れてある。
-さてさて、尾道に着いたら何を食べようかな。
今回の旅は、一日目にこのAIR道118便で神戸空港に着き、交通機関を乗り継ぎ、広島県尾道市まで行く。そこで市内散策をして、ゲストハウスに泊まる。
二日目は尾道で自転車を借り、瀬戸内海を渡るしまなみ海道を進み、四国愛媛県今治市で自転車を返却、今治港近くのシティホテルに宿泊。
三日目は今治市から松山市へ行き、松山市内観光、そこからできれば高知県高知市へバスで移動し、まだ予約はしていないが、何らかの宿に宿泊。
四日目は高知市内を観光し、鉄道で四国を縦断、瀬戸大橋を渡り神戸空港から飛行機で北海道まで帰る予定となっている。
もしも二日目に自転車を借りれなかったり、又は雨が降っていても、バスか鉄道で松山市まで進み観光、今治市で宿泊し、三日目に今治側から自転車で尾道へ渡ろう。その場合は高知旅行は断念することになる。そんなアバウトな計画を立てていた。
『本日は皆様のご協力のおかげで、出発予定時刻を早めまして、8時50分に出発します。』
と、いうようなアナウンスが流れた。
-予定より10分も早く出発できる?すごい!今回のお客さんや添乗員さん優秀すぎる!!
いろいろ考えているうちに、隣の席には幼稚園くらいの女の子とその母親らしい人が座っていて、そのほか座席には搭乗予定の人はすべて座っていたのであった。
『スマートフォンの電源を機内モードにするか電源をお切りください。また、電波を発する電子機器は使用できません。』
-そうだった
と、AQUASを取り出し、画面をフリックをして飛行機のアイコンを押して機内モードにする。アナウンスが救命胴衣の着用方法や機内からの脱出方法の説明をしている間にも、飛行機は徐々に移動しはじめる。
-今日の風は台風の影響で南風のはずだから、飛行機は南に向かって飛ぶはず。
右の窓からはちょうど飛行機の右翼が見える。羽の先には、白い熊のキャラクターがこちらを向いて手を振っている。前を進んでいたスガイマルクの飛行機が南の空へ飛んでいく。
-あの飛行機はどこに行くのだろう。
そう思いに浸っていると、とうとうこのAIR道118便の番が来たようだ。ジェットエンジンが音をあげ、飛行機が徐々に加速する。何度経験しても、飛行機がどの交通機関よりも安全だとわかっていても、この感覚は祈らざるを得ない。
-さぁ、飛べ!
車輪の振動が消え、飛行機が浮かび上がる。地面が徐々に離れ、一気にわた雲の高さまで上がる。そのうち苫小牧の街が見え、すぐに太平洋に抜ける。
飛行機はわた雲の上に出ると、下にはわた雲、はるか上空にはすじ雲が見える。雲は上空13キロまでの対流圏のさまざまな高さにあるというが、この風景は飛行機に乗り、窓側の席を確保できた人しか見られない貴重なものである。
ポシェットからイヤホンを取り出し、手すりのイヤホンジャックに差し込むと、音楽を聴けた。チャンネルを切り替え、どの音楽を聴こうかなと悩んでいると、上の手荷物入れから画面がおりてきて、飛行機の経路などの映像が流れた。
飛行機が渡島半島を横切り、函館上空を通るころ、はげしい眠気が襲う。
-そういえば朝早かったんだっけ、ここで寝ておきたいけど、でもまだです。まだ眠れない。眠れないのです!!
私にはどうしても眠れない理由があった。眠気と戦いつつも、うとうととしかけたころ、添乗員がやってきて。
「お飲み物はいかがいたしますか。」
「はい、オニオンスープをお願いします。」
そう、機内サービスの飲み物をいただくまでは眠れない。寝ていたらいただけずに終わってしまう。
暖かいオニオンスープをもらうと、カップには現在放映されてる、『連続TVノベル つゆぞら』のアニメ風のキャラデザインのカップであった。北海道の玉ねぎから作ったオニオンスープも美味である。満足満足。
-このカップお持ち帰りしたいなぁ。
と、思ったが、飲み終わったら写真だけ撮り、添乗員に返した。
-いい大人が恥ずかしいことできないよね。
さて、寝ましょう。しろくまのマークが刺繍された毛布をかぶり、寝ることにした。
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