「推し活」と、「推し、燃ゆ」

 先日、芥川賞に「推し、燃ゆ」という作品が選ばれたという話で盛り上がった。本当に推しが燃える話だった。


 今日、テレビで「推し活」特集が組まれていたのを見た。そこで「推し活」が最近出来た文化のように語られてたんだけど、僕は違うと思う。


 昔から、アイドルのポスターを部屋に飾るとか、グラビアアイドルの写真集を買い集めるとかあったやん。昭和からさ。平成にはAKBの握手会チケットのためにCD買いまくるとか、あったよね。一時期「オタ活」と言われてたこともあった。二次元・三次元関係なく。


 言葉が、変わってるだけ。


 昔は言葉もなく行われていたけれど、SNSの普及により国民全発信者のような時代になり、オタ活という言葉が生まれた。共通認識を伴う言葉は、意見を発信・共有するのに必要になるから。近年は「推し」という言葉が、二次元・三次元・Vtuber界隈で使われているから、オタ活じゃなくて推し活と呼ぶようになった。


 V界隈だと、「推し事」も使われることが多いかな。


 近年生まれた文化じゃなくて、昔からあった文化がネット社会とその他の時流の変化によって在り方が変わってきているという話なんだよね。


 特集組むなら、そういうところの理解から欲しいなと思ったんだ。まあ、求めすぎなのはわかってるんだけど。ライターだから、言葉に関する問題に敏感になるだけなのも自覚しているんだけど。


 素晴らしい作品に便乗して特集組むのは、わかる。僕もWebメディアに関わっている人間だし、すごくわかる。だけどそれなら、その界隈に対する深い理解のもと制作して欲しいと思うことがよくある。今回の件は、比較的うまくまとめている方だとは思う。


 鬼滅が流行した当初のテレビの便乗の仕方に比べれば、かなり良い。あれは本当に、凄く雑な便乗の仕方だった。バラエティ番組で随所に鬼滅の用語などの上辺だけを散りばめておけばいい、みたいな安直さが透けて見えてた。「呼吸」言っておけばいいだろみたいな。


 便乗するなとは言わない。


 話題のコンテンツに乗っかるのは、全メディアの宿命だから。Webだって検索流入とか気にしてそういうことするケースがあるし、人のことはあまり言えない。


 だけど、便乗するからには理解と丁寧さが欲しいよね。愛は別に要らないから、理解をください。

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