シラフじゃ夜は厳しすぎる
最近、僕は寝る前にシラフでいることが珍しい。知人・友人から差し入れで貰った酒や、まだ少し余裕があったときに買い置きしていた酒などを毎日飲んでいる。以前は酒を毎日飲むことはしなかった。酒は大好きだけど、お金がかかるし、酒を飲んだ後には趣味以外のことができなくなるし……。
どうして、こんなに飲んでいるんだろう?
仕事の合間をぬって考えてみる。
答えが見つかった。
僕にとって、夜はシラフじゃ厳しすぎるんだ。夜があまりにも暗すぎて、何も見えなくなって、自分がいる場所すら曖昧になる。寒々とした気持ちに押しつぶされ、どうにかなりそうだ。不安に不満に後悔に、寂しさに曖昧さに、胸がギュッと掴まれてしまう。僕の胸を掴む見えざる手を払いのけるには、酔うしかない。
正確に言えば払い除けているわけではないのかもしれない。掴まれているという感覚を、痛みを、感じなくなっているだけなんだと思う。麻酔のような。だとしても、無いよりはずっと良い。
最近の僕は、また「すぐに消えそうな」存在になりつつある。
昔から僕は自分の命や存在が軽いと感じている。積極的に死のうとはしないけれど、死に直面しても「まあいいか」と思ってしまう。実際、何度か心中を提案されたことがあるが、全員に「ええよ」と答えてきた。結局は決行する前に相手が怯んでしまって決行はされないんだけどね。
ここ何年かはマシになりつつあったけど、最近はまたそんな自分を軽んじる自分が積極的に顔を出してきている。
死にたいわけじゃない。
だけど、別に生きていたいわけでもない。
こんな気持ちが夜になると強くなる。
その気持ちを誤魔化すためにも、やはり酒が要る。
健全なトビ方を僕は知らない。酒に酔わなければ正気のままだ。ロックンロールも、音楽も、物語も、僕の感覚を狂わせてはくれない。狂わなければ生きていけない。
そう思うのは、僕の弱さか躊躇いか。
鬱屈とした気持ちを「しゃらくせえ!」と払い除けてくれる自分が、どこかに消えた。
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