朝に米を炊いてはいけない

 今朝、起きがけに米を炊いた。炊けた白米は洗剤でぬめぬめ光っていた。


 僕は米を炊くとき、鍋を使う。以前は土鍋だったが今はステンレス鍋だ。米を炊く前に前日夜に使った食器を洗った。洗わなくては使えないから当然だ。そういえば鍋も使ったなと思ってこれまた洗った。寝ぼけていたためか、なんか異様に泡立っている。あわあわ。あわあわあわわ。


 おかげで綺麗にはなった。ピカピカになった鍋に直接米を投入し、米を研ぐ。ボウルはなんか数ヶ月前にどっか行った。それ以来購入するのを忘れて今に至る。ちなみに、関西人はすぐに「どっか行った」と言う。「物は勝手に動かへん」とツッコまれるまでがセットだ。さて、実際僕はボウルをどこへやったやら。

 米を研いだら次は浸せきだ。米に水を含ませるため、鍋に水を張ったまま放置する。夏場はだいたい30分、冬場は1時間程度だ。30分間、動画を見ながらぼうっと過ごした。お腹が減った。眠たい。動画の内容は正直頭に入っていない。寝る前にでももう一度見ようと思う。

 30分後、鍋を火にかけた。

 米が炊けた。

 卵かけご飯にして食べる。

「いただきます」

 まずい。なんか舌触りがぬめっとしている。今日は確かに柔らかめに米を炊きはしたが、米のでんぷんによるぬめぬめではなかった。明らかに異質。そういえば卵かけご飯が少し泡立っている。卵をかき混ぜると泡立つが、なんかレンズのように多種多様な色で光っている。これは洗剤だ。洗剤の泡は多種多様な色で光る。考えてみれば泡泡にしすぎた。しかもすすぎを甘くしていた。眠かったから。お腹が減っていたから。


 結局あまり食べられず、残すことにした。ごめんなさい。

 2時間後……若干お腹を壊した。全て食べていたら嘔吐もあり得たかもしれない。僕は3合ほど炊いた米を全て廃棄することを決めた。ごめんなさい。謝りながら僕は思った。


 朝に米を炊いてはいけない。

 

 炊き直す気力はない。

 パスタ……買ってこよう。

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