閑話その8 研者の弱点と終演
「ふふふ…アリーも成長したな…」
わかってるってアリー今日のは全部戦術なんだろ?
試合開始の合図の前にアリーとカレラを除く他の全員が殺気を出しながら辺りを囲んでいる。
「では本戦始め!」
「「「「「「「「死ねぇぇぇえ!!!」」」」」」」」
殺気をみなぎらせた攻撃がディアスを襲うが 一切掠りすらせずいなされるが数が多くしかもどれも本気のため下手に反撃すると大怪我をさせてしまう…そのため防戦にまわるしか無かった。
その状況を変化させたのは副会長開始直後からずっと魔力を溜め続け…ディアスを取り囲む集団もろともめがけて自身の最大魔術を放ってきた。
「消え去れ!!<イレイザーボルト>!!」
直径10mほどの白い雷が舞台に降り注ぐ。
「あ、それはヤバイって!」
俺以外は死ぬよそれ!?
「<アンチマジックシールド>!」
魔力を溜める時間的余裕が無かった為初級の魔法軽減魔法を放つ。
「「「「「「「「ギャーーー!!!」」」」」」」」
取り囲んでいた者達から悲鳴が上がる。
雷の放流が終わりチリチリと焼き焦げた音がする。どうやら息はしているようだ。
「シモーネさん反則により失格!」
シモーネ?…ああ副会長の事か。
「な!?何でよ!」
審判につかみかかろうとしているが他の生徒会メンバーに拘束されている。
そこに客席から金髪の女性が舞台に上がってきてシモーネの頬を叩く。
「…シモーネ…学生相手に奥義を使うなんて何を考えているのですか!!」
…誰?なんか見たことがあるような気がするけど。
「か、母様…」
「あの方が軽減してくださらなければ死人が出てたのですよ!」
「う…ごめんなさい…」
「謝るならあそこで倒れてる人たちが気がついてからにしなさい!」
試合は一時中断し負傷者を運び出してから仕切り直しとなった。
「この度はご迷惑をかけまして…」
その休憩の間にシモーネ母が謝罪に来た。
「申し遅れました。私シア・スカーレットと申します。」
「まあ大怪我した人もいないのであまりお気に無からずに…スカーレット?」
スカーレット……………あれ?何か思い出しそう…
「…雷帝の嘶きある所に」
脳裏に浮かんだ詩を口にする。
「え?まさか…我ら生まれけり」
シアさんはその詩の続きを口にする。
「…風帝の暴風の中で」
「我ら育ち」
「「我ら大地を平睨する者なり」」
これは両親に教えられた文言…小さいときに何回も聞かされたスカーレットの者と出会った時に自分もスカーレット家のものだという証
「まさか…我が家以外の方で血筋の方がご存命だとは…」
「まあ家自体は1000年前に潰れてますけどね…」
雷魔法とか教わる前に両親が死んだからな事実上俺は血筋ではあるが継いではいない。
「いえ、間違いなく貴方はスカーレットを継ぐものそれも勇者となるものです!」
…え?なんて?
「…準備ができましたので残りましたお三方舞台に上がって下さい!」
「あら…話の続きはまた後程…」
とシアさんが客席に戻っていく。
「え?ちょ!勇者ってなに!?」
「ディアスさん舞台に上がって下さい」
仕方なく舞台に上がる。
残っているのは俺、アリーそして…カレラ。
「お前何気に凄いな…」
カレラを見るがガクガク震えている。
「わ、私…状況についていけないで、アワアワしてたら…」
…あれに巻き込まれずにすんだだけでもすごいと思うけど。
「ディアス勝負よ!私が優勝したら結婚して!」
アリーもうその煽りでどうこうする奴はもういないぞ?
アリーside
あーあの顔絶対に解ってない。
折角キスまでしたのに全然解ってない。
ならしょうがない…
勝ったら結婚、負けてもデート!私に何もデメリットは無い!
ディアスside
「では試合再開!」
二人は中心から距離をとり魔力を溜める。
「先ずは様子見…<ファイアアロー>!」
先手はアリー10本ほどの炎の矢がディアスを襲う。
「まだまだ操作が甘いな」
魔法を使わずに炎の矢のコントロールを魔力で奪い取るとアリーにそのまま投げ返す。
「そう来るのはわかってる!<ファイアアロー>!」
さらに産み出したファイアアローで相殺し爆発が起こる。
「煙幕か!」
辺りが白い煙に覆われる。
アリーの魔法の矢が爆発した為辺りにはアリーの魔力が霧散していて位置が分かりづらい。
「<ウインド>」
自分を中心に風魔法を使い煙を吹き飛ばすがアリーの姿が見えない。
「上か!」
上から大きな氷塊が自分に向かって落ちてきていた。
「迎撃!?いや間に合わない!」
後ろに飛び退くが…
「そこ!!<エアーハンマー>」
真横から突然現れたアリーが暴風の鎚でディアスを殴り飛ばす。
「くっ!氷塊は囮か!」
完全に気配を殺し光魔法で姿を消すとはなかなかやるなだが…
「気を抜くのが早いぞ<シャドーミラー>」
アリーの後ろに反射魔法を展開する。
「え!?」
虚を突かれ反応が遅れるアリー
「<エアーハンマー>!」
シャドーミラーにエアーハンマーを当てアリーを自分の方に弾き飛ばす。
「キャっ!」
アリーを抱き止めるとそのまま場外に落ちていく。
「引き分けだな」
「先に落ちたのはディアスよ!私の勝ち!」
確かに俺の体の方が下だが…
「勝者 時空間魔法研究会 カレラ!」
審判が高らかに宣言した。
「あ!」
アリーは完全にカレラの存在を忘れていたようだ。
ディアスが優勝したらデートでアリーが優勝で結婚だったが優勝したのはカレラつまりどっちも履行されない。
「ま、まさか最初からこれを狙って!?」
「まあ…カレラの研究に協力してやろうかと…」
アリーを倒した後負けるつもりではあったけど思ったより強くなっていて驚いた。
「ディ…ディアスの馬鹿!!!」
思いっきり頬を殴り飛ばし何処かへと走り去るアリー。
「グハ!」
殴り飛ばされた先は氷塊を粉砕し反対側の観客席の近くまで飛んだ。
「…師匠…」
ちょうどイベントを観戦していたシリウスと…
「…先生…」
…シーナの目の前に
「「鈍感」」
1000年研究しても女心は理解できない。
薄すれる意識の中でディアスはそう思った。
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