第43話 勇者の家系
「どうもお久しぶりです」
門の前でシアさんが頭を下げる。裏には大きな馬車…
「…いらっしゃいませシア…さん…本日はどういったご用件で…?」
敬称をどうするか少し悩んだが普通にすることにした。
最後に会ったのは…文化祭の試合の後保健室でだったか…シモーネを連れ謝罪にやって来て今日は予定があるからまたいつかと言ってもう3ヶ月ぐらいはたったかな?
「ディアス様にスカーレットの血統というものの説明に参りました。」
…何で俺の敬称が様なんだろう?
「はー?とりあえず中へどうぞ…シモーネさんも」
シモーネは馬車の影でビクビクしながら隠れている。
「か、会長の家にお呼ばれ…」
…畏れ多いとか思っているのだろうか?…アリーは今日出掛けてるから居ないぞ?
一階の空き部屋だった場所に収納していたソファーなどを並べ即席の応接間を作る。
「イザベラ皆さんにお茶を」
イザベラは一礼すると下がっていった。因み封印は解けてイザベラの姿はすっかり元の姿に戻っている。
「…魔族?」
独特の気配を察したのかシアさんの顔がひきつる。
「吸血の真祖だそうですよ」
「吸血の…真祖って…まさか王国の母?」
なんかそんな異名があるようなことを聞いた気がするけど有名なのかな?
コンコンとノックをが聞こえたので許可するとカートを押すイザベラの脇を抜けユーリが飛んでくる。
「ユーリ…今お客さんが来てるから大人しくな」
ユーリは小さい姿のままだ…もう戻れるはずなのだが…ここに居着いてしまい山に帰ろうとしない。
「きゅるる~♥」
「…ドラゴンしかもこの魔力…エンシェントドラゴン!?」
さっきからシアが色々と大袈裟に反応しているがシモーネは静かだな…
「…」
手のひらを目の前で振ってみるが無反応
「気絶してる」
「イザベラ、シモーネさんをベットに運んであげて」
「かしこまりました」
シモーネを抱えるとそのまま退室していった。
「…ではお話しましょうスカーレット家…いや勇者の家系について」
「勇者…スカーレット様が存在したのは今からやく2000年前と言われています。当時は魔王しかおらず人界は魔王率いる魔族軍に脅かされていました。」
それは知っている。よくお伽噺とかで聞いていたからな。だがスカーレットという名は初めて聞いた。
「そこに現れたのがスカーレット様率いる勇者軍です。彼はエルダーエルフと仲間にひきれた魔族とエンシェントドラゴンを連れ魔王を倒し人界を救ったとされています。」
「つまりその子孫が私たちだと?」
「分かりません、少なくとも私の祖先はその勇者様と世話係の子とされています。」
…世話係?勇者メイドに手を出したということか?
「ただ…スカーレット様の足跡は魔王討伐後町の復興を手伝いすぐに消えてしまいどこへ行ったのか…そもそもどこから来たのかすらわかっていないというのが現状です。」
「まさか異界の勇者?」
お伽噺によく出てくる異世界からやって来るという勇者か?
「そう記述される文献もありますが事実は定かではありません。」
「ふむ…そういえば何で俺が勇者を継ぐものだと?」
文化祭の時になんか言ってたのを思い出す。
「…こちらを見てください」
持参していた荷物から出てきたのは一枚の古びた絵画…そこにかかれた絵の人物は……俺?
「これが勇者スカーレット様の肖像画とされています。」
シアの目がキラキラと光っている。
「……え?」
マジで?
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