閑話その7 本戦
三回戦からは八つ当たりなのか副会長の攻撃が苛烈になり被害が増える反面、魔力切れにより生き残りがそこそこ出るようになっていた。
「一回戦に出てた奴等が不憫だな…」
「でも過半数があんな感じになるぐらいなら一回戦の方がいいかも知れないですよ?」
頭がチリチリになって黒焦げになった参加者が救護所に溢れかえっていた。
「…まあな…ってかあれは大丈夫なのか?」
文化祭で怪我人多数って問題だろう…
「参加の時に書類に書いてあったじゃないですか『怪我をした場合でも学園側は一切責任を負わない』って」
「…書いてあったのか? 」
全然見た覚えがない。
「うん、隅の方にちいぃぃぃさく」
…それ詐欺の手法では?
「それにしても参加者600人以上いて生き残りがたった15人か」
「とりあえず現時点で部費アップが確定したので後は怪我しないようにやるだけです」
「…本戦も同じ感じなのかな?」
「さあ…でもこのままだと15対1でいくら生徒会長でもキツいと思いますけど…」
「自分の部費を上げる為潰し合うって事もあり得るのでは?」
そもそも急造のグループでチームワークが発揮させるのは難しいだろうし。
「…そうですね。上位に為ればなるほど増額されますしね」
「…あ!ディアス!!」
カレラと喋っていると遠くからアリーが声をかけてきた。
「お!アリーお疲れさん」
「せ、生徒会長!ご機嫌麗しゅう…ございまます!」
カレラが緊張しながら挨拶する。
「…ディアスナンパしてたの?」
隣にいるカレラを見ながら少し問い詰めるように凄む。
「今イベントの予選が終わったところだっただけだよ」
「イベントの予選?…ディアスも出てるのあれ?」
本戦会場を指差しながら聞いてきたのでうなずく。
「…別にディアスなら…」
首に腕を回し抱きつくようにして
「ちょ!アリー何を!」
その先を口にする前に口を塞がれてしまった…アリーの唇で。
「デートぐらいいくらでもするのに♥」
…辺りが凍りつく音がした。
「ではただいまよりVS生徒会長の本戦を開始いたします。」
リングの上にはアリーを含め17人の参加者が並んでいた。
「…何で副会長がいるんだ?」
相も変わらず…いやさっきより強い殺気を感じる。
「相手の人数が多いからという理由らしいですよ?」
「いらんだろ…この面子アリー一人で十分殺れる…俺以外なら」
周りを見回すがたいして強そうな奴は見当たらない。
「たいした自信ですね…まあ初見の雷魔法を再現できるほどの技量があるんですから強いんでしょうけど」
「今回のルールはバトルロワイヤルです!敗北条件は場外のみ、ただし相手を殺したり殺そうとした行為は即時敗北及び通報となりますので注意して下さい」
文化祭のイベント内容じゃないよなこれ…
「では生徒会長挨拶を」
舞台にいたアリーにマイクが渡される。
「ディアス~
おい!なんか変な文字が見えた気がするぞ!
アリーの言葉に周囲の人間も殺気立つ。
「…あいつこの場を利用して俺に勝つ気だな」
「いいだろう!しばらくぶりに揉んでやる!」
「…揉むって何を!?」
展開についていけないカレラが混乱していた。
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