閑話その3 同志との出会い

「うーん…今も昔も研究発表は人気がないな~」

学生研究の展覧を見ながらふと言葉に出てしまった。


「今見ると結構面白いんだけどな~」

斬新な発想というか普通の研究者が考えない荒唐無稽さに触れると新たな発想が浮かんでくるような気がする。


「…ん?」

一つの研究テーマに目が止まる。


「時空間魔法の生活利用?」

発動に使う魔力量が多く、制御難易度が桁違いの時空間魔法を生活利用?


「あ!あなた!この研究に興味がおありですか!?」

研究レポートを見ていると学生が声をかけてきた。


「…ああ、中々面白い研究テーマだと思ってな」


「わかってくれますか!!そうです!時空間魔法は面白いんです!!!」


「単に時空魔法と空間魔法の掛け合わせだとか言う人も多いですが違うんです!!本来四次元魔法っていう全く違う魔法なんです!!」

うん!凄くよくわかる。


「そう!そうなんだよ!!他の元素魔法と違って四次元魔法なんだよな!!それがわからない奴が多すぎるんだよな!」

二人はどちらかともなく握手を交わすのだった。




「ここの呪式を分散して組み込んで最後に合成して発動すれば…」


「それでも消費魔力はそこそこ高いし…」


「だからバッグ自体には空間魔法だけをかけ出入口にすれば…」


「うーんでもそれでは時空間魔法とは…」


「時空間魔法は倉庫に使えば…」


「あー!!そうか!別に持ち歩く事に拘らずどこからでも取り出せるというか結果が出れば!」


「一応だが時間停止のマジックバッグは作成可能だな…大分無茶をしているが…」


「これだとわざわざバッグの形に拘る必要は無いのでは?」


「…確かにドアとかでもいいしな…あ!これ出入口を複数作成して輸出入とかしたら行商人とか廃業だな…」


「うーん…コスト考えると元を取るのは大分先だと思いますけど確かにヤバイですね…」


二人は時間を忘れて時空間魔法談義に花を咲かせるのだった…互いの名前も知らずに…

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