第34話一方その当時の魔王様とアイツ
「…そう言えばアイツはどうした?」
足を組みながら玉座に座り髪を弄りながら部下にたずねる。
「アイツ…とは?」
玉座の脇で杖をつき立っていた老人のような風貌の魔族が聞き返す。
「ほらおったじゃろ!いつも喧しくて勝手にわらわの一の子分とか言っておった奴が!」
「……ああ、おりましたなそんな者が…」
朧気に姿を思い出す。
「たしか…王都を魔王さまに献上する!…とか言って出ていったよな…」
「アイツ馬鹿か?アイツの使える戦力では騎士団一個大隊が関の山じゃろ…」
本人は転移が使えるからそう簡単には死なんじゃろうが…
「音沙汰が無いところをみると恐らく失敗したのでしょう…」
「失敗して逃走か…偵察を出せ、どの程度成果をあげたのか確認させろ…不甲斐ない結果だったら見つけ出して血祭りにあげろ!」
まだ大っぴらに動く時では無いというに勝手な事をしおって…
「御意」
老人が杖を鳴らすと影からコウモリのようなものが数匹飛び出し王都へと飛んでいった。
アイツ…彼の残した
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