第31話1000年研者とイザベラの~
『今静音魔法を解いて説明するから叫ばないで』
と書いたメモ書きを服を着替えたイザベラに渡し頷くのを確認すると少し離れ魔法を解除する。
「まず今回のガーゴイル擬きの犯人はそこにいる」
縛り上げた男の場所を指し示す。
「依頼人はオクラインとかいう貴族らしいがこの前の騒ぎで死んでるのは確認しているからあまり意味が無いだろう」
イザベラは怪訝な顔で見ている。
「何故そんなことがわかる?」
「記憶を見たからな」
「な!?」
そんなことただの人間にできる訳が無い。
「…ん?へぇ~ただ者じゃ無いとは思ったけどヴァンパイアしかもデイライトウォーカーか…」
イザベラを観察していたディアスは感嘆の声を上げる。
「くっ!」
イザベラは隠していたナイフを取りだし投擲するが難なく避ける。
それは計算済みだった。
着替える際に魔力を込めてた魔綱線を一本だけ放っていた。
ディアスの後ろに回り込ませた魔綱線がナイフを絡め投げ返す。
投げる動作も無く死角から飛んでくるナイフを…避けて…また前に立ちはだかり、ナイフを手で弾き落とした。
少し指先を怪我したのか血が滴っている。
「え?」
この一撃が当たるとは思っていなかった。ここまでいいようにされ正体まで明かされた悔しさから一泡吹かせてやる程度にしか考えていなかった。
「お前…なんで?」
彼女には自分の血を混ぜた金属で作られた特別製のナイフで傷をつけた相手の情報を読み取ったり、対象に質問をしその答えを本人の意識とは関係なく読み取るという能力がある。
本来拷問等で力を発揮する能力だが今回は思わず出た呟きに発動していた。
(避けたら貴女が怪我するかも知れないでしょ?)
「う!」
顔を真っ赤にし顔をそらす。
もちろんそんなことは知らないディアスはいきなり照れ始めたイザベラの変化の理由がわからない。
(私は年上が好みなのよ!たかが数十年しか生きない人間なんか…と…?)
傷をつけた事によりディアスの情報が流れ込む。
「え!?」
ディアスはビクッ!となった。
いきなり照れ始めたイザベラが急に奇声をあげ固まったのだから驚くだろう。
(私より年上!?種族は人なのに!?)
「…大丈夫…か?」
挙動不審のイザベラに恐る恐る声をかける。
(フードで隠れて見えなかったけど顔もメッチャタイプ❤)
「はい!大丈夫です!」
「あの~ディアス様は恋人とかいますか?」
「様!?」
(あれ名前言ったっけ?恋人はいないけど…)
「よし!」
ガッツポーズを決める。
「…なんか変な娘だな…」
自分の奇行により好感度が徐々に下がっていっている事にはまだ気がつかないイザベラ518歳独身だった。
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