第29話1000年研者の弟子の初恋その4

王族ののる馬車ということで待たされる事も無くすんなり門を抜け城下町へと入る事ができた。


「あとは城に着けば依頼終了だな」






「もう着いてしまったのね…」

レフィーナが残念そうに呟く。


「そう…ですね…」

シリウスも心無しか気落ちしているように見える。



程なくして王城の門にたどり着いた。

馬車を降りるレフィーナとシリウス

ふと上を見上げると何かがこちらに向かってくるのを感じた。

これは…殺気!?


「危ない!」


咄嗟にラフィーナを突き飛ばし剣を構える。

飛んできたものはレフィーナがいた辺りを通り抜け再度向かってくる。


「なんで街の中に魔物が!?」

立ち上がりながらラフィーナが驚きの声を上げる。


「あれは…ガーゴイル?」

外へと出てきたセルジオがレフィーナを守るように立ち塞がる。


「…誰かが使役しているのか」

イザベラはいつの間にか馬車の上に登っていた。


狙いは間違いなくラフィーナだろう…

ガーゴイルとレフィーナの射線上に立ちガーゴイルを睨み付ける。


「シリウス!」


「大丈夫!」

バルカス達は完了の手続きをするのに少し離れた所にいた為反応が遅れこちらに向かってくるのが見える。


俺がやるしか無い!


「こい!」

剣を正眼に構え気を溜める。


ガーゴイルは他には目をくれず、一直線にラフィーナをめがけて突撃してくる。


「ふぅ…はぁ!」


すれ違い様に縦一文字に切り伏せるとガーゴイルは王城の城壁にぶつかり爆散した。


「…?」

倒したガーゴイルの破片を見つめ首を傾げるシリウス。


(今…一瞬動きが止まった?)


何故?と考えていると後ろからレフィーナが突撃してきた。考え事をしていたシリウスは避ける余裕も無く直撃をくらう。


「ぐへぇ!」


「あ、ごめんなさい…」

謝るがレフィーナは抱きついたまま離れなかった。


「レフィーナ様…」

「フィーネ」


「え…?」

「私はフィーネそう言ったでしょ」

「まさか…」

このときあの日会ったフィーネが彼女だと気がついたのだった。


「全然気がついて無かったのね…」

「いや…だって格好全然違うし…」

思わずタメ口になる。


「…まあいいわ…あの日と今日…2回も助けてくれてありがとう」


少し照れながらの笑顔に心を射ぬかれるシリウスだった。

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