第25話 龍は10年飼えば1000年恩を忘れぬ

山岳地帯に入り3日目ようやく山頂に差し掛かった。


「ようやく折り返しか…魔物が少ないとはいえ馬達の疲労が溜まってきたな」


「山頂には少し平地があるからそこで長めの休憩をとろう」


「「「了解」」」





「これだけの広さがあるならここで一泊した方が良さそうだな」


「「「え!?」」」

他のメンバーが本気!?見たいな顔をしている。


「ん?どうした?」


「いやここの近くには神獣の巣があるって言われてるんだよ」

神獣?ああ千年龍


「で?」

神獣なんだろ?


「神獣といっても龍ですよ!危ないじゃないですか!!」

危ないのか神獣…


「ならここでの休憩も危ないのか?」


「日暮れ位が山頂付近での目撃情報が多いらしいので今の時間帯ではまだ…」


と言いかけ絶句する。


辺りを覆う黒い影。

巻き上がる竜巻

天空に轟く鳴き声


「クルル~~!」



「「「何で神獣が!!!」」」

10mを優に越える巨体がそこにはあった。


「これが神獣…?」

…なんだろうどこかで見たことがあるような…?

じっと神獣を見つめると神獣もディアスをじっと見ている。


「…あ!その角の傷…」

「クル~クル……」


まさかお前なのか?

神獣も何かに気がついたのか頭を伏せディアスに差し出す。


「「「え!?」」」

状況についていけないメンバーは固まっている。


「ユーリ!?」

「クルル!」


頭を撫でると嬉しそうな声を返してきた。





ユーリとの出会いは5歳の頃

森で怪我をしていた所を発見し保護をした。

見た目はただのトカゲだったが背中に体のサイズに似合わない小さな羽があるので一応ドラゴンだろうという話だった。


怪我が治ってもそのドラゴンはディアスのもとを離れなかった。

そこでディアスは家で飼う事に決めた。

「名前は…りゆー…りーゆ…ゆーり…ユーリにしよう!」

「クルル!」



「ユーリお前もドラゴンなら空を飛べるようにならないとな」

「クルル!」


それから5年血の滲む努力を続けユーリは空を自在に飛べるようになった。


「くるー!くるー!」

飛べるようになったユーリは一人でふらふらと飛んでいく事が多くなった。


「ユーリ!あんまり遠くへは行くなよ?」

その日ユーリは帰ってこなかった。


次の日

血みどろになったユーリが庭に倒れていた。


傷の形状から魔物のにやられたのだろうとのことだった。

自慢の角には斜めに傷が入り全身は傷だらけだった。

三日間死の淵をさまよいなんとか一命を取り止めた。


その日からユーリは変わった…より強くなろうと。

ディアスはそんなユーリに協力し一緒に狩りに出たりしていた。


そんなある日…

「行くのか?」

「くる!」

短い鳴き声にユーリの決意が伝わってくる。

一緒に暮らしはじめて約10年ユーリと意思疏通ができるようになっていた。


「わかった…さよならは言わない!強くなって戻ってこい!」

「クルル!」

ユーリは旅立っていった。


のだが…

千年振りの再会の抱擁をしながらふと考える…この状況どう説明しよう…?

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