第20話あの日の続き…


「初めましてシリウスと申します。」

馬車の中にいた二人に挨拶をする。


「は、初めまして私はフ…レフィーナです」

「イザベラでございます。」

「…」

先に名乗ったセルジオはその様子を眺めていた。

(この子が姫様の恩人…)


フィーネはあの時の状況を日に日に美化し、シリウスを白馬の騎士のように思いキラキラとした目で見つめ。


イザベラは手柄を横取りされた恨みからシリウスを睨み


セルジオはフィーネの話からどういう人物なのかと値踏みをしていた。


当のシリウスはあの時出会ったフィーネが目の前の護衛対象とは気がつかなかった。

忘れていたわけでは無いが、服装や化粧の印象が違いすぎるので無理も無いだろう…


つまり…現状面識の無い3人から密閉空間でガン見されているのだ、内一人からは殺気すら感じる。


「助けて!」

と内心叫びたいのを堪え外へと目を逸らした。








「レフィーナはここを通るんだな?」


「はい!間違いありません!恐らく明日の夕刻位に通るはずです。」


「あの女のせいで俺は…!」

憎々しげに地面を蹴る。


「オクライン様まだ時間があります。ここで陣をはりましょう」

先頭にいる兵士が進言する。


「…わかった皆のもの野営の準備をしろ」


オクライン元伯爵…王女誘拐を企てた為、死罪が言い渡されようとしていたが、巧みにスケープゴートを作り上げなんとか死罪はまのがれが男爵へと降格させられてしまった。


「拐ってきて奴隷として飼い慣らしてやろうかと思っていたが…今度は誘拐などと手ぬるい事は言わぬ…」


「殺してやるぞ…レフィーナ!」



あの日の事件の続きが今始まる。

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