第13話1000年研者の弟子の初恋 その1

「護衛依頼ですか?」


「ああ、シリウスも10歳になってこれからはランクが上がるからな一度経験しておいた方がいいと思ってな。」


シリウスが先日10歳となったので後学のために普段はあまり受けない護衛依頼を受け同行させることにした。

「ただし今回は見学だけだから貢献度はもらえないし、お前は護衛する必要は無いが物資は自分で準備しろ!」

こくっとうなずく。

「俺は護衛に専念するから何かあったら自分のみは自分で守れ!」


「…了解です師匠!」

シリウスはこの時はまだ知らない…この護衛依頼で人生を決定する出会いをすることを…


因みにシーナはまだ9歳であるから留守番でアリー本人は行きたがったが、学年の総代となり忙しく時間が確保出来なかった。





護衛依頼当日

「準備はいいか?」

シリウスに問いかけるが…


「師匠…10日分生活できるぐらいの物資はいつも収納に入ってますから用意するものなんて…」

何いってんですか?という風に返すが…


「…お前…テントなどの物資は用意したのか?」


「え?だって師匠がいたら即席の家とか建てるからいらないじゃないですか?」


「…自分の物資は自分で用意しろと言ったろ?お前は見学で護衛対象では無いんだからな。」

反論できずしゅんと項垂れる。


「お前はこれからは一人で依頼を受ける事が増えるんだから一式は用意しておけ」

そういうとテントや調理器具、ランタンを取り出す。


「お前のだこれからは持っておけよ」


「ありがとうございます!」

頭を下げて受け取る。


「さてと集合場所に向かうぞ!」

荷物を異空間収納に入れ二人はギルドに向かうのだった。






「ディ、ディアスの兄貴!」

…兄貴?俺に弟分はいないが?

振り向くと身長2mぐらいの厳つい男が立っていた。


「ディアスの兄貴おはようございます!」

…誰だっけ?どこかで見たような気が…あ!?


「ここもお前の特等席か?」

そうだ!コイツはギルドの酒場で絡んで来た…


「バカカスだっけ?」


「バルカスでさ兄貴…」

少し落ち込んでる。図体デカイ癖にメンタル弱いな。


「っで何のようだ?」


「俺らも同じ護衛依頼を受けてるんでさぁ」

そういやあん時Bランクとか言ってたな。


「Aランクには上がれたのか?」


「はい!兄貴のおかげでさぁ!」

俺のおかげ?


「コイツあなたにやられてから人間が丸くなったのよ」

裏にいた魔法使いと思われる女性が続ける。


「前は腕っぷしだけで評判最悪だったのに丸くなったおかげで評判がうなぎ登りでずっと燻ってたのに一年ぐらいでAランクに昇格したのよ」

…頭を強打しての人格改変…脳に何か甚大な被害をあたえてしまったのかもしれない。

まあ喜んでる見たいだし問題ないか…な?


「そのわりにあれ以来見かけてなかった気がするが?」


「あの後王都への護衛依頼を受けてしばらく転々としてたからねぇ~ちゃんと戻ってくるのは2年ぶりかな?前来た時も休暇とって直ぐに外に出てたから…」


「今からまた王都だしな…妻と子供に会う時間が取れねぇす…」

…お前既婚者どころか子供がいるのかい!


「…お前がなんでもかんでも受けるからだろ!」


仲間が揃って叫ぶ。

性格変えた弊害か。

…なんかごめん。


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