第9話1000年の技術は職人を上回る
「とりあえず四人分の家具と衣服後食糧が必要かな?」
ギルドへと帰っていったエヴィを見送り明日の計画を立てる。
「持ってきたのあるのに四人分も家具も必要?」
アリーが首を傾げる。
「いやあれ俺が作った奴だし…ちゃんとした職人が作った奴の方が良くないか?」
素人が作ったにしては良くできてるとは思うけど…職人と比べものにならないだろう…多分。
「そんなこと無いと思うけど…」
「まあとりあえず今日は寝るか…シリウスとシーナは同じベッドでいいか?」
壊れた時のために用意しておいた予備のベッドを空き部屋に置いた。
「「え!?」」
あれ?収納から取り出しただけだけど?
「あの~こんな立派なベッド使っていいのですか?」
シーナが恐る恐る聞いてくる。
「ん?ああ俺が作った奴だからな。」
「え!?」
材料は森で調達、一部魔物の素材を使ってるが…
「大したもんじゃないだろ?」
素人の見よう見まねで作っただけだからな。
「「「いやいやいや!!」」」
ん?子供が気を使わなくていいのに…
とりあえず明日は四人で町を見て回ることで決着した。
「アリー二人を風呂に入れてやってくれ。」
「はーい!行くよ二人とも!」
「「はい!アリー姉ちゃん(さん)!」」
…もう手な付けたのか?
さてと今のうちに作っとくか。
「兄ちゃん!兄ちゃん!兄ちゃん!」
ドタドタと足音がする。
「あ!ちょっと!待ちなさい!」
と後ろからアリーの叫び声がする。
「…騒がしいな」
夕食を作る手を止め廊下の方へ向かう。
「あ!兄ちゃん!これ!」
手には畳まれた服が握られている。
あ、こら!振り回すな皺になる!
「流石にボロボロだったからさっき作っといたぞ」
「あ!いた!ほらちゃんと拭かないとダメでしょ!」
シリウスを連れて風呂場に戻っていった。
…
アリー大きくなったな…
「…夕飯仕上げるか」
ブンブンと頭を振りまたキッチンに戻るのだった。
次の日
「兄ちゃん!兄ちゃん!兄ちゃん!」
ドタドタと足音がする。
…デジャヴ?
「…朝から騒がしいな」
朝食の支度が終わり一息ついていると言うのに…
「あ!いた!兄ちゃん!!」
昨日と全く同じ状況である。…唯一の違いは服を着てるかどうかかな。
「…シリウス落ち着け」
お前なんか犬ぽいぞ?
そう思うと尻尾が幻覚が見えてくる。
「その服もお前のだから着替えてこい。朝食の準備も終わってるから二人も呼んできてくれ。」
「わかった!」
シュタタタ!と走っていった。
「廊下は走らない!」
やれやれ…
「お兄さんは凄いですね…」
朝食を食べ終わり食後のお茶を飲んでいた時にシーナが呟いた。
「何が?」
唐突に凄いと言われ、何を言ってるのか分からなかった。
「だって…あっという間に家とか服とか作ってしまうし、それにこの服サイズを図ってないのにぴったりです…」
「あ~それはサイズ補正が付与してあるからだな。」
後汚れにくいように防汚れと破けにくくするのに強靭も付けてる。
「「え?」」
「この服魔道具なんですか!?」
「広い意味ではそうなるかな…」
戦闘に使える訳では無いけど…
「お兄さん…多分これ以上の服この町に無いと思う…」
「え?」
魔法で片手間に作っただけなのに?
残りの二人も同じ意見なのか首を縦に振っている。
「と、とりあえず町に行ってみよう!」
流石にそんなこと無いよね…?
一軒目家具屋イヴァンス
「「「「…」」」」
パッと見の印象は雑…その一言につきる。
デザインは似たり寄ったりで、少し歪みがあったりとこれは…
「やっぱりディアスの作った奴の方が良さそうね」
残りの二人もうんうんうなずいている。
「ちょっと!あんたら聞き捨てならないね!」
店番していたおばちゃんが凄い剣幕で怒鳴り散らしてきた。
「事実を言ったまでです!」
アリーは引かない。
「そこまでいうならそのディアスって奴が作った家具を見せてもらおうじゃないか!」
おばちゃんも引かない。
「はぁ…これでいいですか?」
収納からタンスや椅子、テーブルなど取り出す。
「な!?」
おばちゃんがワナワナと震えている。
腐っても家具屋デキの違いがわかるのだろう。
「ま、負けた…」
崩れ落ち膝をつくおばちゃん。
「…さ、さて次行こうか?」
いたたまれなくなり逃げるように店を後にした。
二件目洋品店シマン
「「「「…」」」」
デザインは流行り廃りがあるし、わからなくは無いが…
…生地が脆すぎる。
なんだこれ…やたらと解れが目立つけど…これ本当に売り物か?
「これもディアスが作った奴の方がいいよね」
二人とも…以下同文。
「ちょっと貴方達!」
今度は眼鏡をかけたお姉さんがやって来た…またか?
「その服!どこで買ったの!?」
ずるっ!
あんたそれでいいのか!
「買ったんじゃないよ!兄ちゃんの手作りだい!」
胸を張って答えるシリウス…なぜお前が威張る!
「え!?」
このままここにいると面倒なことになる。
「アリー次いくぞ次!」
逃げるようにその場を後にした。
三件目家具屋オーツ
ここは一軒目に比べ貴族階級がよく来るらしいが…
「なんか見た目だけ豪華で機能美度外視って感じね」
「確かに…」
装飾がゴテゴテについていて置き場にも困るだろう…これ
やたらとキラキラ、ぴかぴかしてるし。
「…家具はいいか」
とりあえず家具は諦めた。
次いくぞ次!
四件目高級洋品店シャルル
「…これは」
中に入るとドレスやタキシードばかり…質は確かにいいし仕立てもちゃんとしている…だが。
「…平民が日常的に着るもんじゃ無いな」
3人かうなずく。
「…食糧と材料買ったら家に帰るか」
結局全部自分で作ることになった。
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