第5話1000年たっても見た目は若造

エヴィが準備のために奥に戻るのとほぼ同時位に入口から騒がしい声が響いた。


「おいおい!誰だ俺の特等席を使ってる奴は!!」

特等席?


何の気なしに声の方はを向くとこちらを男が睨み付けてる。

辺りを見回しても他にはアリーしかいない。

俺?


「てめぇどこのどいつだ!そこは鉄拳のバルカス様の特等席だぞ!」


鉄拳のってなんだその形容詞?


「あ~あ始まった…アイツ弱そうな奴見つけるとすぐに因縁つけるんだから…」

ボソッと誰かの呟きが聞こえた。


バルカスは声のした方を睨むとその方向にいた人達は一斉に顔をそらした。


「…ふ~ん弱いもの虐めしかできない小者か…」

アリーが呟くと視線がこちらに集まる。

アリーさんちょっと毒舌過ぎじゃないか?


「すみませんね…この子正直なもので…」

と軽く頭を下げる。

ブチッ!と何かが切れる音がした…気がした。


「ふざけんじゃねぇーー!!!」

と俺に向かって殴りかかってきた。

まあ最後に挑発したのは俺だからな。


「アリーちょっと下がってろ」

「はーい」


酒場に迷惑がかからないように辺りのテーブルやイスを一時的に収納して、バルカスの拳を掴み下に叩きつけ、反動で下がってきた頭に膝蹴りを叩き込む。

「え!あ!グハッ!!」

何が起こったか理解する前にバルカスは仰向けに倒れて意識を失った。


「待たせ…ってなんだこれは!?」

エヴィの目の前には穴の空いた床と倒れて血を流した男。


「…なんか絡まれたから撃退した。」


簡潔に答えた。


「…バルカスか…この馬鹿」


「こいつ有名なのか?」

魔法職に格闘で負ける位なのに?


「一応Bランク力だけならAランクと言われてる男だ」

…ランクAになるのに足らないのは知性と品位かな?

「学生時代のエヴィより弱くないか?」


「馬鹿言うな…当時の俺だと多分こいつの半分位だったよ」

え!?そこわりに簡単に止められたけど?

俺強くなってる?まあかなりの数の魔物は狩って来たけど。


「おい、そろそろ出ないと日が暮れちまうぞ」

あ、家に行くんだった。

「そうだった行こうか!」


「あの~」


「ん?どうした?」

酒場のバーテンが言いずらそうに声をかけてきた。


「テーブルとイスを返してもらえないですか?後ギルマス支払いがまだです…」


「「あ、わりぃ!」」

穴の空いた床を建築魔法で直すとテーブルとイスを並べギルドを後にした。


「「「…あの人誰?」」」

ギルドの上位ランカーを瞬殺しギルマスを愛称で呼ぶ謎の人物の出現にギルド内はざわつくのであった。



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