第3話1000年振りの再会

1000年…

ショックが大きすぎてしばらく立ち尽くしていた。

「ディアス!どうしたの?」

アリーが心配し顔を覗き込んできた。


「いや…思ったより長く山に篭ってたなぁ~と」

いっても100年位かと思ってたのに1000年って10倍じゃん!


「あんたら早くしてくれないか?」

後ろに並んでいる人に急かされ正気に戻る。

「あ、すまない…」

日付を書き込み門番に渡す。

「…よし大丈夫だなこれが仮の身分証だから無くすなよ?」

とアリーに紐を付けたカードを手渡す。

「ギルドでカードを発行した場合はそのままギルドに渡してもらえればいい登録しなかったら出るときにここに提出してくれ」


「わかった」

そういって門をくぐる。

辺りに見える景色に見覚えのあるものなど何も無い。

1000年も生きてる知り合いとかいねぇだろうし…

「ディアス…?」

立ち尽くす俺を心配そうに声をかけるアリー

「アリー…」

…あ!エルフ!

「一人生きてそうなのがいた」

まだこの町にいればの話だが…



「すまない…この町にエルフのエヴィンっていうじいさんはいないか?」

門の近くで串焼き屋をしていた親父に話しかける。


「エルフのエヴィン?ああ!ギルマスのエヴィンか!」

アイツがギルマス!?脳筋エルフのアイツが!?


「冒険者ギルドはどこだ?」

「この通りを真っ直ぐ行った突き当たりにあるよ看板もあるからすぐわかるだろ」


「助かった…それ二つ貰おう」

情報料代わりに買うことにした。

「まいど~」

「ほらアリーも食え」

「うん!」

串焼きを食べながらギルドへと向かった。





「ここか…」

見上げた建物には≪冒険者ギルド≫と書かれていた。


中に入ると料理と酒の臭いがする。

「なんか懐かしいな…」

ギルドには酒場が併設されている。


「とりあえずアリーの登録だな…」

冒険者の登録はいくつからでもできるただし10歳以上出ないと討伐許可は出ないので魔物を狩ってお金にすることはできない。


時間が昼過ぎだったせいか人は疎らだった。


「いらっしゃいませ!本日は登録ですか?」

受付嬢に声をかけられる。

あまり見かけない顔で子連れということで登録と判断したのだろうか?


「ああこの子の登録を頼む。…あ今ギルドマスターっている?」

受付嬢は少し怪訝な顔をしながら…


「…いらっしゃいますけど…どのようなご用件で?」


「いや…昔馴染みでね…ディアスが来たと言ってくれればわかる…かな?」


「何で疑問形なんですか!」


「流石に1000ね…ゲフゲフ久し振りなんでね…あ、そうだ!」

紙にあることを書き畳んで受付嬢に渡す。


「これは?」

「ディアスだけでわからなかった時に渡してくれ多分それでわかる」


「…?わかりました。少々お待ちください。」

そう言うと手紙を抱え二階へと上がっていった。


俺はアリーに書類の書き方を教えながら待っていると…


ドドド…


と上から凄い足音と


「ディアス!!!!てめぇーー!!!」

あ、覚えてたのか良かった良かった。

他の恥ずかしい話ネタを使わないですんだ。

「よう!久し振りだなエヴィ!流石にエルフでも老けるんだな!」


「ぜぇぜぇ…何が…久し振りだ…この…阿呆…なんで…人間の…お前が…老けて…ねぇんだよ…」

見た目は確かに老けていたが1000年たっても口の悪さもそのままな事が嬉しかった。


「…ぜぇぜぇ…いろいろ言いたい事があるがとりあえず…」


「…お帰り親友!よく帰ったな。」


「ああ…ただいま悪友」

1000年振りの握手を交わした。


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