幕間
「動きがあったようですぜ」
ほとんど何も無い部屋の真ん中で、機械に繋がったイヤホンを耳に当てた男が言う。
コンクリートの上に直に座り、周りには無線機や端末やらが取り囲んでいる。
タバコを咥えながら壁にもたれて雑誌を読んでいたもう一人の男が、しばらくぶりに発された声に反応して本をたたむ。
「娘が家を出ました」
イヤホンの男は言いながらメモ用紙に何やら書き込んでいる。
「警察やら何やらが出てきて、なんか揉めたみたいですが、警察も出動記録はありませんね。アタリですよこれは」
もう一人の男がメモを受け取り、ざっと目を通す。
「そんじゃ、お高いお嬢さんに報告すっか」
「もう顔にパックでもして寝てんじゃないっすか?」
「そうかもな。その後娘はどうした?」
「尾行はつけたんですけどね。見失ったみたいです。男と一緒だったようですが」
「見失った? あんなガキを? こりゃ給料減らされんな……」
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